ガイドコメント
89年のデビューからのシングル曲を中心としたベスト・アルバム。ビッグ・ヒットを記録した「晴れたらいいね」「ラヴ・ラヴ・ラヴ」などを収録。色褪せない名曲とドリカムの歴史がたどれる作品となっている。
ミニ・レビュー
一家に一枚。中味について、今さら何か言う必要はないでしょう。…字数が余っちゃいましたね。うん、聴けばわかります。…また余っちゃいますね。とにかく、あれも、これも、聴きたい曲は全部入ってます。ほんとです。
収録曲
01APPROACH
02あなたに会いたくて
03うれしい!たのしい!大好き! (‘EVERLASTING'VERSION)
04うれしはずかし朝帰り
“朝帰り”をカジュアルなイメージへと変えてみせた、浮かれ気分のポップンロール。歌謡曲的センスとマニアックな洋楽趣味の同居、心理描写の細かな詞世界が唯一無二の世界を構築。バック・ヴォーカルで両親に謝罪していて可笑しい。
05LAT.43°N〜forty-three degrees north latitude〜
タイトルは北緯43度の意。北海道のあたりを指す緯度である。電話を使ったラヴ・ソングの名手であるドリカムが歌う、小道具としての電話の使い方も見事な遠距離恋愛ソング。あれもこれもしてほしいのに、口に出せない主人公がけなげ。
06さよならを待ってる
07Ring! Ring! Ring!
待ち合わせ場所へと自転車で……とただそれだけの所作を、「ここまで鮮やかに描きますか」と感嘆させられる歌詞は、もはや短編小説並みの面白さ。自転車の加速と、加速する恋心を、モータウン風のメロディが洒脱に盛り上げる。
08笑顔の行方
中村正人の楽曲アレンジと、吉田美和の歌唱アレンジが、それぞれフェティッシュに練られて合致した驚愕のナンバー。ポコポコ鳴り続けるパーカッション、そっと個性を主張するシンバルなど、隅々まで配慮されたサウンド・メイキングが見事。
09忘れないで
過去の恋愛を引きずるタイプの女性がカラオケでよく歌う曲を調査すれば、間違いなく上位にランクインしてくるであろう人気曲。明るくハジけた曲を歌う一方で、こうした翳りだらけの哀しく切ない曲も歌えるのがドリカムの凄さ。
10Eyes to me
11決戦は金曜日
恋愛の場面におけるファンファーレとして活用している女性も多いアドレナリン放出曲は、手の平に「ダイジョウブ」となぞって飲み込む描写が何しろ秀逸。敬愛するシェリル・リンのエッセンスを、自らの味へと昇華したセンスが光る。
12晴れたらいいね
正味3分弱の中に女性の成長過程が見事に描かれた、詩人・吉田美和の才気が爆発した曲。朝の連続ドラマ『ひらり』主題歌だったこともあり、歌詞に“ひらり”がさらりと登場。結婚式で父親を泣かせたい新婦はこの曲を使うと効果的かも。
13go for it!
“モンティ・パイソンが好きな恋人”が登場する、おそらく世界で唯一のラヴ・ソング。全編リラックスしたサウンドは、歌詞に登場する「趣味が違いすぎる主人公カップル」の、何だかんだと楽しそうなムードにぴったりマッチ。
14す き
生ピアノをバックに(アルバム・ヴァージョンは打ち込みストリングス入り)、吉田美和の歌声を“メイン楽器”として響かせたゴスペル風味のラヴ・ソング。バック・ヴォーカルを得ての「すき」の連呼は荘厳な風格さえ湛えている。
15サンキュ.
恋人と別れた主人公の話に、何も言わずに付き合ってくれた友人への感謝の気持ちを歌った柔らかな名曲。この友人が女性か男性かを明確にしない詞の展開が、この曲に深みを。2本のギターが醸し出すリラックス・ムードが素晴らしい。
16ROMANCE
17LOVE LOVE LOVE
イリアン・パイプスやチェンバロの音色を使ったイントロを経て、メロウな展開へと雪崩れ込む屈指の名曲。うまく言えない言葉を「ルルルル」と表現した歌詞にアイディア賞。ギターやドラムスの雰囲気にビートルズからの影響が顕著。