ミニ・レビュー
男女ツイン・ヴォーカルのハード・ポップ・バンド、ハイカラのメジャー2作目。ポップス面の強かった前作とは異なり、今回はバンドのルーツとも言えるメタル要素を強めた。各楽器陣もテクニカルなアプローチを見せ、バンド感も増した。本領発揮か。
ガイドコメント
HIGH and MIGHTY COLORの2ndアルバム。よりテクニカルに、よりへヴィーに、しかし、ポップネスを根幹に、ハイカラならではの“21世紀型ハード・ポップ・サウンド”の真髄をとくとご堪能あれ。
収録曲
01一輪の花
アルバム『傲音プログレッシヴ』のリード・トラック。タッピングによるテクニカルなイントロで始まるモダン・ヘヴィ・チューン。テレビ東京系アニメ『BREACH』のオープニング・テーマ。
02for Dear...
高速8ビートのメタリックなサウンドながら、メロディは意外なほどメロディアス。ヘヴィなサウンド・プロダクションの中、転調や隙間の多いラインで、ポップでカラフルな雰囲気を醸し出しているナンバー。
03“Here I am”
初期のハロウィンを彷彿とさせるような、メロディック・パワー・メタルのサウンド・プロダクションを借りたヘヴィ・チューン。ツイン・ギターとハイ・テンポかつメリハリのある展開のサウンドが、強烈なインパクトを与える。
04宝石の涙
モダン・ヘヴィネスなハードなリフから一転して、ナチュラル・トーンとディレイのコンビネーションによるバッキングが意表をつく。サウンドに反して、とことんポップに歌うヴォーカルもユニークなナンバーだ。
05水玉ラムネ
アルバム『傲音プログレッシヴ』の中では異色となる、とことんポップな直球J-POPナンバー。しかしながら、ピッキング・ハーモニクスをフィーチャーしたギターのリフからは、ハード・ロック・バンドとしてのプライドがうかがえる。
06背徳の情熱
パーカッションとシングル・ノートのギター・ソロが否が応でも高揚感を高めてくれるヘヴィ・チューン。ブリブリうねるベース・ラインといい、ヘヴィなギターといい、メロディのポップさと反比例するバッキングが面白い。
07罪
歪み度はマックスながらもミュートさせたギターのイントロが効果的だ。バッキングでもミュートを多用しているが、音圧は想像以上にパワフル。単調になりがちなリズム隊もメリハリのあるプレイで魅せている。
08リアルワールド
パワー・コードによるリフを刻み込む正統派8ビートのロック・チューン。80年代初頭のジャパニーズ・メタルの王道的なスタイルだ。その反面、ツイン・ヴォーカルでオリジナリティを生み出しているのが彼ららしい。
09A PLACE TO GO
歪ませすぎないコード・バッキングとクリーン・トーンとのコンビネーション、VIフラットのコードの使用法……。産業ロックといわれたジャーニーやスティックスなどを想起させる、80年代のアメリカン・ハード・ロックの雰囲気を持ったナンバー。
10STYLE〜get glory in this hand〜
メリハリのあるサウンドは、ヘヴィなリフとクリアなアルペジオの使い分けや、緩急のあるベースとドラムスからなるリズム隊によるもの。そのため、一見相容れないポップさとヘヴィネスが上手く同居している。
11パールシャドゥ
ヴァン・ヘイレンの「ホット・フォー・ティーチャー」が大ヒットした当時、タッピングによるテクニカルなイントロにド肝を抜かれたが、彼らに追従できるイントロを持ったナンバーがこれ。イントロのみならず、随所にその要素がフィーチャーされている。
12黒アゲハ舞う丘
ポップネス担当という役割を十分こなしている、マーキーとユウスケのツイン・ヴォーカルという特性を上手く活かしたハイ・テンポなヘヴィ・チューン。彼らには珍しいアコースティック・ギターがフィーチャーされているのも特色。
13星空に降る雪
ヘヴィネスなバッキングに反して、メロディアスでポップな歌メロと、双方の絶妙なバランスが彼らっぽさを醸し出している。ハードでありながらもアルペジオを中心としたギター・ソロがユニークなナンバー。
14ガーデン オブ MY ハート
ツイン・ヴォーカルの特性が見事に活かされた、アルバム『傲音プログレッシヴ』のクロージング・ポップ・ナンバー。サウンドはヘヴィながらも、メロディは王道J-POP。テクニカルな風のを感じさせないのも彼らのセンスがなせる技。