ミニ・レビュー
ゆったりとグルーヴしていくバンド・サウンドのなかで歌われるのは、穏やかで美しい希望の在り処。耽美的、退廃的な音像を得意とする清春にとって「君の事が」は、新機軸といっても過言ではないだろうか。心地よく上昇していく映像的なメロディも、素晴らしい。
ガイドコメント
2006年6月発売の4thアルバムからのリード・シングル。前作アルバム『官能ブギー』のグラム的な世界とは変わり、清春ならではの“聴かせる”歌もの楽曲が胸に沁みてくる。
収録曲
01君の事が
清春にとって初となるミディアム・スロー・バラード。7分強という長さの中、想いを寄せる相手が気掛かりだということを美しい声で歌い上げていく。清春いわく、自分の中に生まれた“人間愛”が込められているとか。
02arizona
アグレッシヴなギター・リフレインの中に、ハイトーン・ヴォイスで「ここはarizona」と叫ぶロック・チューン。脱線しそうなほど加速し過ぎたギターは、情熱の現われか、若さへの固執か。強烈な印象のサウンドだ。
03island
耽美的音楽を追求する清春らしい、クールでミステリアスな雰囲気のロック・チューン。謎めいたセクシーな歌詞をなぞる清春のヴォーカルは洗練され、もはや楽器のごとき響きと化している。ドラムのカッコ良さも絶品。
04lizard
神経を逆なでするようなヘヴィなトランス・チューン。ギター・エッジはいびつにネジ曲がり、金属音にも似たヴォーカルと混ざり合う。lizard=トカゲの光沢、ぬめり感をセクシーに表現しているよう。