バンド活動を約7年半ぶりに復活させたSLT。まずはこのシングルでご挨拶。復活アルバム『Empowerment』も2011年5月に発売が決定した。本作収録の2曲とも、85年から25年という活動歴が自然に滲み出ていてまったく文句なしのチューン。抜群のハーモニーももちろん健在。
“復活・再生”と名付けられた2年ぶりのアルバムは、バンドの過去と未来を繋ぐ全74分を越える大作。軽やかなビートと多彩なギター・サウンド、清涼感あふれるヴォーカル、コーラスとキャッチーなポップ・ロック・ナンバーを揃え、しなやかに大空を飛翔している。
3曲A面扱いのトリプルAシングル。(1)は洋楽テイストの強いナンバーで、ダークな色調のギター・アレンジ、メロディ・ライン、ゲストの矢野真紀とのコーラスもメチャかっこよく、耳から離れそうもない強力作。(2)(3)もフックの利いたポップ・チューンを揃えている。
「A Crown」はミディアム・ナンバー、「Parallel Lines」はバラード。が、どちらもメロウであたたかみのある作品。洗練されたサウンドとコーラス・ワークは、彼らならでは。歌詞は嫌味なくさらりと、メッセージを伝えている。
思わず耳目を釘付けにされる後ろ向きモノローグな言葉が横溢。字余りを強引にうたう手法も今ほどスマートでない懐かしくも泥臭いやり方で、拓郎やさだにかつてハマッた30代後半以降の人には結構ツボなのでは。シティ・ポップ風のメロディはSLT流そのまま。
14人の名うてのリミキサーによる、シング・ライク・トーキングのリミックス・アルバム。オリジナルに足したり引いたり、かけたり割ったり……。料理のほどが興味深いが、どれももともとの持ち味は大切にしていて、怖いほど破壊しているものはない。
故ジェフ・ポーカロやネイザン・イーストをバックに迎えてのデビュー・ライヴから早10年、初のベスト・アルバムがついに登場。ブラック・ミュージックを独自な観点で昇華する彼らのセンスには脱帽する。初回限定でライヴCDが付く。★
プロデューサーのロッド・アントゥーンともすっかり息が合ってL.A.の乾いた香り漂う4枚目。軽快な(1)、反戦メッセージを壮大なサウンドに乗せてスマートに訴える(3)に続きシングル・ヒットがまだ生まれそう。音を一つずつ丹念に重ねたような完成度の高い作品。
前作より1年10か月ぶりの、97年のアルバム。写真の3人ともに肉が付いたように音も肉付きのよいものになっている。デビュー時から異常に完成度の高い作品を発表しているグループだけに、“有名品は安心を売る”の鉄則を守っている。やはり危うさは彼らには似合わないな。
新曲(1)に加え、シング・ライク新旧の名曲をリミックス。よりジャジーに、よリヒップに、よりドープに装いを変えた楽曲は、まるっきり別人のような個性を放っている。それを突き詰めていくと、原曲の持つクオリティの高さに行き着いてしまう。
バンドとしては8作目となるアルバムは、70年代中期から80年代中期のAORやブラコン素養として完全に自分たちのものとして消化している心地よいサウンドが魅力。まったく過不足なく音を組み立てる構成力で同傾向の他のバンドたちを圧倒している。
軽快なラップ調のポップ・ナンバー「TOGETHER」を、NY在住のアーティ・スカイとLA在住のキャット・グレイが、それぞれ2ヴァージョンずつリミックス、躍動感のあるアーティと乾いたノリを持ったキャットの土壌的違いが音に出てるのが興味深い。
前作『エンカウンター』から1年2ヵ月ぶり、通算7枚目のオリジナル・アルバム。相変わらず、よく歌えているし、ノリの良さもますますサエている。歌詞が結構、歌謡曲っぽいんだけど、それがキッチリLA〜東京ポップスになっているところが面白い。
ジェフ・ポーカロに捧げられた(2)は当然ながらTOTO風。この人達の基本はLAポップフュージョンであったか。LA〜東京2元録音で、LAセッションにはリー・スクラー、ラス・カンケルなど、一部のお父さんが喜びそうな人達が参加。よくできてますネ。
街の雑踏の音をバックに、いきなりア・カペラから始まるのが彼ららしい。これは彼らの初期の作品の中から、ライヴで好評を博したりして、人気の高いナンバーを中心に集めたベスト・アルバム。ライヴ・ヴァージョンや、アルバム未収録曲も入っていてお得。
時代は彼らの味方だと思う。音に対してマニアックで密室型、センスをうまく表現できる技能があり、言葉の世界は詩的に優しい。あとはそれがワン・オブ・ゼムに終わらないようオリジナリティをてっぺんに出せば、もうひとつ突き抜けられるんじゃないか?
佐藤竹善と藤田千章のソング・ライティングが光る彼らのセカンド・アルバム。覚えやすいキャッチーなメロディーに、70年代都会派ソウルやらファンク的要素をふりかけた、口当たりのいいポップ・スタイルが堂に入ってきた。
じっくりと醸造されたポップスのオン・パレード。正統派のAORだから極めてわかりやすく聴きやすくあきがこない。メロディ・メイカーとしても非凡。