ガイドコメント
前作より1年7ヵ月ぶりとなる4thアルバム。シャッフルのリズムが痛快なヒット曲(10)や熱いロック全開の(16)など、ヴァラエティに富んだ1枚。シングル5曲を含む全18トラック、約70分にも及ぶ充実ぶり。
収録曲
01THE NIGHTS
アルバム『愛羅武勇』のオープニング・インストゥルメンタル・ナンバー。ティンパニのドラム・ロールからストリングス、コーラス、ホーン隊の大仰なオーケストラ・サウンドが、阿部義晴の指揮によってドラマティックに展開していく。
02夢見る頃を過ぎても
アニメ映画『ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』(2005年)主題歌の8thシングル。“大人になるまで”の詞やサビ前のドラの音などアニメを意識しているが、明快でシンプルなロックとして純粋に質が高いキラー・チューン。
03〜ENGINE〜
アルバム『愛羅武勇』の次曲「勇気」へとつなぐ、インタールード。集団の士気を高める“気合い入れ”によって、本格的な氣志團ワールドへのギア・チェンジ的な役割を果たすが、硬派に決めたかと思ったら最後に“ニャー”とやるところがニクイ。
04勇気
キワモノのレッテルを貼られても動じなかった彼らが、“俺達は阿呆じゃない”“勇気だけが俺達の誇り”と自らのアイデンティティを誇示したハード・ロック・チューン。安定したギター・サウンドが展開する、てらいのなさがかえって新鮮。
05俺達には土曜日しかない
バイクのエンジンをふかす音が飛び込んでくる9thシングル。バイクの車種を連呼するラップ調のヴァースとロカビリー調サウンドが爽快。ブリッジの「ヤングマン」〜ベイ・シティ・ローラーズ「SATURDAY NIGHT」風のコールには思わずニヤリ。
06一瞬の夏
いつも“俺達”という彼らが“僕ら”と歌うセンチメンタルな青春ロック・チューン。長くて2、3週間と短命のウスバカゲロウと短い夏の淡い恋を重ねた詞が、胸にチクリと刺さる。12弦ストリングス・ギターの音色が切なく響く。
07月影
星グランマニエ作曲のインスト。月に向かって吠える犬のように孤独と侘しさが漂う硬派なロック。シングル「俺達には土曜日しかない」収録のラジオ番組風インタールード「DJオズマのバリバリ★SATURDAY騎士!」のBGMにも使用されている。
08〜大関東〜
アルバム『愛羅武勇』収録の次曲「男帝」への前フリ的な1分弱のイントロダクション・トラック。“ダンディ ダンディ”の呼びかけから、気合注入の掛け声が続く。氣志團とも交流がある芸人まちゃまちゃ風の“やっぞ! やっぞ!”のフレーズも登場。
09男帝-Dandy-
ガシガシ刻む西園寺瞳と星グランマニエのギター・サウンドが、身体を揺らすパンク・ロック・チューン。“ワイワイワワーイ”のお馴染みのセリフも飛び出し、“Zukkon Bakkon”と今すぐ子供を作ろうと歌う、究極の直球ラブ・ソング。
10結婚闘魂行進曲「マブダチ」
1121世紀パラダイム
心にくすぶる満たされない感情をマイナー調の甘酸っぱいメロディで綴った、星グランマニエ作曲のロック・ナンバー。“二人だけで逃げよう”と愛を歌いつつ、“華麗に海を捨て 森を伐り 無邪気に人殺し”と現代への皮肉をも込めた詞が秀逸。
12萌え萌えROCK'N'ROLL
サウンドは水玉柄のスカートやサングラスにツイスト・ダンスをイメージさせるバリバリのヤンク・ロック。そこに“眼鏡”“ポニーテール”“お兄ちゃん……”といった、これぞ「萌え」なフレーズを畳み掛けてくるアンバランスさが絶妙。
13中の島大橋ブルーズ
ご当地演歌のようなタイトルだが、もちろん演じているのはしっかりとした硬派なロック。“もう何年も昔の話”“いつか話した夢”など、詞は虎舞竜「ロード」の世界観を思わせるものがある。阿部義晴のブルース・ハープが切なく響く。
14愛 羅 武 勇
オリジナル4thアルバムのタイトル・チューン。パロディというエッセンスを絶妙の加減で注いできた彼らが、真摯に悩める“親愛なる馬鹿野郎ども”に熱く叫びたおすソウルフルなロック。背骨が折れても抱いてやると、彼らならではの愛情の渦がここに。
15きゃつをマークしろ!
ギターの“トミー”こと西園寺瞳の作曲によるインストゥルメンタル・ナンバー。ダンス&スクリーム担当の早乙女光が、“グギゴ!”などセリフともいえないヴォーカルを披露している。サウンドはオーソドックスなロカビリー調ロックンロール。
16族
17俺とおまえとGood Luck
ヴォーカルの綾小路翔とスクリームの早乙女光以外のメンバーがアコギで演奏を披露している、アット・ホームでフォーキーなナンバー。笑い声やカウント・コールまでも収録された、スタジオ録音風景が垣間見られるパーソナルな作品。
18You&Me Song
小沢健二風オシャレ系渋谷ギター・ポップあるいは「サーフィンUSA」風GSと、ロカビリーが融合した感じの10thシングル。夏の潮の残り香が微かに漂うサウンドに“さよなら 好きな人”という追憶のフレーズが切ない、センチメンタルなナンバー。