ミニ・レビュー
まさに鮮やかに彩られたアルバム。KORNとバウハウスにメロディック・パンクや70年代の日本のフォーク・ロックも巧みに混ぜたごとき音だが、わかりやすい歌メロで一気に聴かせる。けど、通常盤初回プレスに付いたCDの激重曲とサーフ・チューンがベスト。
ガイドコメント
ムックの6thアルバム。2006年発表の4シングル「ガーベラ」「流星」「謡声(ウタゴエ)」「ホリゾント」を収録した本作で、“Devilish Years”と銘打った年を締めくくる。
収録曲
[Disc 1]
01レイブサーカス (instrumental)
アルバム『極彩』のオープニング・ナンバー。ドラムのタムの音から始まり、幻想的なギターの音色が絡み合っていく。聴いていて自然に体が動いてしまいそうなアッパーなインストで、何が起こるかわからない妖しげなサーカスの始まりを予感させるようだ。
02極彩
アルバム・タイトル曲。サビで叫ぶように吐き出される「ドブ臭い後悔の雑に埋もれるのはもうやめだ」「くだらねぇ偶像を今、叩き壊せ」という言葉に心が奮い立たせられる。テンポの速いヘヴィなサウンドは、ライヴでいっそう盛り上がりそうだ。
03嘆きの鐘
突然のシャウトで始まるヘヴィ・メタル調のナンバー。詞の内容は、当たり前だった日常が一瞬にして焼き尽くされてしまったことによる、哀しみと嘆きの声。だからこそ、サビでの叫ぶようなヴォーカルがより心に響いてくる。
04謡声 (ウタゴエ)
疾走感あふれる正統派エモーショナル・パンク。ハードな曲ながら、色気と力強さを兼ね備えたヴォーカルと美しいメロディで、すっきりした味わいに仕上がっている。レゲエ調のブリッジ部分が絶妙のフックになっている。
05月光
イントロで登場する一瞬のアコギの音色から哀愁が漂うミディアム・ナンバー。切なげなメロディが逹瑯の声によっていっそう切なくなり、聴く者の胸を締めつける。また、シンプルなサウンドゆえよりヴォーカルが響いてくる。
06パノラマ
アルバム『極彩』に収録された、爽やかなミディアム・ポップ・ナンバー。ボロボロの車に乗って走っていると見えるパノラマの景色、穏やかに流れる雲やカーステレオからの音楽など、詞の情景を巧みに描写したサウンドが秀逸だ。
07ガーベラ
情熱的なギターのメロディが醸し出す、妖しげで哀愁が漂うアップ・テンポ・ナンバー。そこに広がるは深く熱い愛の世界。命をかけて愛しき人へ愛を叫ぶ……。歌謡曲のような懐かしさがありながらも、彼ららしいヘヴィなサウンドは健在だ。
08リスキードライブ
ザクザクしたギターとベースがほぼユニゾンで動き回る、疾走感にあふれるダークでヘヴィなナンバー。まともに愛されずに屈折し自分を偽っているプライドの高い女について、時に話すように時に叫ぶように歌っているのが印象的だ。
09キンセンカ
落ち着きのある渋くジャジィなミディアム・ナンバー。出口のない迷路のような社会と汚れてひねくれた大人たちに囲まれて、生きる意味を見つけられないと嘆く少年を歌っている。逹瑯のヴォーカルは、聴く者の心を揺さぶらんばかりだ。
10ディーオージー
ライヴで盛り上がりそうな強気なアッパー・ナンバー。聴く者の心を震わせ、殻を破って「空の向こうへ その先」へ思わず走っていきたくなるような曲だ。彼らの曲には渦を巻いたようなヘヴィなサウンドが多いが、この曲はストレートに突っ走っている。
1125時の憂鬱
まさに「25時の憂鬱」という言葉が似合う、幻想的で浮遊感のあるミステリアスなスロー・ナンバー。後半は徐々にテンポが上がっていき、歌詞にも非日常的な言葉や世界観が広がっているが、そのなかには寂しさが漂っている。
12ホリゾント
幻想的なイントロが印象的な、哀愁漂うアッパーなポップ・ナンバー。冬を思わせるシンプルで寂しげなサウンドとサビで歌い上げるヴォーカルに、胸が熱くなる。日本テレビ系『ミラクル☆シェイプ』11月度エンディング・テーマ。
13優しい歌
遠くにいる親しき人に向けた手紙のような詞で、誰かに語りかけるように歌い始めるミディアム・ナンバー。「もう泣かないでおくれよ」というこの曲に、勇気づけられる人は多いはずだ。「ラララ」のコーラスなどはとても温かい。
14流星
「流星」というタイトルにマッチした、キラキラしたサウンドで始まるミディアム・ナンバー。アルバム『極彩』の最後を飾るにふさわしい壮大な曲となっている。テレビ東京系『JAPAN COUNT DOWN』6月度エンディング・テーマ。
[Disc 2]
01G.M.C
じわりじわりと迫ってくるようなヘヴィなイントロのあとはメタル調の豪速テンポに変わり、デス・ヴォイスでがなり倒すナンバー。おそらくライヴではヘッドバンギングの嵐。ものすごく盛り上がること請け合いだ。
02ガーベラ (surf ver.)
アルバム『極彩』本編に収録されているオリジナル・ヴァージョンより、少し大人な雰囲気が漂うミディアム・ナンバー。サウンドはより渋くなっているが、聴いていて自然と体が動く。テレビ東京系『LIVE BANG!』2月度エンディング・テーマ。