ミニ・レビュー
通算7枚目のアルバム。フジテレビ系ドラマ『がんばっていきまっしょい』主題歌「キラキラ」、映画『あらしのよるに』主題歌「スター」など話題曲いっぱいの全14曲。彼女らしく繊細に紡がれる、真摯で等身大のラブ・ソングが琴線に触れてやまない。
ガイドコメント
前作から約1年5ヵ月ぶりとなる通算7枚目のオリジナル・アルバム。「キラキラ」「スター」「雲は白リンゴは赤」という3枚のシングルのほか、ハミングCMソングで未発売だったバラード「瞳」も収録。
収録曲
01シャッター
なだらかなピアノのイントロから軽やかにテンポ・アップする、ソウルフルなポップ・チューン。あなたとの大切な思い出や素直になれなかった自分を綴った歌詞と軽快なサウンドの対比が、切なさの中から希望をくれるようだ。
02気付かれないように
久しぶりに再開した二人の束の間の時間を、やわらかな鍵盤の音色が優しく包み込む。懐かしさが込み上げてくるサウンドと歌唱にストリングスが重なり、前を向いて歩いていこうとする主人公の背中を押してくれるスロー・バラード。
03キラキラ
弾むようなメロディに乗せて、あなたの帰りを待つ心情を歌い上げるソウル・ポップ。弾力のあるリズムが、待つことの寂しさを打ち負かしていくよう。ポジティヴな中にも“この世がなくなっちゃってたら”と切ない表現が光る。CX系ドラマ『がんばっていきまっしょい』主題歌。
04キスする前に
二人だけの“秘密ランデブー”にテンションが上がっていく様子を、小気味良いギター・カッティングと風通しの良い音構成が爽やかに演出。肩の力の抜けたヴォーカルが親しみやすく、日常的な喜びを感じさせるポップ・ロック・チューン。
05深海冷蔵庫
メロトロンの優しい音色に導かれて、心の深い部分に潜っていくようなミディアム・ポップ・チューン。“暖かい冷蔵庫”などの独特な表現を用いて綴られた歌詞が、心のナイーヴな面を描写していく。丁寧に歌われるヴォーカルに心が温められる。
0617の月
しっとりとしたリズムにホーンが絡むミディアム・ナンバー。じわじわと盛り上げていくアレンジに乗せて、“帰りたくなかった”と歌うサビが印象的。傷つき疲れた心が夕日に溶けていく、そんな情景が浮かんでくる。
07その目に映して
心が晴れわたっていくようなフレッシュなバンド・サウンドと迷いのないストレートな歌詞が、ポジティヴなパワーをくれる。シンプルな構成ながら、思わず空を仰ぎたくなるような爽快な気分をもたらす、明るいポップ・ロック・ナンバー。
08ひとりよがり
アコギの旋律にどことなく侘びしさが漂い、哀愁を帯びたメロディと歌声が物悲しげに響く。あなたの喜びや輝きに置いてきぼりにされてしまったような感覚が伝わってくる。ポッカリと開いた心の隙間を切り取ったミディアム・バラード。
09あられ
着実にリズムを刻んでいくピアノとともに、あなたへの想いを諦めるかどうかを自問自答する様子を表現。涙を誘うようなストリングスが絡み、あふれ出てくる気持ちがひしひしと伝わってくる。ひたむきな想いに胸が締めつけられるソウル調のミディアム・ポップ・バラード。
10スター
ピアノの弾き語りではじまり、徐々に音が重なっていくドラマティックなミディアム・ナンバー。伸びのある歌声からは芯の強さと歌に込められた切なる願いが力強く響きわたり、ストリングスがより感動的に演出する。映画『あらしのよるに』主題歌。
11恋ひ明かす
ギターが空間を切り刻んでいくように淡々とリズムを打つミディアム・ポップ・チューン。自分にいい聞かせるような感情を抑えた歌声の裏には“「切ない」を我慢したかたまり”が感じられ、我慢強さのなかから切ない恋心がうかがえる。
12雲は白リンゴは赤
通算20作目のシングルは、終ってしまった夏の恋を、今でも強く想うという切ないナンバー。スカのリズムに突き抜けるようなホーンが鳴り響くアップ・テンポなサウンドゆえ、爽快さが強く残る。元気に泣きたい人にはオススメ。
13ある日のひまわり
抑揚のあるメロディ・ラインが生み出すグルーヴが、グルグルと回りながら心のひだをなでていくようなポップ・チューン。湿っぽくなり過ぎずに、あなたに向き合えなくなっていった自分を歌う。最後の“好きだったよ”が胸に残る。
14瞳
一つ一つの言葉を大切にしながら、祈るように歌われるスロー・バラード。ピアノの弾き語りからストリングスが重なりホルンの調べが聴こえてくるさまは、神聖な優しさが降り注いでくるかのようだ。生きることの尊さを感じる作品。花王「ハピネス」CFソング。