ミニ・レビュー
インディーズで話題のバンド、メジャー・デビュー・シングル。“春”をテーマにした2曲入り。歌謡曲をうまく消化した和メロに、少し鼻にかかったヴォーカルがよくなじむ。2004年一番期待の新人でしょう! エレキ・フォーク+GS+ノイ! な(2)がまた、秀逸。★
ガイドコメント
デビューに先駆けて限定発売した「アラモルト」で注目されるフジファブリック。この1stシングルは“春”をテーマに切ない恋を綴った作品。日本情緒あふれる描写方法が、名曲を誕生させた。
収録曲
01桜の季節
切ない恋愛模様を歌った哀愁歌。澄み切ったブレのないヴォーカルと透明感のあるクリアなキーボードが印象的。素朴で情緒のある歌詞は味わい深く、しっとり染みてくる。少しの野暮ったさもない。ストレートな心情描写から垣間見える、リアルな香りもたまらない。やるせない和風の春歌は、聴き込むほどに映えてくる。
02桜並木、二つの傘
“終わり”の見え隠れする男女の心模様を少しの毒味をもって描いた、彼ららしいしみじみと切ない曲。もはやどうにもならない二人の関係をなかば開き直りで嘆く仕草に、涙でにじむ桜並木を想像してしまう。くねくねとループするベース・ラインが印象的で、とぼけたような音使いだが、不穏な春の季節をうまく打ち出している。