ミニ・レビュー
モーニング娘。を卒業した石川梨華率いるユニットのデビュー1周年を記念してリリースされたファースト・アルバム。古来の日本の美しさと今の時代の力強さを併せもった彼女たちならではの、古風でかつモダンなメロディがいっぱいの楽曲が楽しめる。
ガイドコメント
デビュー1周年を迎える美勇伝の、1stフル・アルバム。シングル曲をはじめ、日本の美を強調したような楽曲からストレートなポップスまで、バラエティに富んだ楽曲が収められている。
収録曲
01チェックイン
アルバム『スイートルームナンバー1』の幕開けは、美勇伝の3人が海外の架空のホテル“No.1 Hotel”にチェックインする様子を描く。英語で格好良く応対する石川と三好に岡田がとぼけた大阪弁でからむ、個性があふれるたイントロダクション。
02カッチョイイゼ!JAPAN
日本の良さをアピールした詞で綴った、“visit JAPAN”キャンペーン・ソング。続けざまに出てくる“カッチョイイゼ!”というフレーズと、それに入り込む“ヤッ! フッ!”というかけ声が、強烈な印象を与えている。応援歌のような雰囲気を醸し出すアップ・テンポのナンバーだ。
03愛〜スイートルーム〜
3人が元気いっぱいにイキイキと歌っているテクノ・ナンバー。愛があればすべてが万々歳という前向きな歌詞と明るいメロディを聴いていると、“生きている それはすばらしいね ほら楽しいね”と本当に思えてくる美勇伝最強のライト・ポップ。
04紫陽花アイ愛物語
ちょうど梅雨の時期にリリースされたラブ・ソング。雨の中で咲く花に切ない恋心を重ね合わせ、一生懸命な想いを届ける。どちらかというと暗めの歌詞をリズムの強さで明るく表現している。つんく♂のプロデュースを離れてもユニットの個性が色あせないことを証明した一曲。
05恋のヌケガラ
失恋の痛手からはなかなか抜け出すことができない、という複雑な心情を歌詞にした美勇伝のデビュー・シングル。切なく悲痛な内容の曲ほど力強く歌い、メッセージを叩きつけてくる彼女たちの代表的なナンバー。作詞を湯川れい子が担当している。
06Tea Break
タイトル通り、アルバム『スイートルームナンバー1』の前曲までのアッパーな勢いを一息つかせるリラックスした楽曲。女の子とお茶、といえばおしゃべり。“2、3時間話し込んで終わらない不思議な現象”を素朴な詞とシンプルな曲で綴る、女性なら誰もが共感できるナンバー。
07ひとりじめ
美勇伝初のミディアム・テンポの4thシングル。“千の夢が叶うよりたった一つ叶えばいい”と願い続ける女性を歌ったセンチメンタルなナンバー。大人の恋愛をしっとりと歌い上げる難しい楽曲に挑戦したことで、3人のヴォーカルの個性がはっきりと出ている。
08クラクラ ディナータイム
見ているだけで彼のすべてが愛おしく思える、という恋に盲目な女の子の幸せいっぱいのポップ・ナンバー。軽い手拍子にのって流れてくる“大好きだわ”のフレーズに思わず笑顔になってしまう。キラキラとした効果音と3人の愛らしい歌声が可愛らしさを演出している。
09クレナイの季節
本人たちが“美勇伝の楽曲中で一番大人っぽい”と語る5thシングル。メロディ・ラインのほとんどをソロ・パートで構成したナンバー。ソロを強調したサビに彼女らが初挑戦したハモリを加えて、派手な要素を削ったシンプルさで“大人っぽさ”を演出している。
10唇から愛をちょうだい
全体的に攻撃的なアップ・テンポの楽曲。ラップ調の旋律を持つA、Bメロと、なめらかな旋律を持つサビのギャップも激しい。女らしさを可愛らしくしなやかに表現する彼女たちには珍しく、格好良さを前面に押し出したクールな面を披露している。
11パジャマな時間
月の光を想起させるハープの音色とささやくような歌声で綴るファンタジックなナンバー。ミドル・テンポでゆったり流れ、子守唄のように響く。寝る前になると好きな人のことを考えてしまう女の子の気持ちを描いた心温まるラブ・ソング。
12まごころの道
“まごころが勇気をくれる”“人に出会えてやさしくなれる”という感謝の気持ちを、飾らない言葉でダイレクトに伝えるミディアム・スロー・バラード。歌謡ショーのエンディングのような曲調がどこか懐かしいナンバー。
13チェックアウト
アルバム『スイートルームナンバー1』のラストはチェックアウト時に寝坊してあわてる石川と三好、それをしり目にちゃっかり自分だけ準備万端な岡田の掛け合いを面白く描写。アルバムのオープニング・スキット同様、3人の個性が色濃く反映されてアルバムは終幕を迎える。