
高橋アキが“知り合い”の作曲家たちに委嘱し、4枚組として92年に完成した同名シリーズは当時、贅沢な企画として注目された。再編しての再録音では、ブラッシュアップされた彼女のピアノが聴きものにもなった。アメリカの実験音楽家たちを中心にした今作、当時の“前衛”が近しく聴こえて新鮮。

一世を風靡した高橋アキの名盤「ハイパー・ビートルズ」全4枚。四半世紀の時を経て、何と再び始まったプロジェクト。ビートルズの名曲群が、多くの女性を含む現代作曲家の手により新しい命を与えられ、ピアノ一台で鳴り響く。武満 徹の名編曲「ゴールデン・スランバー」ももちろん収録。

ヨーコの絶叫ヴォイスとジョンのギター音響を中心にした26分超のライヴ「ケンブリッジ1969」など、ジョン・ケージに通じる実験音楽にこの時代特有の空気感が漂う、この名義での2枚目となる1969年作品。ヨーコが歌う子守唄のような「ソング・フォー・ジョン」ほか、計2曲のボーナス曲も収録。

1968年に発表されたジョンとヨーコのファースト・コラボ・アルバムの紙ジャケ盤。ジョンの自宅で録音された内容は、ハッキリ言って聴き手を選ぶアヴァンギャルドなもので、ジャケットともども物議を醸したのはあまりにも有名。ヨーコ初のポップ・ソング「リメンバー・ラヴ」をボーナス収録。

A&Mレーベルの音源の中からビートルズのカヴァーを選曲した日本編集の26曲入り。セルジオ・メンデス&ブラジル'66、クロディーヌ・ロンジェ、ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズなどが、楽曲の優雅な持ち味を引き出している。わかりやすく詳細な解説と歌詞/和訳付だ。

“天国のジョン・レノンへ招待状を送る”をテーマに、2009年12月から下北沢にて開催されていたイベントとの連動コンピ。TIMELIPの近藤金吾による「 9 DREAM」のダンサブルなカヴァーや、ザ・タートルズの松本タカヒロによるオリジナルなど、ジョンをちなんだ曲がユニークな形で並んだ注目作だ。

旋律がリコーダーだったり、チェンバロがリズム隊だったりと、古楽器での演奏ではある。が、原典主義的アプローチ(笑)を試みつつ、自由な洒落っ気をコッテリ盛り込む態度は、クラシックとエンタテインメントの良いとこ取りだ。“バロック”という単語には“凝った”という意味もあった! ★

ジョンとポールがビートルズ時代に書いた作品の新旧アーティストによるカヴァー集。ウィルソン・ピケットの「ヘイ・ジュード」のように昔から親しまれているものもあれば、カテリーナ・ヴァレンテの「恋を抱きしめよう」のような珍しいヴァージョンもある。これもビートルズの素晴らしさを証明する価値ある一枚だ。

ビートルズ・ソングをソウル、ファンク系アーティストがカヴァーした作品をコンパイルした一枚。チャカ・カーンを筆頭にサラ・ヴォーン、ジョージ・ベンソン、キング・カーティスなど豪華な顔ぶれで大変お薦めな一枚。よく知っているビートルズを違った印象で楽しめる。

72年の作品。Disc1はフィル・スペクターのプロデュースによるスタジオ録音。Disc2はライヴで、(3)〜(6)はフランク・ザッパ&マザーズとの共演だ。政治的な内容の歌が多く、レノンのラディカルな面を浮かび上がらせてはいるが、作品としてはやや散漫。

未発表のホーム・レコーディング、スタジオ録音のアウト・テイク、ライヴなど94曲を収録した4枚組ボックス・セット『ジョン・レノン・アンソロジー』のダイジェスト盤。スタジオでのやりとりなどがカットされているが、この一枚でも十分伝わる。貴重盤。

一家に1セット。歴史的な箱でしょう。94の未発表音源(未発表曲も)による4枚組ボックス・セット。未完のホーム・レコーディング・テイクが生々しく響く。アート・ワークもブックレットも充実。と思ったらこれを書いてる今日は命日なのだった。★

これまで発売されていたベスト盤から数曲を入れ替えた新編ベスト。他社に残した遺作『ミルク&ハニー』からも3曲が収録され、これまで以上に彼の業績が総括されている。ポールとまったくテイストは違うがジョンも優れたメロディ・メイカーだった。

オルゴール・サウンドで綴るビートルズ曲集は、まるで天使の響きのように、明るく、無邪気な子供達の会話のように聞こえてくる。オルゴールの音色がこれ程心に浸みるとは新しい感動でさえある。ここではリトル・ビートルズ達がじゃれている…。

オルゴールの音って、何て心和むものなんだろう。繊細な音の一つ一つが雪粒のように心に染み込んでいく…とちょっと詩人してますが、ビートルズの名曲をオルゴールでカヴァーした隠れた名盤。恋人へのプレゼント! などと考えるアナタのセンスは最高。

ジョンの生誕50年、悲劇から10年たちジョン・レノン伝説をさらに確実なものにしようとする企画。新世代へ語り継ぎたい旧世代のヒーロー伝説となったジョンの初CD化ヴァージョンを含む作品集だ。ロックンローラーであり続けようとしたジョンがいる。

