ガイドコメント
彼女の全シングルを完全網羅した、初の企画を3枚組で。87年“うしろ髪ひかれ隊”の「時の河を越えて」から99年の「ブルー・ゾーン」までの39曲のシングルすべてを収録。
収録曲
[Disc 1]
01時の河を越えて (うしろ髪ひかれ隊)
02あなたを知りたい (うしろ髪ひかれ隊)
03禁断のテレパシー
04メビウスの恋人 (うしろ髪ひかれ隊)
05Again
87年12月2日にリリースされた2ndシングル。フジテレビ系『桃色学園都市宣言』エンディング・テーマだった。デビュー2枚目でありながら、はね気味のファンキーな難しいメロディ・ラインをいとも簡単に歌いこなす実力は、アイドルとは思えない底力を感じさせた。デビュー曲と同様に秋元康と後藤次利によるナンバー。
06ほらね、春が来た (うしろ髪ひかれ隊)
07抱いてくれたらいいのに
50〜60年代のアメリカン・ポップスを80年代サウンドで再現したような、壮大でゆったりとしたナンバー。色気のある歌詞をアイドルが堂々と歌っているのも、その時代の特徴だったのかもしれない。
08ご期待下さい! (うしろ髪ひかれ隊)
09FU-JI-TSU
オーソドックスな歌声を聴かせていた時期の典型的なナンバー。この人にはやはり哀しげなメロディが似合うようで、ちょうど中森明菜の後継者的な存在として君臨していた時代の歌だ。
10MUGO・ん…色っぽい
80年代後半の風情が色濃く残るサウンドに、ポップで軽やかなメロディをのせた哀愁歌謡。こういったアイドルの歌う楽曲にこそ、その時代特有の雰囲気が映し出されていて、ある種の緊張感を持っている。
11恋一夜
12嵐の素顔
工藤静香という存在が日本中に広く認識されるきっかけとなった、代表的なナンバー。現在ではすっかりおなじみとなった彼女の独特な声質が、この曲あたりから徐々に特徴づけられているのも印象的だ。
13黄砂に吹かれて
中島みゆきの提供した歌詞が後藤次利の楽曲と見事にはまった代表例だろう。哀愁あふれる路線はこれまでどおりの魅力のまま、さらにエネルギッシュでワイルドな雰囲気も加わり、極めて突出した印象が残る曲だ。
[Disc 2]
01くちびるから媚薬
アイドル歌謡としてはレゲエやスカなどのサウンドを巧みに取り入れた曲で、実験的な試みともいえる。哀愁のメロディはあくまでも王道を突っ走っていて、不思議と心地よく感じる。
02千流の雫
03私について
90年9月21日にリリースされた11枚目のシングル。アコースティック・ギターをフィーチャーして、バックも打ち込みをほとんど使用していないアレンジで、彼女のフォーキーな面を垣間見ることができる。作曲は後藤次利、作詞は「黄砂に吹かれて」以来、約1年ぶりに中島みゆきが担当している。
04ぼやぼやできない
05Please
イントロでいきなりフリーキーなベース・ソロ、続いてヴォーカルとのユニゾン、さらには曲中のスキャット部分でもベースとのユニゾンと、作曲担当の後藤次利の個性的なアレンジが見事な91年5月15日発売の13枚目のシングル。グルーヴ感満点のラテン・サウンドに意外にも彼女のヴォーカルがマッチしている。
06メタモルフォーゼ
07めちゃくちゃに泣いてしまいたい
08うらはら
フリーキーなリズムでのギター・ソロから始まるロックン・ロール・ナンバーの本作は95年5月21日発売の16枚目のシングル。デビュー以来の後藤次利が作曲を担当しているが、アイディアが尽きることなく、常に新しいサウンドを提示、工藤静香もそれに見事に応えて歌いこなしている。彼女の曲にボトル・ネックはかなり珍しい。
09声を聴かせて
92年8月21日発売の17枚目のシングル。ゴスペル・フィーリングの生ピアノでスタート、ゴスペル・クワイア参加の壮大なアメリカン・テイストのナンバー。南部のフィーリングたっぷりのオケをバックに余裕で歌いこなす様は、もはや貫禄すら感じられる。日本テレビ系『教師夏休み物語』挿入歌だった。
10慟哭
王道の8ビートを軸に、さまざまなサウンドが取り入れられているが、基本的なメロディの骨格は誰でも口ずさめそうなほどキャッチーだ。中島みゆきの表現する、男女の織りなす歌詞もますます深く哀しく響きわたる。
11わたしはナイフ
93年6月2日発売の19枚目のシングルは、初期の彼女の雰囲気を感じさせるポップ・チューン。ポップなヴァースとハードなサビ、そして壮大な大サビといった展開のメリハリがとても利いていて、印象的なナンバーに仕上がっている。作曲担当の後藤次利と作詞担当の松井五郎の手馴れた手腕が光っている。
12あなたしかいないでしょ
ブルース・フィーリングたっぷりのギター・ソロから始まる93年10月6日リリースの20枚目のシングル。スローなロッカ・バラードで、南部フィーリングを持ったブラス・セクションやゴスペル風のコーラスなど、アメリカンな雰囲気にあふれたナンバーに仕上がっている。作曲は後藤次利、作詞は松井五郎が手がけている。
[Disc 3]
01Blue Rose
激しく耽美的なロック・サウンドが、これまでのアイドル路線からのステップ・アップを明らかに感じさせる。ロック・シンガーのように表現力も多彩となったからか、ワイルドでカッコイイお姉さん的な魅力も増している。
02Jaguar Line
ケミカル・ブラザーズのようなデジタル・ダンス・ロックのサウンドに挑戦した楽曲。従来のアイドル路線は卒業したうえで、あらゆるサウンドを実験的に取り入れており、本人の成長もうかがえる。
03Ice Rain
04Moon Water
057
06蝶
07優
08激情
中島みゆきが作詞・作曲をともに担当しており、彼女がもっとも得意とする、日本的哀愁を歌詞とメロディに封じ込めたような曲に仕上がっている。オーソドックスに歌い上げるヴォーカルにも安定感が出てきたようだ。
09Blue Velvet
10カーマスートラの伝説
11雪・月・花
12きらら
13一瞬
14Blue Zone