ミニ・レビュー
SPEED解散後、ソロ・シンガーとしてリリースしたシングルを集めた初のベスト・アルバム。R&B系バラード、ソウルフルなポップ・チューンからジャズの要素を感じさせるナンバーまで。シンガーとして確実に成長してきた彼女の軌跡がリアルに追体験できる。
ガイドコメント
2006年2月リリースの初シングル・コレクション盤。ソロ・デビュー作「AS TIME GOES BY」など、レーベル移籍前のシングル曲も網羅した充実のラインナップ。伊秩弘将によるクオリティの高い未発表曲にも注目。
収録曲
01見つめていたい
SPEEDの『ALL MY TRUE LOVE』に収録された初ソロ曲。メリハリが効いていて、かつキュートな雰囲気のアレンジによって、切ないメロディが爽やかに響く。しっかりとしたリズムがそれを支える。
02AS TIME GOES BY
軽やかにファンキーなリズムを刻むギターが、正確に時を刻んでいく。淡々とした中にも心の中に生まれた決意を感じさせ、繰り返されるコーラス部分が静かながらも力強く響いてくる。脱力した感じのラップも印象的。
03Bright Daylight
朝の光が差し込んでくるようなゴージャスなサウンドに、サックスやトランペット、スクラッチなどが混ざり合い、賑やかさを演出している。昨日までの自分を脱ぎ捨てて、新しい明日へと向かっていく気持ちを歌った曲。
04What's up!
リズミカルなメロディを歌うヴォーカルから、子供から大人へと変わっていく過程での揺れる心がリアルに伝わってくる。自分に言い聞かせるような硬派なコーラスが印象的で“私を壊して!”という言葉が胸に残る。
05Treasure
冬の研ぎ澄まされた空気を切り取ったようなサウンドに乗せて、ずっと大切にしたい人への一途でひた向きな気持ちを穏やかに歌い上げる。淡々とリズムをキープするアレンジから、地に足の着いた想いが伝わってくる。
06Your innocence
力強いメロディで、“生まれ変わること”と“失えない場所”を歌う。“keep your innocence”というフレーズが、大切なことは消えないから、生まれ変わることを恐れないでと背中を押してくれる。
07Confession
フレッシュさと優しさが入り混じったサウンドが、夕陽のやわらかな光を思わせる。二人で歩いてきた道のりを振り返りながら、これからもずっと一緒にいたいという気持ちを、親しみやすいメロディで素直に歌い上げる。
08love you
はじめてのhiro本人による作詞。一語一語想いを込めるように歌われるヴォーカルが、リアルに響いてくる。旅立つ“愛しい人”へエールを送りながらも、側にきて抱きしめて欲しい本音があふれ出すコーラスが切ない。
09Eternal Place
ピアノとともにしっとりと歌いだし、優しく包容力のあるメロディを聴かせる。愛する人を包んであげたいと歌うヴォーカルが、ゆったりとしたサビによって、大空へと広がっていき、そっと夕陽に溶け込んでいくようだ。
10Notice my mind
hiro作詞。なかなか気づいてもらえない片想いを歌った曲。2ステップ風の軽快なリズムにサックスが絡むクールなアレンジ。感情を抑えた歌い方が大人っぽいヴォーカルから、片想いのもどかしさが垣間見える。
11Baby don't cry
COLDFEETのLori Fineが作曲、アレンジをCOLDFEETが手掛けた曲。さっぱりとしたメロディと春らしい雰囲気の優美なサウンドに、和やかなドラムンベースのアレンジがスパイスを効かせている。
12愛が泣いてる
ジャジィな雰囲気のラテン・ダンス・チューン。心地良いグルーヴを繰り出す演奏に乗せて、“行き場なくした愛”を歌う。軽快な曲調ながら、歌い込まれたヴォーカルや歌詞によって、哀愁を帯びた空気を放っている。
13光の中で
そっと光が差し込んでくるような歌いだしから、ストリングスとともに徐々に高まっていくバラード。ささやかながら壮大さを感じさせ、間奏で泣きのギターを挟み、繰り返されるエモーショナルなコーラスが胸に残る。
14clover
クラブ・ミュージック寄りの小刻みなリズムとやわらかなサウンドが溶け合い、心地良い風と暖かな陽射しを彷彿とさせる。メロディが流れるように溶け込んでいき、空気を洗い流してくれるようなフレッシュな雰囲気だ。
15ヒーロー☆
ワイアリー・モリスの曲を中塚武がアレンジし、hiroと山本領平の共作による詞がつけられた贅沢仕様のダンス・チューン。hiroらしさいっぱいのパンチの効いた歌声が、新鮮味のあるアレンジの中に生きている。
16Send My Love for you
聴く人の心に寄り添い続ける、オルゴールのような曲。シンプルで温かみのあるアレンジに乗せて歌われる穏やかなヴォーカルから、包容力が感じられる。ファルセット・ヴォイスが胸に染み入ってくる、優しい曲。