30年を超えるキャリアを誇りながら、決して枯れることのない創作意欲が爆発した印象の4年ぶりのオリジナル・アルバム。田島貴男のソウルフルなヴォーカルはもちろん、木暮晋也、村田シゲといったメンバーによる安定感のある演奏も頼もしい。捨て曲いっさいなしの傑作である。★
キャニオン時代のシングル曲を中心に編集&リマスターした高音質ベスト盤2枚組全30曲。「夢を見る人」「プライマル」など人気曲はもちろんのこと、アルバム未収録曲「宝島」などのシングル・ヴァージョンが初収録。数多の音楽を吸収して生まれた色褪せない珠玉のポップス!★
田島貴男のソロ・プロジェクト(95年以降)が放つ、メジャー・デビュー後17枚目のオリジナル・アルバム。名盤『風の歌を聴け』のリズム隊をフィーチャーし、ソウルやジャズをはじめとする多彩なジャンル感が凝縮された、爽やかでせつないポップ・チューンがカラフルに弾けまくる。
デビュー20周年を迎え、田島貴男が全楽器や打ち込み、マスタリングまで、ほぼ一人で作り上げた作品。ソウル〜ファンクを中心に、AORっぽいシティ・ポップス風、アコースティック・グルーヴなど軽快な曲が並び、田島自身もハジケ気味に歌っている。原点に帰ったようなアルバムだ。
ポニーキャニオン在籍時の楽曲を中心に、強烈なインパクトを残すCMソング「ボラーレ!」を追加したベスト。バンド形態から田島貴男のソロ・ユニットへと移行し、ワン・アンド・オンリーな存在へと登り詰めていく軌跡が楽しめる。シンガーとして参加した東京スカパラダイスオーケストラの「めくれたオレンジ」の収録も嬉しい。
本人いわく、「今回はダークめ」。その言葉どおり、都市をめぐるマインド・トリップを思わせる(5)や(6)のような曲も。とはいえそんな歌詞を衒学趣味に終わらせず、どこか愛嬌をもって歌えるのが近年の田島最大の魅力だろう。(11)には映画好きらしい遊びが。
岡本太郎の巨大壁画“明日の神話”に触発され、生まれたパワー・バラード。イントロには過去に岡本が出演したCMで自ら演奏したピアノのフレーズを取り入れている。田島と岡本、そして岡本の描いた画が時空を超えてひとつになった感動作。普遍の愛が詰まっている。
“キングスロード”即ち、田島貴男にとっての“王道”ソングをカヴァーしたアルバム。(6)はペトラ・クラーク、(7)はレオン・ラッセル、(9)はフォーク・クルセダーズと、これが実に渋い選曲。ふるったアレンジはもちろんだが、独自の解釈による日本語詞がいい感じ。
タイトル曲は、60年代の大ヒット・ナンバーであるニール・セダカの作品のカヴァーで、歌詞は彼が作った日本語詞で歌われている。「青い鳥」もレオン・ラッセルのカヴァー。「ピストル・スター」は彼のオリジナル。いずれも野性味のある歌唱が彼らしい。
通算12枚目となるアルバム。ジャズを基調にしていた初期と比較すると、遥か彼方の地平に行き着いた田島。数年前からニューオーリンズや沖縄民謡の要素も積極的に取り入れていた彼だが、ここではすべてが彼流に咀嚼された唯我独尊のサウンドとなっている。
「沈黙の薔薇」は、流麗なストリングスと程良く揺れるグルーヴをフィーチャーした、スウィートなアーバン・ポップス。相変わらず田島貴男のマッチョなヴォーカルが冴えている。カップリングは山下達郎のカヴァーで、こちらは菊地成孔のホーン・アレンジが聴きもの。
11枚目。グラム・ロック風や太くうねるファンクなど派手でギラギラした音が、田島貴男のハードボイルドで男気にあふれたヴォーカルとどんぴしゃに合致。そこに小林旭的なキザな昭和歌謡のエッセンスも加わって、ダイナミックな突き抜け具合が痛快な作品だ。
アルバム『踊る太陽』からのシングル・カットとなる表題曲は、田島貴男のメロディ・センスを再確認させてくれるグッド・メロディと、チープなシンセの音色の組み合わせが絶妙。2曲とも作詞を松井五郎に委ねているのも特徴だ。「Tender Love」のクリップも完全収録。
