ミニ・レビュー
晩年のソナタをまとめて弾ききった力業のライヴ。ことさら深遠めいた身振りに拠らず、あくまでくっきりと音の形を聴かせながら、勢いに流れるのを堰き止めるごとく随所でタメを作り、轟と強奏するのでなく時にじっくりと音を響かせ、間と対峙して情の奥行を作る。響きを美しく対比させた32番2楽章が出色。
収録曲
ベートーヴェン:
01ピアノ・ソナタ第30番ホ長調op.109
02ピアノ・ソナタ第31番変イ長調op.110
03ピアノ・ソナタ第32番ハ短調op.111
J.S.バッハ:
04平均律クラヴィーア曲集第1巻〜プレリュード ヘ短調BWV857