[Disc 1]〈昼-DAY SIDE〉
01BLANK-DUNK
アルバム『起きて寝る〜』“DAY SIDE”の冒頭を飾る高速ジャズ・パンク。ローファイなピアノのブレイクを挟むが、バンドのテンションは一貫して高い。楽曲の原型はインディ・デビュー以前からあったものだそう。
02ハナフブキ〜花魁道中罷り通る〜
和風のテーマ・メロディと裏打ちする金属系打楽器音が不思議と江戸風情を匂わすリード・トラック。これまでの“サムライ・ジャズ”路線のひとつの到達点とも言えるほど完成度が高い。時代劇PVも話題となった。
03RUN!RUN!RUN!
リズミカルなサックス・フレーズで始まるファンキー・チューン。展開が激しいが、それを感じさせない構成力のあるアレンジが素晴らしい。ヒューマンビートボックス風スキャットなど、遊び心も忘れていない。
04新しい日々〜LUNA ROSSA〜
ベースのいわゆる地平線ラインを土台とした8ビート・ロック。冒頭の旋律は曲中8回も繰り返されるが、4分音符の多い洗練された譜割りのためか、しつこさを感じさせない。軽快なのにしみじみとした味わいだ。
05ハイピッチャーのテーマ
大山渉(tp)が主演し、メンバーも全員出演した25分弱の短編映画『ハイ・ピッチャー』の主題曲。前半は脳天気なまでに明るく、後半は雰囲気を変えてジャズ色が増す。一貫した三三七拍子のようなリズムが印象的だ。
06オキザリス〜輝く心〜
アルバム『起きて寝る〜』において、最もポップな曲。派手な仕掛けはないが、ラテン調にリズム・チェンジする終盤やベース・ソロ風のエンディングなど、ひとヒネリ加えられている点がPE'Zらしい。サックスとピアノのキャッチーなソロにも注目。
07BooBy StaR
BSフジのラジコン番組『RCスタイル』のテーマ・ソング。洗練されたストリング音やフランジャー・エフェクトの駆使など、シンセの使い方が見事。楽曲全体にスピード感を与える航のアグレッシヴなドラムも冴えている。
08Live For The Groove (Inst ver.)
イギリスのソウル/ファンク系シンガー、ネイト・ジェームスとのコラボ曲の別ヴァージョン。穏やかなメロディとストレートなダンス・ビートの相性は良く、純粋に踊りたくなるようなサウンドに仕上がっている。
09パラダイス A GO GO
ピアノとベースがシャープなユニゾン・フレーズを繰り返すラテン風ナンバー。フロントの2管がキャッチーなメロディを奏で、航のハツラツとしたドラムが強力にバンドをグルーヴさせる。“これぞPE'Z”といった1曲だ。
10ヒルビー〜太陽とビーサンと私〜
ヒイズミマサユ機のスティール・パンのような響きのピアノが隠し味となって、カリビアンな空気を漂わせるリンボ・チューン。攻撃性のかけらもない、ひたすら陽気な“サムライ・ジャズ”もまた味があって良い。
11狼少年
エネルギッシュなジャズ・ロック。ハンドクラップのみをバックにしたサックス・ソロをはじめ、間違いなくライヴ映えするアレンジが随所に施されている。疾走グルーヴに乗る大らかなメロディはPE'Zの専売特許だ。
12我ら五人の侍なり〜We are five samurai〜
PE'Z自らをテーマにしたナンバー。基本のリズムはいわゆるボレロだが、彼らのキャラクター性から西部劇のような勇ましさとも、水戸黄門のような和テイストとも感じ取れるのが面白い。4ビートへの急展開が意表を突く。
13AMBIENT-57
タイトルに反してサウンドはまったくアンビエントでない16ビートのジャズ・ロック。メロディは耳馴染みが良く、クラブ・テイストに徹する訳でもなく斬新なアレンジもエネルギッシュなプレイもないが、心地よく聴ける。
14朝き夢見じ
AABA形式のメロディを基調とした歌謡ジャズ・ロック。低音を効かせたスリリングなフレーズを交えつつ、終盤はベタな歌謡曲的コード進行のBパートを繰り返す。“ベタ”と“カッコいい”が紙一重だと教えてくれる。
15メラリズム
壮大なバラード曲の前奏のようなピアノから、期待通りの炸裂アンサンブルが展開されるPE'Z流ハード・ロック・ジャズ。歪めたギターを意識したキーボードの音色やディープ・パープルを思わせるようなソロなど、ヒイズミマサユ機の器用さが秀でている。
16鬼の樹〜巣立ち行く我が子へ〜
アルバム『起きて寝る〜』“DAY SIDE”のラストを飾るミディアム・バラード。ポジティヴな未来を感じさせるメロディやメリハリのあるアレンジなど、非常によくまとまっている。素直に感動させてくれる名曲だ。
[Disc 2]〈夜-NIGHT SIDE〉
01ハヤガケ
“NIGHT SIDE”のオープニングを飾るジャズ・ロック・チューン。シャッフル基調のためかロックンロール的な軽快なノリで、サックス→ラッパ→ブレイクを挟んでピアノが賑やかでタイトなソロを展開する。
02MARMALADE JAM
こもったエレピ音が楽曲の個性を決定付けるクラブ・ジャズ・ファンク・ナンバー。決してキャッチーとは言い切れないが、こうしたややコアな楽曲も範疇におさめる彼らの深い音楽性に驚かされる。
03A〜エース〜
2003年に行なわれた完全アコースティック編成でのジャズ・クラブ・ツアー用に作られたコテコテのジャズ・ファンク。フロント2人のソロが弱いと感じさせるほど、ヒイズミマサユ機のオルガン・ソロは見事!
