ミニ・レビュー
叙情とビートの融合感をいっそう強めている6作目。先行シングル(12)(6)で見せた動と静のダイナミズムを自然に押し広げたかの起伏を具えた作風だが、ラテン風味の熱情もレゲエの哀感もエレクトロニカな躍動も彼らならではの都会的感性のフィルターを通して描かれている。★
ガイドコメント
シングル「crush the window」「夕凪UNION」を収録した、通算6枚目のアルバム。ロック、ヒップホップ、フォーク、エレクトロニカ、あらゆるジャンルが共存する刺激的なサウンドが全開だ。
収録曲
01Intro
アルバムのオープニングを告げる、タイトルどおりの短いイントロ。何かの始まりを予感させるような英語詞の語りとシンプルなビートからスタートし、ギターのカッティングとダブ・ミックスされた簡単なライムが繰り返され、2曲目へとつながっていく。
02Los Lobos
めまぐるしいビートをバックに、シンプルなベースとギターのリフがサウンドを支えるアッパー・チューン。荒々しいエネルギッシュなヴォーカルと、メロディアスなギター・ソロが印象に残る。
03Resound (feat.HIDE、136)
ベースの重低音とスクラッチからスタートする刺激的なナンバー。音数は少ないが、サウンドは十分アグレッシヴ。歪んだギターのリフが全体のイメージを前のめりな感じにしている。スピード感のある楽曲だ。
04Palmas Rock (feat.UZI-ONE)
キャッチーなギターのリフに、歌心あふれるベースがからんでスタートするミディアム・スロー。リズムはレゲエ風の後ノリだが、サビでは勢いのあるビートが入ってきたり、コーラスが入ったり、変化に富んでいる。
05Scarlet Needle
スカ調のギター・リフに流れるようなベース・ラインが入ってきてはじまるミディアム。男っぽいラフなヴォーカルがカッコいい。タイトルのスカーレットをはじめ、緋色、クリムゾンなど、赤色を示す単語が多く使われている。
06夕凪Union
2005年7月にリリースされた14thシングル。シンプルなビートとグルーヴィなベース、わかりやすいギターをバックに、メロディアスなヴォーカルが続く、ミディアム・チューンだ。味付けのスクラッチ音が刺激的。
07The Narrow Way
スピード感あふれるビートに、スパニッシュ調の哀愁を感じさせるギターがからんでスタートする個性的なナンバー。語りかけるようにソフトに歌われる英語詞のヴォーカルと、対照的に饒舌なアウトロのギター・ソロが聴きどころ。
08Cloverleaf
ゆったりしたギターのイントロから、スクラッチ音をフィーチャーしたバッキングがスタートするミディアム・チューン。肩の力が抜けたヴォーカルと、サビの緊張感あふれるドラムのフレーズが印象に残る。
09Illogical
前の曲から続いて始まる、1分ちょっとのインタールード。変拍子のうねるようなベース・ラインが全体を支配し、そこにスクラッチ音とシンプルなギターのコード、英語の簡単なライムが乗ってくる小曲。
10Round Up
バリの民族音楽を彷彿させるサウンドに、アッパーなビートがからんでスタートするアシッド・チューン。新世界を目指して進んでいく様を歌った歌詞も、広がりのあるサビも、上昇感があってGOOD。
11Loca Burnin' (feat.アイニ、Shinji Takeda)
アイニのラップと、Shinji Takedaのサックスをフィーチャーした聴きごたえあるナンバー。全体を彩るダンサブルなビート、スカっぽいギター・サウンドもカッコいい。渋いエンディングも聴きどころ。
12Crush the window
2005年6月にリリースされた13thシングル。スピード感あふれるビートにシンプルだが存在感のあるベースとギター、攻撃的なラップとメロディアスなサビで構成されるDragon Ashらしい一曲だ。
13朝凪Revival
ゆったりとしたギターのリフと、スピード感あるビートが好対照なサウンドを描き出す、スケールの大きなナンバー。何人ものコーラスをフィーチャーしたサビも、広がり感があって聴きごたえあり。
14See you in a Flash
ギターとベースだけのイントロから、徐々に様々な音が重なってくるドラマティックな構成のナンバー。語りかけるようなヴォーカルも器の大きさを感じさせる。一度無音状態になってから、シークレット・トラックのような形でラストを締めくくる。