ミニ・レビュー
オフコース時代の発表曲を含むラヴ・ソング集。ここでのヴォーカルには小田流の激しさが表出し、「愛を止めないで」「緑の日々」などでみせるメリハリの強調は、いまの歌としてのアプローチであろう。佐藤竹善や鈴木雅之らがバック・ヴォーカルで参加。
ガイドコメント
オフコース時代のナンバーからソロ時代のものをまとめたベスト・アルバム。ほとんどの曲を再レコーディングし、リマスタリングしたという徹底ぶりで、彼の透明な声や染み渡るメロディが存分に楽しめる。
収録曲
01キラキラ
TVドラマ『恋ノチカラ』の主題歌。アップ・テンポなサウンドと“キラキラ”や“ゆらゆらゆら”といったフレーズが耳に残り、ドラマに見事なまでのキラメキを提供。小田和正の新境地を切り開いた作品。
02秋の気配
1977年に発表されたオフコース作品のセルフ・カヴァー。生音ドラムを打ち込みに変更するなど、時代の流れを感じさせる新たなアレンジが施されており、オリジナルよりもテンポを落とした仕上がりとなっている。
03愛を止めないで
1979年に発表されたオフコース作品のセルフ・カヴァー。ブラス・セクションの導入やコーラス・アレンジなどに、オリジナルとの違いが見られる。主旋パートとの複雑な絡みが楽しめるコーラス・アレンジが白眉。
04さよなら
1979年に発表されたオフコース作品のセルフ・カヴァー。過剰なほどドラマティックなアレンジが施されていたオリジナル・ヴァージョンと異なり、こちらのカヴァーは装飾を排した“うた”を聴かせる仕上がりに。
05Yes-No
80年に発表されたオフコース作品のセルフ・カヴァー。オリジナル・ヴァージョンのイメージを一新するアレンジが施されており、ブラスをフィーチャーしたメロウなファンク・ナンバーに仕上がっている。
06言葉にできない
82年に発表されたオフコース作品のセルフ・カヴァー。小田のヴォーカルを中心に据えたシンプルなアレンジで、イノセントな響きをもったその歌声には神々しささえ感じる。CMソングとしてもお馴染みの名曲。
07緑の日々
84年にオフコースで発表したオリジナル、93年のソロ・アルバム『ルッキング・バック』収録ヴァージョンに続く3度目の歌唱。アレンジ面での大きな違いはないが、ヴォーカルは一段とコクを増している。
08Oh!Yeah!
大ヒット曲「ラブ・ストーリーは突然に」とのカップリングで、両A曲としてシングル発売されたナンバーをセルフ・カヴァー。鈴木雅之、佐藤竹善という、J-POP界屈指のヴォーカリストがコーラスで参加している。
09ラブ・ストーリーは突然に
91年に放送されたTVドラマ『東京ラブストーリー』の主題歌であり、鮮烈なイントロのギターの音色とともに、ドラマのストーリー展開と見事に符合した屈指の名曲としてメガ・ヒットを記録した。
10my home town
93年発表の名バラードをセルフ・カヴァー。ストリングスをフィーチャーするなど、アレンジ面での大きな違いはないが、自身の故郷である横浜を歌った作品だけに、年齢を重ねたゆえの新たな味わいが生まれている。
11風の坂道
印象的なアコースティック・ピアノのイントロから始まり、静から動へと展開されるアレンジが美しくも重厚なバラード曲。本当に大切なものを忘れてはいけないという歌詞も秀逸。
12伝えたいことがあるんだ
TVドラマ『最後の恋』の主題歌。アップテンポだからこそ凄みが増す彼のヴォーカルや、思いのたけを吐き続けるような「伝えたいことがあるんだ〜」という歌詞が印象的だ。
13緑の街
97年にシングルでリリースされたバラードのセルフ・カヴァー。サラリと歌い上げていたオリジナルに比べると、ヴォーカルのテンションはやや高め。自身が監督を務めた同名映画の主題歌でもあった。
14風のように
シングル「緑の街」のカップリングに収録されたバラードのセルフ・カヴァー。元“赤い鳥”の山本潤子がコーラスで参加している。オリジナル・ヴァージョンは日産「エルグランド」のCM曲にも起用された。
15woh woh
99年リリースのシングル曲で、一途な想いを綴った歌詞と“woh woh”というサビのフレーズが印象的なラヴ・バラード。JRAのテレビCMソングでもあり、幻想的な映像とあいまって大きな話題となった。