ミニ・レビュー
セカンド・アルバム。“一人の彷徨える男の一夜”をコンセプトにした、ストーリー性のある内容になっている。SILVA、篠原涼子とのデュエット曲もあり、宵の口から夜更けになり、夜明けに至るという都会の一夜の映像が浮かぶようだ。
ガイドコメント
椎名純平待望の2ndアルバムは、サウンド的にもより広がりを増し、大人な味付けで甘く薫り立つような一夜の物語を聴かせてくれる。SILVAや篠原涼子とのデュエットによる話題曲も収録。
ガイドコメント
椎名純平の待望の2ndアルバムは、サウンド的にもより広がりを増し、大人な味付けで甘く薫り立つような一夜の物語を聴かせてくれる。SILVAや篠原涼子とのデュエットによる話題曲も収録。
収録曲
01甘い夜〜intro
夜の都会で聞かれるような語りから物語はスタートし、ブラス・セクションの総奏が交互に挿入される。これから始まるショウに期待を抱かせる、アルバム『甘い夜の薫り』の、文字通り甘い香りが漂うようなイントロダクション・トラック。
02ショウタイム
コミカルなAメロの後、自然と歌声に引っ張られるような伸びやかな盛り上がりからサビへとつながる展開は、大人の妖しさを秘めた“ショウタイム”の幕開けのよう。ブレイクの挿入や音色の変化が効果的で、しっかりと楽曲を引き締めている。
03throb vs.smile (duet with SILVA)
男女の恋の駆け引きを、SILVAをフィーチャーして描きあげる。ドラム、ベース、エレピが配色されたバックは、オブリガードが連なって奏でられるもシンプルなサウンド。艶めいた複雑なメロディを完璧に歌いこなす二人の歌唱力が、押し出されるように前面に現われるようなナンバー。
04このまま
導かれるままにどこまでも流されるような、抑制の効かない想いを歌ったミディアム・スロー・ナンバー。「赤と青」「大胆と恥じらい」など一見相容れない事柄を盛り込んだ詞は、さまざまな感情を生む男女の関係性を隠喩しているようだ。
05SPARKLE
甘くしっとりとしたピアノ・ソロから心地良いストリングスやシタールへの展開は、やわらかな夜風を体に感じるような仕上がり。それに包まれた愛の輝きが生まれたという詞には、大きな喜びのメッセージが込められている。
06interlude〜六本木のテーマ
アルバム『甘い夜の薫り』に収録の、物語の幕間となる間奏曲。サックスのアンサンブルに続く、ソロ・パートが聴きどころで、陽気な気持ちに高揚させてくれる。夜の街を漂っているような雰囲気は、まさに“六本木”の夜を演出したといえるインストゥルメンタル。
07ローション
低い歌声と歪んだワウギターが映えるAメロから、サビでは伸びやかな高音で歌われる、陽気な日本語ファンク・チューン。マンネリに陥っている日常をどうにか打破しようする男のつぶやきが歌われている。
08あざわらう月
月はすべてを見透かしているのか、とさえ思えてしまうような視点から男女の恋愛模様を描いた、客観性のある詞が特徴。間隔の大きな波にゆったりと身体を委ねるような、愁いを帯びた雰囲気の曲調の上で、断ち切れないもどかしさを叫んでいるナンバー。
09interlude〜夜明け
アルバム『甘い夜の薫り』に収録の、物語の幕間となる間奏曲。無数のシンセサイザーの独特な音色が、流れ星のように現われては消えていく。夢の中をふわふわと漂うような、夜(=夢)と朝(=現実)の狭間を表現した、タイトル“夜明け”に相応しいインストゥルメンタル。
10永遠の彼方
過ぎた日のほろ苦くも大切な思い出とこれからの夢と希望を歌ったナンバー。多少の憂いを帯びながらも伸びやかであたたかみのあるヴォーカルを、ブラスやエレピ、コーラスなどが朗らかな空気で包み込んでいる。
11non-fiction
いつまでも胸に残る何気ない日常に生まれるささやかな喜びを想う歌。生のブラス・セクションを用いて、大切に包み込んだメッセージを引き立たせ、輝かせたのは、佐々木潤のサウンド・プロデュースによるもの。
12Time of GOLD (椎名純平with篠原涼子 feat.TOKU)
一見すると異色のユニットだが、いざ聴いてみるとジャジィなサウンドに、椎名のソウルフルな歌声と、篠原の艶やかな歌声が重なり、なるほどアダルトな化学反応を展開。「ジンジャーエール」のCM曲としても話題に。
13speedster
パーカッションとギターのカッティングが陽気なリズムを作り出し、風を切るようなストリングスが爽快感を演出。椎名のポップな一面を引き立たせたサウンド・メイクが秀逸な、さわやかなスピード感のあるナンバー。
14惑いの雨
雨模様をモチーフにした綴った物憂げな想いを、ブルース調の楽曲に込めたナンバー。サックス、オルガンなどが奏でる厚みのある音の波のなかで、どうにもならない切ない想いをセクシャルに叫んだヴォーカルが印象的。
15the light〜A Journey to the promised land
希望ある未来に向かっていくメッセージを、Aメロではやわらかく、サビでは強く歌いあげる、フィリー・ソウル風ナンバー。上品に響くエレピや間奏、エンディングでのシンセ・ソロなどが美しいコーラスに彩りを添えた楽曲となっている。
16outro
アルバム『甘い夜の薫り』のラスト・ナンバーでありながら、イントロの「甘い夜〜intro」が途中からフェイド・インする構成は、終わりなく延々と続く物語を示すよう。数十秒でフェイド・アウトし「さまよえる男の一夜の物語」の幕を閉じるアウトロ。