グングン自転車をこいでるときの風景は、きっとこんなだ。向かい風にも負けない、生まれながらのポジティビティをキラキラと輝かせたアップ・テンポの表題曲は、間違いなく田島貴男の最高傑作のひとつだろう。カヴァー含むカップリング3曲は、軽薄な渋さ漂うライヴ音源。
10ヵ月ぶりのマキシ・シングルは、田島貴男曰く「出色の出来」。(1)は、スカパラからゲストを交えて作ったラブ・ソングだ。センチメンタルな恋心を、ゴージャスな演奏で華やげている。(2)〜(4)は2002年5月のライヴ音源。田島の生々しい色香をお楽しみあれ。
遙か昔のこと田島貴男は、大人を越えて冥土まで行ってしまった作品が好きだというようなことを言っていた。果てしなく達観してしまくっている本作を聴いていると、その感覚がよく分かる。ジャズもブルースもトロトロに煮込んだ、冥土のポップスだ。
田島貴男の音楽的本質は、色数の多さではなくて色彩の濃さにある。器用さが勝った活動も完成度の高いものだったが、このシングルでは、従来の“洒脱に低温火傷”な個性が大放出されている。なつかしの名曲のライヴ・ヴァージョンがうれしい。
メイン・ナンバーとカップリング。そしてそれぞれの別ヴァージョンに1曲はカラオケとはいえ全5曲。収録時間にいたっては30分を超す。これでマキシ・シングルは、ボリューム的には納得。(1)は、オリジナル・ラヴにしてはいつになくポップでさわやか。★
かなりザックリとした音に仕上がったアルバムだ。生音重視から打ち込みベースの音まで、その手法はさまざまながら、全体を通して伝わってくるのが、骨っぽくワイルドなギター・サウンド中心のロックということ。より躍動的スタイルへ近づいたオリラヴがいる。
移籍もしてきたオリジナル・ラヴだが、これはそのレコード会社間の垣根を超え、インディーズ時代、東芝EMI時代、そして現ポニーキャニオン、すべての音源からピック・アップされたベスト。『ウゴウゴルーガ』用に書き下ろした未発表曲(13)などは貴重かも。
オリジナル・ラヴの8作目は“L”をキーワードに田島貴男ワールドを展開している。前作以上に打ち込み系の音(テクノ、ドラムンベース、ヒップホップ)が目立つが、ロックやソウルのテイストも光る。彼の音楽への幅広い興味心であふれた作品だ。
ピチカート・ファイヴを脱退後、オリジナル・ラヴに専念することになった田島貴男率いる6人組のCD2枚組のデビュー作。流行のブラック・ミュージックの要素からひねったポップ感覚まで才気は十二分。きまじめさが少し作品を重くしているところも。
ある人によると、オリジナル・ラヴの音は、昔の山下達郎なのだそうだ。しかし、昔のタツロウを知らない世代には、ROCK+JAZZをニューウェイヴな味つけにした、なにやらおシャレで新鮮な音に聴こえるはず。田島貴男の感性がしなやかに発揮された1枚。
ジャケ・インナーの写真があまり野暮くさく、どうしたのと思ったがこれは意図ありのことか? 音の方はけだる気な田島節が健在で、詞のモチーフをミステリアス・ロマンチック路線が増えたかんじ。全曲一種独特の浮遊感があり強裂な個性を改めて認識させる。
もうベスト盤出てしまうオリジナル・ラヴ。ジャズやファンク、もちろんR&Rなど、彼らならではのスタイリッシュでクールなサウンド感と、セクシャルでシャープな詞の世界が堪能できる。すべての曲に隠された起爆剤、その危うさが彼らの最高の魅力だ。
才智はあってもそれが報われるアーティストの少ない中、彼らほどアヴァンギャルドな精神を歪めずにセールスを伸ばし続けるバンドも少ないだろう。新作がここまでプロフェッショナルな領域を保ちつつ、ポップスとして十分成立していること自体が革新的。
ピチカート・ファイヴを脱退後、オリジナル・ラヴに専念することになった田島貴男率いる6人組のCD2枚組のデビュー作。流行のブラック・ミュージックの要素からひねったポップ感覚まで才気は十二分。きまじめさが少し作品を重くしているところも。
