ミニ・レビュー
デビューから6年間の軌跡をまとめた初のベスト・アルバム。26枚のシングル曲をリリース順に追いながら、新曲3曲が楽しめる構成。元メンバーで作曲家の多保孝一とともに育んできたロックンロール、バラードの躍動感と生命力にあらためて感嘆。今後5年、10年とさらに進化する姿が楽しみだ。
ガイドコメント
2013年9月25日リリースの、初となるベスト・アルバム。デビュー曲「ハロー・ハロー」から「愛をこめて花束を」「タマシイレボリューション」ほか配信限定を含むシングル全26曲に、新曲3曲を加えた全29曲を収録。
収録曲
[Disc 1]
01Bi-Li-Li Emotion
テレビ朝日系ドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』第2シリーズの主題歌のロック・ナンバー。戦隊モノ的な熱さを感じさせる管一発ホーンズのブリブリなホーン・アレンジをはじめ、どこか懐かしさを抱かせるアレンジが楽しい。
02ハロー・ハロー
2007年にリリースされた記念すべきデビュー・シングル。鍵盤を印象的に用いたスケールの大きなミディアム・アップ・ナンバーは、越智志帆の力強い歌声と相性抜群。憂鬱を吹き飛ばす“ハロー”の言葉。ためらいがちなあと一歩を踏み出させてくれる。
03マニフェスト
泥臭いアメリカンな雰囲気をたっぷりと湛えたブルーズ・ロックンロール。イントロを飾るベースのリフを中心に、ギターが絡むシンプルなサウンドを構築。それだけに、“ブルーズこそがマニフェスト”と高らかに歌う越智志帆のヴォーカルが映える。
04i spy i spy (Superfly×JET)
日産「キューブ」CMソングとして話題を集めたJETとのコラボ・ナンバー。音数は少なめ、どこかアンニュイなテンションで進むが、ニック・セスターのスモーキーなヴォーカルを食うかのような勢いで突き抜けるサビの爽快感は格別。
05愛をこめて花束を
TBS系ドラマ『エジソンの母』主題歌に起用された4thシングルは、多保幸一&蔦谷好位置とのおなじみのタッグに加え、作詞にいしわたり淳治が参加。ストリングスを交えた華やかなサウンドとハートウォームなメロディが弾けるミディアム・バラードだ。
06Hi-Five
5枚目のシングルはau「LISMO」CMソング。イントロからホーンが彩るパワフルなサウンドに思わず“Hi-Five”をかましたくなるような痛快なロックンロール・ナンバーで、バックに負けない力強いヴォーカルも力を与えてくれる。
07How Do I Survive?
モード学園のCMに起用された6枚目のシングルは、志帆自身もギターで参加した埃っぽいオールドなロック・ナンバー。蔦谷好位置のオルガンがいい味を出している。“やっぱり風変わりくらいでいい”と、窒息しそうな世の中に挑戦状を叩きつける。
08My Best Of My Life
フジテレビ系ドラマ『BOSS』主題歌の7thシングル。ピアノと歌による抑えめの導入から、後半に向けて徐々に熱を帯びていく王道アレンジのバラードだが、圧倒的なヴォーカルと繊細なアンサンブルは見事のひと言。余韻たっぷりのラストに胸が熱くなる。
09Alright!!
配信限定シングルとして発表されたフジテレビ系ドラマ『BOSS』オープニング・テーマ。“Na na na……”のフレーズとサビの爽快感が魅力。曲を引っ張るギターのリフなど、サイケなテイストもはらんだロックンロール・チューンだ。
10恋する瞳は美しい
キヤノン「IXY DIGITAL」CMソングの8thシングル(両A面)は、ファンクなアプローチが新鮮なナンバー。キラキラしたタイトルからは想像しにくいモヤっとしたサウンドに驚かされるが、恋に振り回される心情を歌った歌詞に納得。
11やさしい気持ちで
フジテレビ系『めざましテレビ』のテーマ曲に起用された8thシングル。まさに“やさしい気持ち”にしてくれるような爽やかなポップ・ナンバーで、サビのメロディの美しさは特筆モノ。エフェクトをがっつり咬ました、ガチャガチャしたギターが楽しい。
12Dancing On The Fire
キヤノン「IXY DIGITAL」CMソングの9thシングルは、エレクトロなアプローチに驚かされるダンス・ナンバー。ヴォーカルにエフェクトをかけたブリッジをはじめ、新境地といえる試みに挑んでいるが、芯の強さはもちろんそのまま。
13Free Planet
ソニー・エリクソンCMソングに起用されたアップ・テンポのロックンロール・ナンバー。導入からセッションのようなテンション高めの演奏が展開するが、それを引っ張るのは中村達也のタイトなドラム。ロング・トーンのメロディとの対比も楽しい。
14Wildflower
