ミニ・レビュー
メジャー・デビュー曲「花火まであとすこし」から、人気アニメ『地獄少女』のオープニング曲としてヒットした「逆さまの蝶」などを収録したファースト・アルバム。雪が宙を舞うような「I'm No」など、儚げに揺れるサウンドと澄んだ声色が心地良い。写真家・藤原新也撮り下ろしジャケット!
ガイドコメント
東京生まれLA育ち、日本語と英語を操る女性シンガー、SNoWの1stフル・アルバム。「花火まであとすこし」から「NightmaRe」までのシングル曲や、インディ時代に発表した「Yes」などを収録。彼女のストレートな歌声が心に響く作品だ。
収録曲
01花火まであとすこし
「飛びたいけれど飛べない このままじゃ飛べない」という一度は思い当たるであろう心情を、叙情豊かに綴ったミディアム・ナンバー。疾走感あるメロディアスなアップ・テンポが心地よく、耳に残る憂いあるヴォーカルが優しい。
02sign
跳ねるようなピアノの音色が可愛らしい雰囲気のミディアム・ナンバー。幸せな恋愛も時が経ち当たり前になると、失われてしまいがちな思い。だからこそ大事なものは見失わずにいたいという素直な気持ちを綴った詞に、共感できる人も多いはずだ。
03NightmaRe
夢の世界でさまよった時に見つけた本当の自分や愛しい人を想う自分の姿を情感たっぷりに描いた、静寂な雰囲気を持つドラマティックなロック・ナンバー。「“君を守る”とか たまには聞きたいんだ」という、素直な気持ちが表われた詞も印象的だ。
04逆さまの蝶
一人一人の思いや形をどこかに残せるか? どこまで守れるか? 胸の奥にある思いをストレートに綴ったメッセージ・ソング。哀愁あるメロディ・ラインを軸とした、アコースティックなR&B調サウンドに仕立てたアレンジが見事だ。
05I'm No
激しくも味わい深いアコギの演奏が胸に響く、スタイリッシュなロック・ナンバー。LAで育ったという彼女が歌う英詞は、洋楽にも引けをとらないクオリティの高さ。本当の自由とは何か、という自分自身に対して問いかけるような作品だ。
06night light
ストリングス・アレンジが温かさを演出しているミディアム・バラード。未来に不安はあるが、君がそばにいてくれたら大丈夫だという気持ちを綴っているラブ・ソングで、「嘘みたいな幸せを確かめたいから少し薄目開けてたんだ」のフレーズが愛くるしい。
07on&on
誰といても孤独は消えないし、世の中から争いも消えることはない。だが「未来の光 感じていたい」という愛や平和への願いを、フォーキーなロック・サウンドで展開するメッセージ・ソングだ。
08Through my eyes
うねるようなギターが印象深い、ハードなロック・ナンバー。自分の目を通して見える世の中や自分の心や、そばにいる君に対しての思いを綴ったダークな作品で、ひとりは怖いが切り開くのは自分自身なんだ、という哲学的な詞が心を打つ。
09BleacH
哀愁漂うアコースティックなR&Bサウンドに、少しハスキーな彼女のヴォーカルが見事にハマった会心作。コンクリートジャングルの中にいても、逃げ道や自分らしく生きる道は必ずある……。そんな力強さを感じさせる詞に共感を覚えるはずだ。
10Yes
メロディアスな雰囲気が漂うアコースティックなクリスマス・ナンバー。特別な日であるクリスマスの夜の情景を臨場感たっぷりに描いた、温かさあふれる作品に仕上がっている。憂いあるヴォーカルが、しっとりとしたクリスマスを演出するのにぴったりとマッチしている。
11空が見える場所
人それぞれにある「いちばんだいじなひと」「いちばんだいじなこと」。生きにくい今の時代だからこそ、大事にしたいものは守らなければいけない。そんな世の中への思いを綴った作品。ワルツ調のマイナーなメロディ・ラインも心に響く。