ミニ・レビュー
YO-KING名義での5作目は、タイトルが示すとおりロックンロールからポップスへとテーマを移行。いつもの真っ正直でポジティヴなメッセージを毒気混じりに発しながら、日本の70年代ポップスを思わせるノスタルジックな世界を剥き身で歌唱。題字:平野甲賀、写真:平野太呂。
ガイドコメント
前作『音楽とユーモアの旅』より約2年ぶりとなるYO-KINGのアルバム。シンプルなロックンロール・ビートに乗せ、時にエネルギッシュに、時に飄々と人生や愛を歌い上げている。
収録曲
01数字
さまざまな数字に影響、翻弄される日常とそれに立ち向かう姿勢の大切さを歌った、前向きなポップ・ソング。空しさや切なさにあふれた生活の中で「けれども笑い合う日々がぼくらを強くする」というメッセージが勇気を与えてくれる。
02遠い匂い
人気アニメ『銀魂』のオープニング・テーマとしてもおなじみの、疾走感と高揚感あふれるナンバー。フォーク風の親しみやすいメロディや歌詞と、エレキ・ギターやシンセによるポップなアレンジが見事にマッチしていて新鮮。
03タフ
愛と怒りのメッセージが込められたYO-KING流の応援歌。「想像力が乏しい奴は物事を暗く考える」や「俺が1日にしてることは忙しそうなお前の20倍」など、励まし方としては荒療法ではあるが、エネルギーに満ちた言葉たちに元気づけられること間違いなし。
04ゆめうつつ
優しいメロディ・ラインが心地よいミディアム・テンポのラブ・ソング。ギター、ベース、ドラムによるシンプルなサウンドの中で、幻想的な音色のハモンド・オルガンと透明感のある女性コーラスが「ゆめうつつ」の空間をつくりあげている。
05ゆらぎのないほどほど
どこまでもノリノリでハイ・テンションなロックンロール。軽快なギター・サウンドに乗せて叫びちらされる、熱いメッセージが込められた歌詞が素晴らしい。気取らず飾らない言葉の数々が、心に響いて、魂を揺さぶることうけあいだ。
06ぼくらが過ごした永遠
大好きな人を想う切ない気持ちを歌ったフォーキーなバラード。ふと初恋を思い出してしまいそうな甘ずっぱい歌詞が素敵。ベースで参加しているフラワーカンパニーズのグレートマエカワとの豪華なコラボレーションにも注目。
07ぼくの好きな人
片想いの女の子へのあふれ出しそうな恋心を歌ったポップ・チューン。学生時代のほろ苦い恋を思い出してしまうかも、いや思い出さずにはいられない。切ない記憶なのになぜかほのぼのとした気分になるのは、彼の声の魅力のなせる業か。
08真空BABY
疾走感が満点のクールなギター・ポップ。シンプルなサウンドに乗せた、キャッチーでありながらも深い歌詞が魂をゆさぶる。ザ・ピーズの我孫子義一による情熱的なギター・プレイとYO-KINGの熱いヴォーカルの相性も抜群。
09TURN
ノスタルジックな雰囲気が漂うブルージィなポップ・ソング。子供の頃に見た夕日の美しさを歌った詞が優しくあたたかな気持ちにさせ、ストリングスの神秘的なハーモニーが幻想的なイメージを喚起させてくれる。
10夜
クセのあるハスキー・ヴォイスがトレード・マークのYO-KINGが、ファルセットまじりの美声で歌いあげた珍しい一曲。ピアノとアコギによるシンプルな構成のスロー・バラードで、レアな歌声をじっくりと堪能できる。