ピチカートVを脱退した田島貴男が長年続けてきた自らのソロ・プロジェクトでついにメジャー・デビューを果たしたぞ(ミニアルバムだけど)。幾度のメンバー・チェンジの末にキャリア豊富なバックが集まって、ゆったりとスウィート・ソウルを聴かせています。
ワールド寄りのアプローチをみせた前作から1年。ドラムン・ベース、70年代ソウル、ブルース……新旧混合さまざまな要素でカラフルに描かれた落書きは、肩の力を抜いた自然なタッチで心を和ませる。リコーダー、アコーディオン、グロッケンの音色がまたよし。
91〜95年のシングル集。こうして聴いてみると、このグループが日本のポップ・ミュージックに残した足跡の大きさにいまさらながらびっくりしてしまう。ソウル・ミュージックに不可欠な色気をここまで自分のものにしてるアーティストって他にいないと思う。
ウードが鳴り響く(1)や三絃がセカンドライン・ビートを刻む(3)にはさすがに驚いたが、田島貴男らしい(いい意味での)稚気ゆえか、お勉強ぽくまとまっていないのはさすが。ドラマ主題歌だった(9)のヴォーカルがしみじみと聴かせる。
編集盤が何枚も出ている東芝EMI時代の音源だが、このボックスでそろそろそれも打ち留めかも。4年間に残された全52曲を4枚の色別ディスクに収録したほか、インスト・ヴァージョン集1枚をプラス。年代順の収録でない点、田島貴男のヴォーカリストとしての成長の推移が、やや見えづらい難点はある。どのアルバムからの収録なのか、もう少し親切なクレジットがあってもよかった。
オリジナル・ラヴの、夏向きの曲を集めたアルバム。涼し気に寄せては返す波の音でスタートするが、全体的にはどちらかというと爽やかで涼しい夏というより、灼熱の中、燃えるような恋をしようといった、暑さ満喫の夏のイメージ。けっこう、セクシー。
東芝EMIに残された音源を集めたアウト・テイク集。リミックス盤制作時の未発表テイク、メジャー・デビュー前にマスコミ向けのみに配布されたCDからの楽曲、ライヴ会場のみで売られたアナログ盤音曲など、マニア垂涎超レア盤。
移籍第1弾となる本作は、田島貴男のミュージシャンとしての才能と情熱と自信をあらためて感じさせられる力作だ。まるで一発録りのような躍動感に満ちた曲たちは、音楽の原初的な喜びにあふれ、無垢な魂の息づかいを放つ。日本の音楽の熟成がここにある。
91年のデビュー以来、大人の色香を感じさせるソウルフルなサウンド、歌詞と田島貴男のしなやかなヴォーカルで、大衆人気をもつかんだ彼らの4年間を76分にまとめている。ヒット・シングルを中心に、高野寛との共演(15)も懐かしい究極のべス卜盤。
才智はあってもそれが報われるアーティストの少ない中、彼らほどアヴァンギャルドな精神を歪めずにセールスを伸ばし続けるバンドも少ないだろう。新作がここまでプロフェッショナルな領域を保ちつつ、ポップスとして十分成立していること自体が革新的。
もうベスト盤出てしまうオリジナル・ラヴ。ジャズやファンク、もちろんR&Rなど、彼らならではのスタイリッシュでクールなサウンド感と、セクシャルでシャープな詞の世界が堪能できる。すべての曲に隠された起爆剤、その危うさが彼らの最高の魅力だ。
ジャケ・インナーの写真があまり野暮くさく、どうしたのと思ったがこれは意図ありのことか? 音の方はけだる気な田島節が健在で、詞のモチーフをミステリアス・ロマンティック路線が増えたかんじ。全曲一種独特の浮遊感があり強裂な個性をあらためて認識させる。
ある人によると、オリジナル・ラヴの音は、昔の山下達郎なのだそうだ。しかし、昔のタツロウを知らない世代には、ROCK+JAZZをニューウェイヴな味つけにした、なにやらおシャレで新鮮な音に聴こえるはず。田島貴男の感性がしなやかに発揮された1枚。