野生の植物を意味するタイトルのとおり、荒涼な大地にしっかりと根を張る花をイメージさせる力強いサウンドとヴォーカルが心に響く。どこか多国籍な雰囲気を漂わせるマンドリンもいいアクセントだ。フジテレビ系ドラマ『GOLD』主題歌。
15Always
“あの街=故郷”を舞台にした心温まる歌詞が印象的なミディアム・バラード。ヴァイオリン・ベース風のベースや蔦谷好位置のウーリッツァー、ストリングスが絶妙に隙間を彩るアンサンブルをはじめ、シンプルながらしっかりと作りこまれたナンバーだ。
[Disc 2]
01タマシイレボリューション
NHK「2010 サッカー」テーマ・ソングとなったアッパーなポップ・チューン。パーカッシヴなビートやブリブリのブラスなど、熱帯なアレンジに思わず体が揺さぶられる。自身が作詞/曲を手がけており、道なき道を切り開いて進め! と熱く呼びかける。
02Roll Over The Rainbow
乾いたギターのカッティングや転がるピアノ、志帆自身によるタンバリンなど、心弾むサウンドが心地よいスタンダードなロックンロール・ナンバー。燃える太陽を感じさせる夏を舞台に、“ちょっと大胆に恋せよBoys'n Girls”と煽るポップなサビが爽快。
03Eyes On Me
PSP専用ゲーム『The 3rd Birthday』テーマ・ソングの11thシングル。オーボエやハープも配したドラマティックなサウンドをバックに歌いあげるウィンター・ラヴ・バラードで、強弱をハッキリとつけた表情豊かなヴォーカルが魅力的だ。
04Beep!!
映画『漫才ギャング』主題歌の12thシングルは、ワイルドなロック・チューン。ベースにTOKIE、ドラムに小田原豊を迎えた鉄壁のリズムに、ギターがグイグイと絡むスリリングなサウンドが展開。クラクションを鳴らしながら突き進めと煽るように歌う。
05Sunshine Sunshine
「Beep!!」との両A面でリリースされた12thシングル。アコーディオンを用いたハートウォームなサウンドで進むカントリー風のナンバー。イントロをはじめ要所で使われるアコースティック・ギターの美しいアルペジオも印象的。
06Rollin' Days
配信シングルとして発表されたフジテレビ系ドラマ『BOSS』第2シーズン主題歌は、ジャキジャキ鳴らすギターのリフで幕を開けるスケールの大きなアメリカン・ロック。幾千のトラブルも、明日になりゃ何も変わらぬ毎日だ、と軽快に背中を押してくれる。
07あぁ
アルバム『Mind Travel』収録の「Ah」の歌詞ありヴァージョンとして発表された13枚目のシングル。ほとんどピアノと声のみで構成されており、ゴスペル風のぶ厚いコーラスと、それに負けぬ志帆の歌声は感動的。途方もない歌の力を堪能できる。
08愛をくらえ
映画『スマグラー おまえの未来を運べ』主題歌の14thシングル。ギリギリまで歪ませた“ワルい”ギターの音で切り裂くミディアム・テンポのロック・ナンバーで、“愛をくらえ”というユニークな響きを持つ言葉を活かしたサビが耳に残る。
09さすらいの旅人
映像作品の初回限定盤特典として発表されたナンバー。“誰かと心から愛しあえる明日”を探しながら、孤独にさまよう旅人。そんな詞世界にピッタリのサウンドを構築。微かな温もりを与えてくれるハモンドの音色に心が癒される。
10STARS (Superfly&トータス松本)
フジテレビ系ロンドン五輪のテーマ・ソングとして制作された、トータス松本とのコラボ曲。ホーンが多数配した華やかなサウンドながら、二人の強烈な歌声はそれを圧倒的に上回る存在感。掛け合いを披露する中盤以降の展開は見事。
11輝く月のように
TBS系ドラマ『サマーレスキュー〜天空の診療所』主題歌の15枚目のシングルは、Superflyのひとつの王道といえる力強く感動的なミディアム・バラード。心にやさしい光を与えてくれるような、やわらかなサビのメロディは秀逸。
12The Bird Without Wings
映画『闇金ウシジマくん』主題歌は、ゆったりとしたテンポで淡々と進むロック・ナンバー。“不恰好でも良いさ 僕なりにあがいていこう”など、独り言のような、だれかへのメッセージのような、絶妙な温度感で歌う表現力の高さは見事。
13Force
テレビ朝日系ドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子』主題歌の16枚目のシングル。冒頭からギター、ベース、オルガンのユニゾンで奏でるリフを中心に突き進むワイルドなロック・チューンで、“力をくれ!!”とイラだつように吐きすてる。
14Starting Over
あきらめていた明日も、ここからもう一度続けてみよう……笑われることを恐れて臆病ななってしまった自分に、優しく手を差しのべてくれるミディアム・ナンバー。ピアノやハモンドを印象的に配したやわらかな広がりを持つサウンドに、明るい明日が見えるよう。