ガイドコメント
デビュー・アルバム『ショウビズ』で日本にも衝撃を与えたミューズが待望のセカンド・アルバムを日本先行でリリース。2000年秋の来日公演で披露していた新曲も聴きどころだ。
収録曲
01NEW BORN
ベートーヴェン「月光」を思わせるピアノ演奏で幕を開けるドラマティックなナンバー。持ち前のトゥー・マッチ感覚を増大させまくる曲展開に、かつてのプログレッシヴ・ロックが持っていた過剰で大仰な世界観を彷彿とさせる。
02BLISS
“君のようになりたい”と願う、憧れとそうならない現実とのギャップを、シンコペーションを効かせたサウンドがもどかしげに表現するナンバー。ソフトからハードな展開へとギア・チェンジする得意の作風が炸裂している。
03SPACE DEMENTIA
マシューの弾く幻想的なピアノを核にしたドラマティックなナンバー。歌詞では、宇宙空間でひとりぼっちの状態にある宇宙飛行士の絶望が描かれている。激しさを増すばかりの感情過多な曲展開が、飛行士の精神状態と一体化している。
04HYPERMUSIC
レッド・ツェッペリンに通じる野太いグルーヴ感覚がたまらない疾走ナンバー。リズム隊のパワフルなプレイが、ミューズの音世界をフロア対応のサウンドへとシフト・チェンジ。そのタイトルに偽りなしの強力ナンバー。
05PLUG IN BABY
ミューズらしからぬエモ・パンクな曲調に、お得意の流麗なシンセ・サウンドを被せたポップなナンバー。24時間トゥー・マッチな彼らにしては、曲構成がシンプルで新鮮。神に向けられた歌詞には、性的な暗喩も!?
06CITIZEN ERASED
序盤のヘヴィな展開から、キーボード中心のなめらかな中盤、そして穏やかな終盤へと、組曲さながらに展開される7分間の大曲。彼らの持ち味である極度の躁と鬱を、ラウド&リリカルなサウンドによって完成度高く表現する。
07MICROCUTS
マシューの情感たっぷりな歌唱が展開されるラウドなロック・オペラ。もはや絶唱の領域にあるサビでの歌唱は、フレディ・マーキュリーか美輪明宏が降臨しているかのよう。終盤、ギターが左右に動き回って劇的に終幕。
08SCREENAGER
牛の骨で作られたパーカッションのポコポコとした音でスタート。こうした素朴な楽器を使う一方でシンセ・サウンドも多用。原始と未来との対比をテーマにしたかったようだが、サウンドが実験的すぎてファンには不評だった。
09DARKSHINE
タイトルどおりの暗く悲壮な曲調。ギターのエキゾチックな調べが、彼らの英国的世界にラテン風味を注入し、ピアノがエキセントリックに弾かれれば曲全体のヴォルテージは上昇する。そして歌世界にはいっそうの悲壮感がプラスされる。
10FEELING GOOD
歌姫ニーナ・シモンが1965年に発表したナンバーのカヴァー。ゆったりとしたテンポは原曲に準じているが、ジャズ・ブルースとラウド・ロックを混合させた激烈な解釈はミューズならでは。マシューの歌唱もかなり激しい。
11FUTURISM
“人生の充足や意味は、いまではなく未来に訪れる”と考える、未来主義者マシューの人生観が反映された歌詞が刺激的。ミューズならではのスケールの大きい曲調に、ニューウェイヴ調のヒステリックなギターなどで巧妙な味付けがなされている。
12MEGALOMANIA
オルガンが荘厳に鳴り響くプログレッシヴ教会音楽。持ち前のトゥー・マッチ精神が、厳粛さを通り越し、スペーシーなムードにまで達した作品世界が秀逸だ。歌詞は、マシューの誇大妄想癖をテーマにしたもの。