日本編集のベストで売り上げ期待盤といったところだけど、なかなか“ツボ”を得た選曲が嬉しい。プラスティック・オノ・バンド時代のヒットから、ソロになってからの名曲まで、片寄ることもなく収録されているので、クルマに1枚ほしいという感じ。

これまで発売されていたベスト盤から数曲を入れ替えた新編ベスト。他社に残した遺作『ミルク&ハニー』からも3曲が収録され、これまで以上に彼の業績が総括されている。ポールとまったくテイストは違うがジョンも優れたメロディ・メイカーだった。

ジョンとヨーコが制作した3枚のアヴァンギャルド作品の最後を飾った、69年10月発表の“結婚記念”アルバムの国内初CD化。互いに名前を呼び合うだけの(1)ほか、今回はボーナス・トラックとしてシングルB面曲だった(3)〜(5)のレア・トラック収録が嬉しい。

古き良い時代の前衛芸術家、またハプナー、ヨーコの本領発揮の音楽。(1)は情念芸術(音楽)と呼びたい。全編例の叫び声が堪能できるが、ノイズとしての声としては、鬼気迫るものがある。ほかは少々稚拙(そこがミソでもある)だが、ま、概念芸術はしている。

後期ビートルズ時代に発表された幻の問題作がCD化。当時のアナログ盤では(1)がA面に、(2)がB面に置かれていただけのまさに前衛極わりない作りだったが、音の方も1曲14分、曲とは思えない奇怪な音が鳴り響いている。ボーナス・トラック付き。

エリック・クラプトンやアラン・ホワイトらによる急造バンドにもかかわらず、なかなか面白いプレイが楽しめる。ジョンが中心に歌う(6)まではロックンロールだが、やっぱりヨーコが喉を震わせるフリーキーな(7)(8)がスゴイっす。32ページのカレンダー付。

ジョンの死、という衝撃でスタートした感のある'80年代も、もうすぐ終わろうとしている。日本では'82年12月8日に発売されたベスト盤に、(18)(19)を追加してのCD化。ある意味で悪戦苦闘の時期をようやく乗りこえ、これからっていうときに……心にしみます。

復活の序曲がたちまち終曲となってしまった。犯罪者を除いて誰も望んでいなかったあまりにも短い復活だった。息子ショーンの「パパはビートルズだったの?」という言葉から総てが動き出したのに…。愛と希望に満ちた詩と、生き生きした声が残された。

72年の作品。Disc1はフィル・スペクターのプロデュースによるスタジオ録音。Disc2はライヴで、(3)〜(6)はフランク・ザッパ&マザーズとの共演だ。政治的な内容の歌が多く、レノンのラディカルな面を浮かび上がらせてはいるが、作品としてはやや散漫。

'74年、ヨーコとの別居中にレコーディングされたアルバム。当時、聴いた時は「暗いアルバムだな」と思ったが、今聴くと、それほどでもない。でも、(6)の怖さだけは変わらない。ヒット曲(7)はやはり名曲。(12)にはジュリアンがドラムスで参加。重い1枚です。

'73年発表。『イマジン』とその次の『サムタイム・インNYC』を合わせたような作品だ。彼のユートピア的思想と政治的な主張が整理されないまま収められているといった感じだが、あらためてこうして聴くと、すごく個人的な歌ばかりのようにも思える。

いまさら何も言うことのないアルバム。音楽的な装飾をすべて取り除いたような、むき出しのロックだ。驚くほど深刻な現実認識がありふれた歌ばかり((10)では“夢は終わった”とうたわれている)で、いまも聴いていて身が引き締まる思いがする。ロックの最高の作品。

69年から75年までのレノン/オノ・バンドによるシングル&ベスト集。75年に発表され、このあと彼は『ダブル・ファンタジー』まで沈黙してしまうのだった。(5)〜(10)はオリジナル・アルバムで聞いた方がいい。他のシングルものが貴重だ。

みんな大好き、ジョンの『ロックン・ロール』! スタンダードを歌うにしても、やっぱりジョンは違うなと、本当に感心してしまう。初めて聞く少年少女諸君は、ここからルーツ探しを、オッサンどもはこれ聞いてカビとサビを落とすように。

衝撃的だった『ジョンの魂』に続くソロ第2作。71年に彼の自宅で録音されたものである。タイトル曲、「ジェラス・ガイ」など、彼の心模様をそのまま歌にぶつけたような素晴らしいバラードが並ぶ。(8)はポールをまっこうから批判したナンバー。

'74年発表の『ウォールズ・アンド・ブリッジズ』と'75年発表の『ロックン・ロール』のレコーディング・セッションからの未発表テイク集。前半の5曲は楽しく聴けるが、後半の5曲は、ジョンの肉声が痛々しく響き、聴いているのが辛くなってくる。

72年8月30日、マジソン・スクエア・ガーデンで2万5千人もの聴衆を集めて行われたチャリティー・コンサートのライヴ。「イマジン」「平和を我等に」他ジョンの力強い歌の数々が胸に迫ってくる。時代は変わってもジョンの魂は永遠に生き続けている。

聖書に出てくる乳と蜜の流れる約束の地に皆を引っぱって行こうとしたジョン。現代文明のひずみそのものの銃弾に倒れたジョンの最後の録音になった。ピアノとリズムマシンによる曲“Grow old with me”は最後のメッセージ。