ミニ・レビュー
初のベスト盤は、新曲(17)や先着購入特典のサプライズCD、メンバーの選曲も嬉しい充実の内容。ポップとロック双方の旨みを持つ人懐っこいサウンド。ライヴ・バンドとしての力量。そんな彼らの魅力をしみじみ再確認するも良し。入門盤として手に取るも良いだろう。
ガイドコメント
初ベスト・アルバム。「こいのうた」や「浮舟」「ジェットにんぢん」といった代表曲から「ロック」「文具」などのライヴ定番曲まで、彼女たちの魅力が凝縮された1枚。いい曲揃いなので入門編にも最適。
収録曲
01こいのうた
2000年10月発表の3rdシングルに収録。恋をしている、素直な感情をストレートにあらわしたロック・チューン。明快かつメロウなメロディ、ノリやすいビートなどがハッピーな気持ちにさせてくれる。
02C7
2001年10月発表のシングル。恋人や日々に対する不安な思いを綴ったミドル・テンポのロック・ナンバー。GO!GO!7188らしいまとまりのあるバンド・サウンドが魅力。タイトルの“C7”はギターのコード。
03サンダーガール (感電ヴァージョン)
ライヴでもおなじみ、ポップでスピード感溢れる、盛り上がること必至の人気の一曲。イタズラっぽく歌うユウのヴォーカルがちょっとワルな少女の雰囲気を醸し出していて、まさに「サンダーガール=雷少女」というテーマにぴったり。
04くのいち
アルバム『竜舌蘭』収録。刻みの細かい16ビートを交えつつ、得意の純和風メロディ、3人の濃密なバンド・アンサンブルが光る一曲。“くのいち”というタイトルらしく、時代劇風なセリフ回しをからめた歌詞も楽しい。
05太陽
2000年6月発表の1stシングル。ベースのみのイントロから、鋭いギターのリフが切り込むダイナミックなロック・ナンバー。“欲しいものは手にいれるの”というギラギラとした乙女心を描いた歌詞も必聴。
06ドタン場でキャンセル
2001年11月発表のアルバム『魚磔』に収録。“イライラ”“じとじと”に象徴されるような内省的な歌詞による、ゆったりとしたバラード風ナンバー。徐々にバックの音が加わり、力強いヴォーカルを盛りたてる。
07月と甲羅
「自分以外の人間との溝を完全に埋められやしない」そんな孤独感を、ユウは独特のこぶしの利いた歌声で表現している。切実なテーマなのに暗くならず、むしろ体を自然と揺らしたくなるようなロック・ナンバーにしてしまうのはさすが。
08考え事
ロック色が濃いものが多い彼らの曲の中で、シリアスなイントロとアッコのヴォーカルで始まるという貴重な一曲。誰もが経験する、「明日への不安にやりきれない夜」を表現した歌詞が、曲全体の切実な雰囲気とマッチしている。
09瑠璃色
2003年8月発表の10thシングルに収録。クロマティックでコード感のない不思議なメロディに幻想的な歌詞がのった前半部分、ロック・ビートが爽快なサビとの対比的な組み合わせが楽しいナンバー。
10ジェットにんぢん
2000年8月発表の2ndシングル。空とぶにんじん“ジェットにんじん”を描くファンタジックな歌詞と、テケテケ風歌謡曲的メロディなど、GO!GO!7188らしさが詰まったロック・チューン。“ジェットにんじん”の正体とはいかに?
11とかげ3号
個性的なタイトルとは裏腹に、キャッチーなメロディで一度聴いたら忘れられないインパクト充分なロック・ナンバー。間奏部分のお得意なロック・サウンドと、「俺と影」と「俺とかげ」との駄洒落を利かせてあるあたりは彼らの真骨頂! と唸ってしまう。
12大人のくすり
「あと少し、これさえ出来れば……」というもどかしい思いを、「薬を飲む」という行為の比喩を用いて表現した、個性的でセンスの良さをうかがえる曲。重厚で印象的なベースのイントロが、この曲をより辛口でドライなものに仕上げている。
13大人のひみつ
テンポが良くコミカルで明るいサウンドながら、大人というものへの漠然とした憧れと、実際に子供から大人へと移り行くときに感じてしまう絶望感がテーマの曲。子供の頃に、「早く大人になりたい」と思っていた人も一聴の価値あり。
14ロック
女の子のむしゃくしゃした心境を、タイトル通り力強いロックなサウンドで表現した曲。若さゆえの貪欲さを遠慮なく吐き出したような歌詞や間奏部分のギターには、女々しさは微塵もなく、むしろ男らしささえも感じられる。
15文具
ユウ独特の民謡っぽい歌い方が活かされた、アグレッシヴなナンバー。重くて低い、そして力強いベースのサウンドもこの曲の魅力の一つ。「焦り」を訴えた歌詞と重厚なメロディとのコンビネーションがいい塩梅で、聴いていて痛快だ。
16浮舟
“浮舟”という、水の上で舟が不安定にゆらゆらと漂っているイメージどおり、詞や音のなかにも強さと弱さが混在している。彼ららしい和のテイストもちりばめられた一曲。
17神様のヒマ潰し
一定のリズムで、不思議な世界を彷徨い歩いているかのような雰囲気から、サビでがらりと速いテンポに変わるその移り変わりがこの曲の聴きどころ。ユウとアッコの輪唱の部分は、浮遊感さえ感じるほど独特の世界へと導いてくれる。