ミニ・レビュー
耳新しいような装飾や意表を突く音の運びといった、ことさらなアプローチをいっさい仕掛けない。ごく正攻法に、書かれた音をまっすぐに受け止めるとこうなる、という音の姿。それでいて陳腐でも退屈でもない。むしろ、それなら、と耳を落ち着かせることで、紛れもないバッハの音と腑に落ちる。充足の業だ。
ガイドコメント
チェンバロ界というより、古楽界の重鎮といえるギルバートの1984年の録音。自身が所有する1674年製のチェンバロを使用している。大バッハが息子のために書いたという練習曲が、模範的な演奏で繰り広げられている。
収録曲
J.S.バッハ:
012声のための15のインヴェンション
0215のシンフォニア (3声のためのインヴェンション)