ミニ・レビュー
シングル「薔薇架刑」をはじめ、2004年発表の「禁じられた遊び」などシングルとカップリング曲を収録したアルバム。宝野アリカの優美で妖しいヴォーカルが、ゴシックから耽美的SMまでファンタジックな世界を描いている。「聖少女領域」のミュージック・クリップDVD付き。
ガイドコメント
2007年4月発表のアルバム。TBS系アニメ『ローゼンメイデン』のオープニング曲「禁じられた遊び」や、PS2ソフト『舞-HiME 運命の系統樹』のオープニング曲「阿修羅姫」といったヒット曲を中心に構成された充実盤だ。
収録曲
[Disc 1]
01禁じられた遊び
薔薇の首輪や銀の鎖などを使って愛の絆を確かめるという、妖しいSMの世界を描いた曲。シンセのアップ・テンポで自由奔放な響きが狂おしいほどの思いを表わしている。TBS系アニメ『ローゼンメイデン』のオープニング・テーマ。
02聖少女領域
クラシック風な演奏と哲学的な言葉が激流のようにうねりほとばしる、ドラマティックなナンバー。たたみ掛けるヴォーカルが愛への渇望感を訴えている。TBS系アニメ『ローゼンメイデン・トロイメント』のオープニング・テーマ。
03君がため、惜しからざりし命さへ
賛美歌風コーラスの導入部から、ダークで不安に満ちたノイジーなサウンドへと一気に展開するユニークな曲。恋しい人への思いを文語体で綴りながら、感情のままに語るように歌い、歌うように語っている。
04春蚤
徐々に西方へと向かうシルクロードの移ろいを感じさせるようなメロディとサウンドをもつ、エキゾティックなナンバー。わが身を蚕に移し、春に絹の糸を操り、夏を耐えて、冬に凍り死す。そしてまた生れ落ち……と、献身的で永遠の愛を誓う。
05極楽荊姫
古語を交えた文語スタイルの歌詞でホラー・テイストのおぞましい愛憎劇を描いたゴシック風ナンバー。ドラマティックなサウンドと妖しげな雰囲気のヴォーカルが、アンティークなポップス・ワールドを作り上げている。
06眠れる城
流麗なストリングスの調べを活かした、クラシックの小品を思わせる曲。宝野アリカのヴォーカルは愛らしく、“君だけ抱きしめる腕は蔦となって、そっと絡みついて離れたくない”とストレートに愛を歌い上げている。
07S嬢の秘めやかな悔恨
しっとりと美しく響くヴァイオリンの演奏を効果的に活かしたポップ・チューン。過去に閉じ込めてしまった夢を“いまなら眠れる木馬に跨って助けに行きましょう”と歌う。ファンタジックで美しい詞が魅力的だ。
08名なしの森
単調なデジタル・ビートを中心に、多彩なパーカッションやスペイシーな感覚を取り入れたテクノポップ・ナンバー。私たちが本当の二人になるために、越えなくてはならない試練と冒険の旅を続けようとクールに歌う。
09阿修羅姫
アラブ風テイストを取り入れた、煽るようなテンポで突き進むエキゾティックなナンバー。愛という戦場で繰り広げられる夢と現実との戦いをテーマにした、PS2ゲーム「舞-HiME〜運命の系統樹〜」のオープニング・テーマ曲。
10薔薇獄乙女
アラブ風のエキゾティックな雰囲気のアレンジに、古語まじりの耽美的な歌詞と妖艶なヴォーカルを重ね合わせたゴシック風ナンバー。TBSアニメ『ローゼンメイデン・オーベルデューレ』のオープニング主題歌。
11あたしがアリスだった頃
美しいストリングスの演奏にゆったりとした8ビートをミックスしたバラード。過去と現在が入り混じったシュールな歌詞を、宝野アリカはアイドル風に歌うことで、ファンタジックな世界へと導いている。
12薔薇架刑
荘厳なストリングスの演奏をバックに、女王のごとく気品に満ちて堂々と歌いあげるクラシック調のナンバー。自分を薔薇に模して、“わたしは薔薇でわたしは女”と薔薇の宿命に殉じる決意を表明している。
[Disc 2]〈DVD〉聖少女領域(Music Clip)