ミニ・レビュー
豪華アーティストたちとのコラボレート曲に自作曲を加えた2年半ぶり7枚目のアルバム。スキマスイッチ、和田唱(トライセラトップス)ら作詞・作曲のナンバーもフェミニンな歌声を際立たせるテイストで、曲ごとに温かさ、せつなさが浮かび上がるよう。
ガイドコメント
約2年半ぶりとなる通算7枚目のオリジナル・アルバム。作家陣にスキマスイッチ、真島昌利、和田唱、NEMOといった面々を迎え、今まで以上にアーティスティックな作品となった。「時の舟」「未来になる」ほかシングル曲も収録。
収録曲
01明かりの灯る方へ
スキマスイッチが楽曲提供したポップでノリのよい曲。松たか子の歌はさすが、といった感じで、爽やかで魅力的な自分が自分らしくいるために前に進んでいこうという曲。一風変わったアレンジも効果的。
02水溜まりの向こう
アコースティック・ギターとマンドリンの音が温かさを醸し出す、アメリカン・ポップスを彷彿とさせるサウンド。“僕はいるんだ 誰だっているんだ この世界にね”のポジティヴなフレーズとフェミニンなヴォーカルが見事にマッチ。
03ずっと
宇宙の謎が解けても、恋の謎だけは解けないで欲しい、という真島昌利のオリジナリティあふれる独創的な歌詞が特徴の穏やかなポップ・ナンバー。意外にも(!?)彼女の真っ直ぐな歌声にぴったりハマる、可愛らしいラブ・ソングに仕上がっている。
04時の舟 (album version)
切ないピアノ・サウンドと美しいバック・コーラスが琴線に響くミディアム・バラード。このヴァージョンでは、細部に至るまで丁寧に仕上げられたドラマティックな展開のサウンドが、彼女の繊細かつ存在感のある歌声を見事にサポートしている。
05ソレアレス・メモリー
スウィング・ジャズ感たっぷりの会心作。コラボレートした勝手にしやがれのメンバーと彼女が“せーの”で録音したというだけあり、臨場感あふれる仕上がりに。グラス片手に体を揺らしながら聴きたい……、そんな一曲。
06そして僕の夜が明ける
大切な人を失った哀しみ、切ないけれど想い出を胸に前を向いて生きていかなければならない現実……。そんな心の葛藤を描いたミディアム・ナンバー。作詞・作曲担当のスキマスイッチ独特の節回しを、自分のものにしている彼女の表現力に感服。
07その日まで
辛い恋を乗り越えて、前向きに自分と向き合っていこうとする女性を描いた歌詞が印象的。80年代のニュー・ミュージックを思わせる、良質なポップ・チューン。彼女のストレートな歌声が、女性の持つ強さを表現している。
08水槽
ピアノにヴィブラフォン、ベースと、すべて彼女自身の演奏でレコーディングされたミディアム・ナンバー。耳の奥にすーっと馴染むような体温を感じさせる優しい手触りのサウンドは、聴き手を温かい気持ちにさせてくれる。
09山手駅 (re-master version)
自分の夢に向かって遠い街へと旅だった恋人が帰ってくる日の照れ臭ささとはやる気持ちを、静かに綴った美しいミディアム・ナンバー。電車に乗っている彼、その窓の向こうには自然が広がる……。そんな風景が浮かんでくる情緒豊かな作品。
10僕らがいた
柔らかい印象のピアノから始まる、本人作詞・作曲の心温まる癒しサウンド。人との出会いは一期一会。だからこそ、感謝する気持ちが大切だと思い出させてくれる一曲。ソプラノ&アルト・リコーダーのほのぼのとした音色に心が和む。
11未来になる (album version)
18thシングルのアルバム・ヴァージョン。瑞々しく情緒あふれるメロディ・ラインが美しい。“ほんとの自由が今見つからなくも あなたがいるから夜明けは来る”のフレーズに、一歩ずつ素敵な未来を築いていこう、という優しさが感じられる。