ミニ・レビュー
(4)(6)と2曲のヒット曲を含むファースト・アルバム。ストレートなロックからラップ調、レゲエやドラムンベースみたいなインストまで、多彩な曲調と、それらが決してムリなくひとつのカラーに収まっているところに、器の大きさを感じる。
ガイドコメント
5人組エモーショナル・ミクスチャー・バンド、Aqua Timezの1stフル・アルバム。映画『ブレイブ ストーリー』の主題歌「決意の朝に」などを収録。ヴォーカルの太志が描く、等身大の歌詞が堪能できる快作だ。
収録曲
[Disc 1]
011mm
切ないピアノとヴァイオリンの演奏で始まるロック・ナンバー。静かな演奏に突如、激しいギターの音が挿入され、鋭い緊迫感とともに疾走していく。“1日1mmでいいから進もう”という力強い詞のバックで流れる、壮麗なヴァイオリンが美しい。
02星の見えない夜
太志(vo)もその出来に満足しているというメロディアス・ポップ。絶望の中にある希望を描く詞が、ギターを強調した温かいサウンドに乗って優しく響いてくる。また随所に差し込まれた、夜空を連想させる効果音が幻想的で心地良い。
03No rain、No rainbow
心地良く刻むリズムが際立つ、ゆったりとしたナンバー。ゴスペルを思わせる男女のコーラスが、清らかな雰囲気を醸し出している。今までの生き方を振り返る太志(vo)の日記のような詞が、優しく甘い歌声にマッチしている。
04決意の朝に
ナチュラルなメロディとドラマ性を感じさせるアレンジによって、等身大の想いがより壮大に描かれるポップ・チューン。押し売りではない温かなメッセージが共感を呼び、勇気を与えてくれる。アニメ映画『ブレイブストーリー』の主題歌。
05ハチミツ〜Daddy、Daddy〜
“完璧じゃなくていいよ”と歌う、心癒されるポップ・チューン。爽やかな小鳥のさえずりを表現した効果音や、メリハリを効かせたギターの音が、カラフルで温かなサウンドを創造している。太志(vo)が、亡き父との思い出を綴った曲でもある。
06千の夜をこえて
Aqua Timezがデビュー当初から温めていたというアコースティック・ナンバー。ポップでキャッチーなサビと「怖くたって傷付いたって好きって伝えるんだ」という詞が印象的な、彼らの代表作といえる珠玉のラブ・ソング。劇場版『BLEACH』主題歌。
07green-bird (Interlude)
宇宙を思わせる壮大なインストゥルメンタル。最後に現れるキラキラとした透き通るような音が、幻想的かつ荘厳な雰囲気を漂わせている。OKP-STAR(b)が思いつきで弾いたイントロを、大介(g)と太志(vo)がサンプリングした曲。
08歩み
ラウドでエモーショナルな言葉が息をもつかせぬ激しさでたたみかけくるが、時折覗かせる叙情性が心を穿つ。彼らが訴えかけるこの情熱に逃げることなく、真正面から対峙して聴きたいドラマティックなナンバー。
09マスターマインド
DJが鳴らすスクラッチ音がクールな高速クラブ・チューン。太志の遊び心を効かせた激しいラップが堪能できる。演奏では洗練された高度なテクニックを披露し、随所にフルートを採り入れてサウンドに幅を持たせている。
10ホワイトホール
ライヴで盛り上がりそうなパワフル・ロック・チューン。勢いを重視したノリノリの高速ビートが刺激的で気持ち良い。彼ららしくない直球型のシンプルな音展開が新鮮で、ガンガンと攻めてくる爆音の塊に胸が熱くなる。
11プレゼント
クリスマスを思わせる鈴の音色がファンタジックなバラード。穏やかに愛を語る歌声が、甘く温かく心に染み込んでくる。大介(g)が鳴らす甘い鈴の音と、ロマンティックなオルガンの演奏が、幻想的な冬の雰囲気を作り出している。
12Perfect World
心を締めつけるようなメロディが印象的なポップ・ナンバー。ギターの演奏で静かに始まり、やがてメロディはベースやドラムの挿入で急速に高揚していく。変調を巧みに取り入れたサウンド展開と意味深な詞が心象に残る。
13いつもいっしょ
彼らがデビュー前に路上ライヴで演奏していたというバラード。切ないメロディに物語仕立ての詞が乗り、すれ違いの恋を感傷的に歌い上げている。ピアノやストリングスを用いて、ドラマティックかつ温かな生音の世界を作っている。
14白い森
彼らがバンドを結成したころに書いたという、情感のある壮大なバラード。シンフォニックなストリングスをたっぷりと取り入れ、フルートのしなやかな音色が優しく幻想的な雰囲気を描き出している。ライヴで評判のよい名曲でもある。
[Disc 2]〈DVD〉
01決意の朝に
02千の夜をこえて
03ひとつだけ