ミニ・レビュー
竹を割ったような直球勝負のロックンロールが痛快だが、歌詞のそこここには世知辛い世の中で誰もが感じる喜怒哀楽が息づいている。そして、4人は全14曲をがむしゃらに駆け抜け、最後には明日をポジティヴに生きる勇気をくれる。兄貴と呼ばせてもらっていいですか。
ガイドコメント
2006年発表のシングル曲をすべて収録した、THEイナズマ戦隊のフル・アルバム。テレビ東京で放送の『元祖! でぶや』のエンディングに使用された「五月雨」を筆頭に、親しみやすいロック・ナンバーが満載だ。
収録曲
01ワン・ツー・ストレート!!
勝手にしやがれのメンバーらによるホーン・セクションが印象的な、タイトルどおりのストレートなロックンロール・ナンバー。若さと勢いを感じさせるメロディに乗せた、実に人間臭い歌詞が心に染みる。
02JUMP!!
ジミ・ヘンドリックスの「ヘイ・ジョー」を思い出させるようなギター・リフで始まる、疾走ロックンロール・ナンバー。うねりまくるギターの音色とネガティヴな気持ちを吹き飛ばすかのような歌詞に、勇気づけられるはず。
03全身ゴーマイウェイ
9thシングルは、真骨頂でもある“ガッツ”あふれるロック・チューン。辛いことや悲しいことを抱えた、悩める現代人への応援歌だ。胸にズンズン響くギターの音、「君の旅はオリジナルの輝きがある」の歌詞が泣かせる。
04赤い道
“吉本新喜劇のようなバンドでありたい”という彼らの想いが伝わってくるような、どことなく浪花節が感じられる熱血ロックンロール・ナンバー。若さゆえの悩みを綴った歌詞は、世代を問わず多くの人の心に届くはずだ。
05喜劇ストーリー
うねるギターの音色に思わず身体も揺れる、ノリノリのロックンロール・チューン。歌のテーマとしてよくある“ナンバー・ワンよりオンリー・ワン”だが、これほどストレートな歌で表現できるのは、きっと彼らしかいないだろう。
06ファイティングマン VS nichijouseikatsu
キャッチーなメロディ・ラインと“パッパッパラ”というにぎやかなバック・コーラスが印象的なロック・チューン。日々続いてゆく日常生活との孤独な闘いを、すこしコミカルに崩した歌詞は、まさにロックの精神そのものだ。
07〜熱血商店〜
若さと勢いで押しまくるストレートなロック・ナンバーで、彼らの4thアルバム『熱血商店街』のテーマが最も強く反映された曲の一つ。これまでよりもさらに骨太なサウンドが、バンドとしての新たなスタートを思わせる。
08さらば青春の日々
TVアニメ『銀色のオリンシス』エンディング・テーマに起用されたロック・バラード。アコースティック・ギターに乗せて“涙でにじんだ……”と入る冒頭からして、王道ど真ん中! 飾り気のなさとストレートな歌いっぷりが胸に響く。
09キジトラ猫
上中丈弥のシャウトとクールなギターのリフで幕を開ける、情熱的なロックンロール・ナンバー。結末を迎えた恋愛を乗り越えようという詞世界を、そのまま表現したかのようにかき鳴らされるギターが、聴き手の心にまっすぐ届く。
10嗚呼!!されど青春ごっこ
イントロでかき鳴らされるエレクトリック・ギターのリフが最高にクールな、熱血ロックンロール・チューン。東京スカパラダイスオーケストラのメンバーによるホーン・セクションが、曲に豪華な装いを施している。
11明日もわいやいや〜
日常生活で感じる虚無感を表現した歌詞が心に染みる、切ないロック・バラード。練りに練られたメロディとネガティヴからポジティヴへと転化する詞に勇気づけられる。一日の終わりに聴くと、きっと明日への活力が湧いてくるはずだ。
12五月雨
力強いドラムとうねりまくるギター・サウンドを前面に押し出した、ストレートで骨太なロックンロール・チューン。終わってしまった恋愛を嘆く未練タップリの詞に、自身の過去の記憶が甦ってくる人も多いかもしれない。
13泥だらけがいいや
雑草魂を感じさせる力強い詞を歌う、実に味のある上中丈弥のヴォーカルが心の奥底に響く、熱血ロックンロール・ナンバー。骨太なロック・サウンドに混じったアコースティック・ピアノの音色が、曲に潤いを与えている。
14そうダーリン
力強さと哀愁が交差した、いかにも彼ららしいサウンドを聴かせてくれるロック・チューン。ムーンライダーズのギタリストでアルバム『熱血商店街』のプロデュースを手掛けた白井良明によるアコギの音色が、曲にアクセントを与えている。