ミニ・レビュー
時代を変えるバンドとしてブレイクしている4人組の4作目。噂にたがわず、ラップも歌もごちゃまぜの才気あふれる折衷型ロック・サウンドに乗せ、別次元の感性と革命的な言語感覚を駆使したダイナミックなラブ・ソングが炸裂するとんでもない作品だ。天才と言うほかはなし。★
ガイドコメント
4人組ロック・バンド、RADWIMPSのメジャー2ndアルバム。シングル「ふたりごと」「有心論」「セツナレンサ」などを収録。若さあふれるストレートかつウィットに富んだリリックと、ジャンルレスなサウンドが魅力だ。
収録曲
01ふたりごと (一生に一度のワープ ver.)
せつなく甘いヴォーカルから始まるミディアム・ナンバー。どこまでも広がっていきそうな奥行きのあるサウンドに、展開の読めないメロディ、若さと愛にあふれるストレートでユーモラスかつロマンティックな歌詞が融合。思わず胸がいっぱいになる。
02ギミギミック
重低音の効いた疾走感のあるロック・ナンバー。キャッチーなメロディ・ラインに乗っているのは、生命誕生の根源を問うメッセージ性の強い詞を歌う迫力あるヴォーカル。間奏部分の赤ちゃんの泣き声も印象的で、重いテーマをポップに昇華している。
0305410- (ん)
サビの泣きメロが秀逸なポップ・パンク・ナンバー。不可思議な「05410(おこして)」というタイトルどおりに歌われる「ここで君を待っているから起こしてね」という内容の英詞や、胸にささるヴォーカルにギュッとしめつけられる。
04me me she
RADWIMPS独特のメロディの流れや、まろやかで優しいギターの音色が印象的なミディアム・ナンバー。恋の終わりの「me me she(メ・メ・シィ)」男心をストレートに表現した歌詞は、聴き手の心に届き、共感を呼ぶはずだ。
05有心論
野田の抑えたヴォーカルが印象的なパートから一転、ラップもありのジャンルレスなサウンドへと急展開。ウィットに富んだ詞と起伏のあるメロディなど、彼らの魅力が詰まった一曲。左右から別々に聴こえるギターや時計の音など、遊び心たっぷりの仕上がりだ。
06遠恋
ゆったりしたパートから攻撃的なパートへと展開する、緩急ある曲調がドラマティック。一度聴いたら忘れられないキャッチーなサビのメロディや、ユーモアにあふれた会話調の詞が小気味いいアップ・テンポなナンバー。要所でのハンドクラップが印象的だ。
07セツナレンサ
激しいドラムと低音ベースから始まるヘヴィなバンド・グルーヴに、英詞のマシンガン・ラップが炸裂。自分自身と周囲との葛藤を歌った野田のヴォーカルは、タイトルどおり“セツナい”が優しい。不思議なメロディ展開がクセになるナンバー。
08いいんですか?
レゲエ調のメロディにロックなギターが加わる、ごちゃ混ぜのアレンジが楽しいゆるいナンバー。ギャグも織り交ぜたユーモラスな詞に込められているのは、「あなた」への愛情たっぷりのポジティヴなメッセージ。聴いていて温かい気持ちになる。
09指きりげんまん
浮遊感のあるエレクトロなトラックにささやくような優しいヴォーカルが映える。よく聴くとドキッとするような「約束」をテーマにした詞を、想像力をくすぐる語り口調によってポップに昇華。野田のセンスが光る現代の童話的なナンバー。
10傘拍子
マンドリンの音色が印象的な、優しいミディアム・バラード。大好きな人へのひたむきな純愛を歌った英詞を歌う、情感たっぷりの野田の高音ヴォーカルに胸がいっぱいになる。突き抜けるようなサビのメロディの美しさにも引き込まれる。
11ます。
イントロの疾走感あるギターが印象的な、キャッチーなメロディのパンク・ポップ・チューン。「ですます。」と語り口調で歌われるおどけた詞に野田自身の人生観がしっかりと込められている、聴く人を元気づけるパワーにあふれたゴキゲンなナンバーだ。
12夢番地
まるで場面が切り替わるように次々と曲調が展開する、ドラマティックで壮大なロック・ナンバー。「昨日」の未来の「明日」が「今日」になる、という哲学的で詩的な詞世界が、耳馴染みのよいメロディに乗ってどんどん膨らんでいく。
13バグッバイ
野田の淡々としたア・カペラからはじまる、美しいメロディのミディアム・ナンバー。自分自身の「生まれてきた意味」「生きている意味」を問いかける壮大な詞世界を、ストリングスがよりいっそう盛り上げ、厚みを持たせている。