ミニ・レビュー
77年の4番から昨年録音の8番まで、3つのオケと17年の歳月をかけて仕上げた全集だ。85年の10番以降の6曲はすべてライヴ録音。アバドは過度の感情移入をしたり、精神論を持ち込むことなく、スコアを冷静に吟味してクリアに再現するというスタンスを貫く。その結果、すっきりと見通しがよく重苦しくない、しなやかで健全なマーラーを確立した。節度のあるロマンティシズムと、時には神秘性や官能美さえ感じさせる上、透明度の高いスケール感と細部のきめこまやかな美しさを兼備する。現代的マーラーの一典型だ。
演奏
クラウディオ・アバド指揮 (1)(5)(7)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (2)~(4)(9)(10)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (6)(8)シカゴ交響楽団 チェリル・ステューダー(S)フレデリカ・フォン・シュターデ(Ms)ペーター・ザイフェルト(T)ブリン・ターフェル(Br)他