ミニ・レビュー
バロックの心くすぐる名品を素材に近現代の作曲家たちが編曲した作品の勘所を、イタリアの新鋭バックスは巧みに捕まえる。触れるような弱奏で旋律をアンニュイに漂わせ、とっておきのタイミングで溜めたパワーを解き放つ。そのジワと劇的で懐の深い語り口は、かつての上質な映画の音を思い起こさせる。
ガイドコメント
浜松国際ピアノ・コンクール、リーズ国際ピアノ・コンクールで優勝し、国際的に活躍するアレッシオ・バックスが2004年に録音したアルバム。バッハを中軸とした、バロック音楽を主題とするトランスクリプションや、母国イタリアの作品を収録。
収録曲
01トッカータとフーガ ニ短調BWV565 (J.S.バッハ/ブゾーニ編)
02協奏曲ニ短調BWV974 (J.S.バッハ) (マルチェッロ:オーボエ協奏曲による)
03前奏曲ロ短調 (前奏曲BWV855による) (J.S.バッハ/ジロティ編)
04カンタータ第147番〜主よ、人の望みの喜びよ (J.S.バッハ/ヘス編)
05「オルフェオとエウリディーチェ」〜メロディ (グルック/ズガンバーティ編)
06ヘンデルの「アルミーラ」によるサラバンドとシャコンヌ (リスト)
07バッハの「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番BWV1006」〜プレリュード、ガヴォットとジーグ (ラフマニノフ)
08コレルリの主題による変奏曲op.42 (ラフマニノフ)