ミニ・レビュー
英国の3人組のデビュー作。静かな曲は別として時々昔のフーやバズコックスを思わせる荒っぽいビートがよいし、部分的に挿入されるキーボードもいい味を出しているし、曲も悪くない……だけに、ギターの音と歌声がや上滑り気味の感じなのが惜しい。
収録曲
01アイド・ライク・トゥ・ノウ
若さあふれるモッズ・パンク・ソング。勢いのあるリズムに乗って、へなちょこなキーボードのフレーズとコーラス・ワークが冴えわたるひねくれポップ。ドライヴするギター・サウンドも爽快の一言。
02コウト・バイ・ザ・ファズ
記念すべきデビュー・シングル。荒いギター・サウンドと勢いに任せたギャズのがなりヴォーカルが凄まじいテンションで発せられているが、特筆すべきはメロディの良さ。キャッチーなフレーズが一瞬でハートをとらえる。
03マンサイズ・ルースター
2ndシングル曲。ホンキー・トンキーなピアノのフレーズに60年代サウンドからの影響をうかがわせる。そこから一気に転調しての疾走感のあるメロディで畳み掛ける様は、かなり突き抜けていて快感だ。
04オールライト
叩きつけられる陽気なピアノが印象的な跳ねるようなポップ・ソング。肩の力の抜けた気楽なサウンドと、シンガロングできそうなほど歌心にあふれたシンプルなメロディに胸がキュンとなってしまう。
05ルーズ・イット
へヴィなギターを前面に押し出した、若干シリアスな雰囲気が漂うナンバー。打ち込みサウンドや美しいコーラスによるポップ的なアプローチが生み出す効果は高く、ダンサブルなビートとともに身体が揺らされる。
06レニー
裏打ちビートとハードなギター・サウンドの上を軽やかなヴォーカルが飛び交うダンサブルなロック・ナンバー。タイトなバンド・セッションが生み出す骨太なグルーヴは、逃げることのできない吸引力。うっかりしているとどんどん引き込まれてしまう。
07ストレンジ・ワンズ
ガレージ・ロックのように荒々しいサウンドが駆け抜けたかと思えば、ブルースのようにルーズなビートで聴かせたりと、転調によるコントラストがなかなか面白い。スーパーグラスのひねくれたポップ感とストレートなパンクが無理矢理同居しているようだ。
08シッテング・アップ・ストレイト
緩やかなピアノから一転して、前のめりのビートに乗ってバシャウマのように駆け抜けていくモッズ・ソング。マシンガンのように矢継ぎ早なヴォーカルと、メロディックなサビの突き抜けたサウンドは青くて眩しすぎる輝きを放っている。
09シーズ・ソー・ルーズ
アコースティック・ギターをフィーチャーしたセンチメンタルなギター・ポップ。効果的に織り込まれたストリングスのフレーズが、ささやかではあるがドラマティックに曲を盛り上げている。
10ウィ・アー・ノット・サポースト・トゥ
子供の声などのコラージュが差し込まれていたり、アコースティック・ギターでおどけた調子で歌っていたりと、なんだか子供番組の主題歌のようなかわいさ。気軽でありながら、キャッチーなサウンドはしっかり押さえているところがニクい。