ミニ・レビュー
ハードなヒップホップで幕を開ける7枚目のアルバムは、吉澤ひとみ以外は5期メンバー以降という平均年齢が下がった構成での初作品となった。多様な音楽性をやすやすとポケットに入れてしまう勘の良さが窺える。
ガイドコメント
前作『愛の第6感』以来、14ヵ月ぶりとなる、通算7作目のオリジナル・アルバム。飯田圭織と石川梨華の卒業、矢口真里の脱退、久住小春の加入と、メンバーが大きく入れ替わった新生モーニング娘。による初のアルバム。
収録曲
01HOW DO YOU LIKE JAPAN?〜日本はどんな感じでっか?〜
力強いラップの煽りから楽曲はスタート。重量感満載のミッド系ファンキー・グルーヴの上で、女の子たちが歯切れ良く気合い満載なラップを、次々と噛ませていく。女性の持つ強さを、歌詞と歌声から感じ取れるナンバー。
02THE マンパワー!!!
東北楽天ゴールデンイーグルス公式応援歌。延々とループするバック・トラックと歌詞は、球場に行きたくなるサブリミナル効果が仕込まれているのではと疑いたくなるほど。一度、魅力に気づくと何度でも聴いていたくなる不思議な曲。
03青空がいつまでも続くような未来であれ!
地球・夢・希望……ピースフルな想いを唄うことの多いモーニング娘。らしい、ちっちゃな子供から大人まで誰の心にも響くラヴリーな勇気ナンバー。全員で合唱していくスタイルは、聴き手に勇気を与えていく。
04大阪 恋の歌
離れてしまった人に対して切々と想いを語る関西弁のセリフから楽曲は幕開け。この独白部分に萌えてしまう人も多いに違いない。歌謡メロとダンス・ビートの融合。これぞ新しいつんく♂&モー娘。流演歌ポップスだ。
05INDIGO BLUE LOVE (新垣里沙、亀井絵里、田中れいな)
新垣里沙、亀井絵里、田中れいなの3人が歌いあげたのは、切なさを表わすブルーな色が似合う失恋ソング。誕生日前に終わってしまった2人の関係。恋に恋してる世代が、大人びた悲哀心を背伸びたっぷりに歌いあげていく。
06レインボーピンク (重ピンク、こはっピンク)
道重さゆみと久住小春の2人がデュエット。2人とも思いきり“萌え系アイドル”になりきり、キュートな電波系ソングをロリポップな表情満載で歌いあげていく。往年のアイドル・ポップス好きには、かなり胸キュンもの。
07色っぽい じれったい
冒頭、吐息交じりの声で「早く会いたいの」と囁かれた時には、思わずドキッとしてしまった。情熱的なラテン・フレイヴァーをまぶした歌謡ポップスが炸裂。大人の艶っぽさを楽曲の随所にまぶした、プチ・ムード作。
08無色透明なままで (吉澤ひとみ、高橋愛、紺野あさ美、小川真琴、藤本美貴)
吉澤ひとみ、高橋愛、紺野あさ美、小川真琴、藤本美貴……アダルト組にあたるメンバーが集まり、とてもピュア色な恋心をしっとり優しく歌いあげていく。次々歌いまわしながら表情を変化させいく手法に、思わずクラッ。
09パープルウインド
季節の変わり目が与えてくれる、「前向きな自分に変われそうな想い」。そんな期待を胸に抱いた女の子の、ロンリー気分を紛らわせたい心情を描写。前向きな言葉の裏に隠された悲哀が、楽曲に深みを与えてくれる。
10さよなら SEE YOU AGAIN アディオス BYE BYE チャッチャ!
チャイニーズ風音階や旋律を使い、親しみやすい楽曲へ雄大なスケール感を与えていったナンバー。各メンバーが、それぞれ“また会えることを願って”のセリフを披露。そこでも各自の個性が見えてくるのが面白い。
11直感2〜逃した魚は大きいぞ!〜 (全くその通リミックス)
モーニング娘。の魅力の一つでもある、“祭り的”な躍動性。力強い祭り風ダンス・ビートに乗せ、ナーバスな歌詞を思いきりパワフルに熱唱。ラッセラッセのねぶたムード満載だけに、すべてがポジティヴに思えてくる。
12女子かしまし物語3
各メンバーの魅力や持ち味を一人一人がコミカルに歌いあげていくこのシリーズも、第3弾となる本作では、年齢や経験の成長にあわせ、歌詞の内容も変化。それぞれの三枚目な素の部分が見えてくるのも、この楽曲の楽しい魅力だ。