映画『修羅雪姫』で知られる女優、梶 芽衣子が73年に発表したシングルをMEG-CD化。表題曲は演歌調だが、ノイジーなファズ・ギターと梶の憂いを帯びたヴォーカルが荒んだ女心を表現している。ウェスタン映画に流れそうな「おんなはぐれ唄」も情念たっぷりで最高です。

タランティーノが映画『キル・ビル　Vol.1』で挿入歌として「修羅の花」を使った時、やはりお前もファンだったのか！ と思った梶芽衣子ファンは多かったろう。アウトローを演じてきたカリスマ性を持った個性派女優のもうひとつの顔、歌手としてのDVD(ロング・インタビュー)付きのボックスだ。素っ気ないと思われる彼女の歌だが、無意識層に静かに麻酔をかけるのだ。芯が強いためなのか薄幸の女として生きるヒロインを、歌でも演じている。丁寧に歌われる歌詞には諦めが満ちていながら、歌声に情感を込めるといったことをせずに、さも当然といった感じに淡々と歌っていく。サウンドは時代によって演歌調からポップス系のサウンドへと変化しているが、それでも彼女の歌はカウンター・パンチ並の威力を発揮する。女をうたってきた歌手・梶芽衣子の45年がここにある。