ミニ・レビュー
2005年3月に3年がかりの路上ライヴ1,000回を達成した川嶋あいのファースト・アルバム。馴染みやすく耳に残るアイドル系ポップ的な感覚が、全12曲中6曲がタイアップという業界人気の秘密といえそう。路上ライヴの積み重ねが嫌味のないノリのよさを生んでいる。
ガイドコメント
I WiSH解散により話題集中の川嶋あいの過去シングル5曲を収録した1stアルバム。足かけ3年かけて路上ライヴ1,000回を2005年3月に達成予定と、あらゆる面で一区切りを迎えた彼女の新たな第一歩といえる作品。
収録曲
01eighteen's days
モータウンっぽいムードをダイレクトに感じさせるバンド・アレンジのなかで描かれるのは、タイトルどおり、18歳のリアルな心情。大人と子供の間で揺れ、未来に対する不安を感じながらも、毎日を一生懸命生きる。彼女の生命力あふれる声が、そんな18歳という季節を生き生きと映し出す。健康的なポジティヴ感にグッとくる。
02絶望と希望
I WiSH解散、そして路上ライヴ1000回達成といった流れのなかでリリースされた6thシングル。相反する意味のタイトルが示すとおり、夢の途中に立っているリアルな自分の気持ちを歌うミディアム・チューン。新たなスタートを切った彼女のピュアな声が心地よく響く。PS2『シャイニング・フォース ネオ』テーマ・ソング。
03マーメイド (Album Ver.)
失ってしまった恋を回想しながら、ひとりで切ない思いにとらわれる……。そんなテーマを彼女は、ロマンティックなポップスへと結実してみせる。ジメジメとした恨み節ではなく、あくまでも心地よいポップスとして。その彼女のスタンスは、本当に魅力的で力強い。ふわっと宙を舞うようなサビのメロディも絶品。
04夢で逢えたら
どこか陰鬱な空気が漂うメロディ、クラシカルな情感を伝えるピアノ・タッチ、そして、悲しみの本質をしっかりと浮き彫りにするヴォーカル。夜、ひとりで“あなた”を思い、会いたいという気持ちを抑えきれず、たくさんたくさん泣いてしまう……。あまりにも切ない音像をストレートに描いたバラード・ナンバー。きちんと抑制を効かした旋律がいい。
05525ページ
06僕たちは...
デリケートな響きをたたえたピアノ、素朴な味わいを持つアコースティック・ギターを中心とした、可憐にしてアコースティックな楽曲。ささやくようなヴォーカルが聴く者に伝えるのは、いいことも悪いことも受け止めながら歩いていく、“僕たち”の姿。普遍的なテーマをわかりやすい言葉で表現したリリックは、ポップスと童謡の幸せな融合といった雰囲気。
07福岡〜The Rock'n Roll〜
福岡に到着したことを知らせる駅のアナウンスからはじまる、ご当地ロックンロール。とことんアグレッシヴに走りまくる8ビート、びりびりに歪んだエレクトリック・ギター、ポップに爆発するシャウト。“弾き語り中心のシンガー・ソングライター”という印象が強い彼女にも、めんたいロックの血はしっかり流れているようだ。
08「さよなら」「ありがとう」〜たった一つの場所〜
09同級生
80'sテクノ・ポップというフレーズを思い出しそうになるデジタル・ビートが新鮮な、アップ・テンポのポップ・チューン。“同級生にほのかな恋心を寄せる、でも、なかなか気持ちが伝えられない!”というようなリリックもなんだかとっても愛らしい。軽やか&ノスタルジックなヴォーカルも、この曲の魅力のひとつ。
10雪に咲く花
あなたと出会って、3度目の冬。今年もあなたと一緒に歩いている。もちろん、これからも……。恋人たちの愛らしい関係を、冬の景色をバックに描き出したウィンター・ラヴ・バラード。楽曲によってヴォーカルの雰囲気をきちんと変える彼女だが、この曲における温かさにあふれた表現力からも、その才能ははっきりと伝わってくる。
11この道ふらふら
大らかでしなやかなソウル感、ブルースっぽさがほのかに香るナンバー。夢に向かって進んでいこう、人生をはりきって乗り切っていこう、と決意する“僕”を主人公にした歌は、どんな人も共感できる間口の広さを備えている。一気にスケール感がアップしていくサビのメロディ、高揚感たっぷりのコーラスがとっても気持ちいい!
1212個の季節〜4度目の春〜