04GREEN DOLLS
PE'Zには珍しいストレートなジャズ・ワルツ。前テーマを経てピアノとテナーがタイトなソロを披露し、後テーマに戻るという比較的オーソドックスな構成。日本人好みの洗練されたメロディが実に美しい。
05ひんやりやんひ
新主流派の影響も感じさせるクールなジャズ・ナンバー。ムーディなエレピとスクエアなドラムが淡々と繰り返されるなか、「ファックス送りますんで」など、ユニークな留守電メッセージがちりばめられている。
06パラノイア
Kadota“JAW”Kousukeがソプラノ・サックスを披露する人力ドラムンベース・ジャズ。既存のPE'Zのイメージを完全に覆すナンバーだが、その完成度の高さに納得させられる。ソロの量的・質的塩梅も完璧。
07真夜中のアメーバ
多彩なエフェクト処理や打ち込みトラック風のドラムなど、現代的な音作りを果敢に採り入れたクラブ・ジャズ曲。クロマティックに下降するベース・ラインや執拗に2拍3連フレーズを奏でるピアノなど、アイディアが満載。
08LAURA
「A〜エース〜」同様、2003年の完全アコースティック・ツアー用に作られた1曲。テーマは典型的なハード・バップ・メロディだが、グルーヴィなエレピが入ることでモダンなクラブ・テイストに仕上がっている。
09Terry's〜Uni's roots〜
リー・モーガンとベニー・ゴルソンがゲスト参加したかと錯覚してしまいそうな前半から、ピアノのブレイクを経て軽快な4ビートが繰り広げられるジャズ・ナンバー。本曲を気に入ったジャズ入門者にはハード・バップがオススメ。
10デリシャスサンドウィッチ
「ウォーターメロン・マン」風ピアノ・フレーズを特徴とするジャズ・ロック。洗練されたキャッチーなメロディとメリハリのある曲展開が素晴らしい。2003年の完全アコースティック編成ツアー用に作られた1曲。
11極
コンテンポラリーなクラブ・ジャズ。ピアノのソロ時以外は、リズム隊の3人がシンプルなフレーズを延々と繰り返すグルーヴ重視のナンバーなので、ライヴには不向きか。これまで以上にハモリを多用した主旋律に注目。
12MOSTA VIENTE
テープの逆回転のようなオルガンで始まるボッサ/ラテン風ナンバー。落ち着き払ったテーマ・メロディからムーディなエレピのソロまで、全編アダルトな雰囲気に満ちている。スタイリッシュなPE'Zもなかなかイカしている。
13ピスタチオボーイズ
冒頭におちゃらけたMCによるバンド紹介が入る痛快ファンク・チューン。メンバー紹介をしながら演奏が次第に厚くなっていくライヴ仕立ての中盤やチープな電子ドラム、始終口を挟むMCなど、遊び心に満ちている。
14THE SPIKER
「チュニジアの夜」風のベースにスペイシーなシンセが絡むファスト・ジャズ・ロック。サックスとトランペットの掛け合いや歪ませたエレピのファンキーなバッキングなど、5人各々のハイ・テンションなプレイを味わえる。
15アケビ
カクカクとしたユニークなピアノ伴奏に郷愁の念を誘うシンプルなメロディが奏でられる童謡/唱歌ナンバー。大真面目なのかオフザケなのか、彼らの意図はつかめないが、ライヴのラストには似合うかもしれない。
16懐かしい日々〜SPRING VALLEY〜
アルバム『起きて寝る〜』“NIGHT SIDE”のラストを飾るジャズ・ファンク・チューン。タメの効いた重めのグルーヴと、まろやかで耳馴染みの良いメロディが醸し出すリラックスした雰囲気が味わいどころだ。
[Disc 3]
01ハナフブキ〜花魁道中罷り通る〜 (Radio Edit Ver.)
〈EN-MUSUBI 06' at LIQUIDROOM〉
02MARMALADE JAM
03オキザリス〜輝く心〜
04BooBy StaR