ミニ・レビュー
4枚目のアルバムで、シングル曲(2)(5)やTVドラマ『危険な関係』の主題歌(9)、インスト(3)(8)などすべて彼女の作詩曲の全11曲。奇をてらったりすることなく、あくまでも素の味を大切にした唄い方が逆に、それぞれの楽曲が持つ世界をクリアに見せてくれる。
ガイドコメント
デビュー3周年を迎えた柴田淳の通算4枚目のアルバム。瀬尾一三を筆頭に、数々の名プロデューサー、名アレンジャー陣と組み、より音楽的な幅を広げた作品に仕上がっている。
収録曲
01おかえりなさい。
疾走感のあるサウンドが、今にもちぎれそうな恋人同士の関係を痛々しく、ドラマティックに演出している。芯の強いヴォーカルもサウンドに負けることなく存在感を誇る、リリースごとにうかがえる成長と自信を感じさせるような1曲だ。
02白い世界
本人が奏でるピアノの音色も美しいミディアム・バラード。「白」というはじまりを描いた繊細な詞世界も彼女らしいが、なんといっても彼女最大の魅力である、伸びやかなヴォーカルがじっくりと堪能できる一曲。羽毛田丈史による編曲も秀逸。
03ゲーム (instrumental)
04あの夏
軽くエコーのかかったヴォーカルとバックで鳴るシンセサイザーの音色が、夏の終わりの儚さや切なさを幻想的に演出するナンバー。「ひと夏の恋」という夏の定番イメージを思い出させてくれる、彼女の雰囲気にマッチした1曲だ。
05ちいさなぼくへ
まろやかな心地良いヴォーカルがのる、シンプルなミディアム・スロー・バラード。過去の自分に語りかけるような詞が印象的な心温まる一曲で、ナチュラルな“柴淳”の魅力が詰まっている。
06いつか王子様も♪〜拝啓、王子様☆続篇〜
美しいメロディにしっとりとしたヴォーカルが魅力の彼女が、縦ノリのポップ・サウンドにチャレンジ。自在に変化し音色を使い分けるギター・サウンドに同調するような彼女のヴォーカルが、楽しげに聴こえるナンバー。
07道端
グルーヴ感ある分厚いロック・サウンドに絡む、身体の底から搾り出すヴォーカルが、リスナーの耳をつかんで離さない。バラードだけではないんだという意地も見え隠れする彼女の振幅の広さと成長がうかがえる1曲だ。
08また明日 (instrumental)
09幻
イントロのピアノから切なさを予感させる、失恋を歌ったミディアム・バラード。“柴淳”の持ち味である澄んだハイトーン・ヴォイスが美しく、真っ直ぐに届いていく。女性らしく情感たっぷりの表現力で、聴く人の心に切なく響いていく。
10一人暮らし
親からの独立という“一人暮らし”という決断を、大袈裟すぎるくらいの壮大なストリングスでドラマティックに描いたナンバー。ラブ・ソングといえば男女愛が多く歌われるが、これは家族愛をテーマにした、柴田淳流のラブ・ソングだ。
11わたしの夢
「夢」を追いかけている姿の美しさを、幻想的なストリングスとピアノで描き上げた、幸せに満ちあふれたナンバー。また、共演は、彼女の「夢」でもあったピアニストの塩谷哲を迎えている。