ミニ・レビュー
爽やかなメロディと柔らかなヴォーカル&コーラス。そして、「かどわかされて」など独自の言葉使いの妙で泣かす歌詞満載の待望のファースト。凝ったサウンドを巧みに聴かす、軽妙でロマンティックなポップ・サウンドはまさに日本のニック・デカロ、ですね。
ガイドコメント
インディーズ時代から注目を集めてきた兄弟2人によるポップ・デュオ、キリンジ。マキシ・シングル「双子座グラフィティ」を含むこの1作目は前評判を裏切らない珠玉のポップ・アルバムである。
収録曲
01双子座グラフィティ
弟・泰行の作。ブラスも洒脱なこのポップ・ナンバーは、ベース・ラインがウイングス「心のラヴ・ソング」風。ほのかに甘酸っぱいメロディに、やけに複雑なハンド・クラップと、魅力を挙げたらきりがない名曲。
02風を撃て
03野良の虹
04太陽の午後
05雨を見くびるな
兄・高樹の作。抽象的な言い回しの中に淫靡な情景を刷り込んだ、兄お得意のアダルティ路線のナンバーだ。意味深な歌詞とメロディで、苦味を感じさせるキリンジ魔術も冴えわたる。ジョージ・ハリスンを思わせる柔和なギターにしみじみ。
06甘やかな身体
07P.D.M.
08ニュータウン
09汗染みは淡いブルース
10冬のオルカ
11五月病
12かどわかされて