ミニ・レビュー
YOUR SONG IS GOODらとのスプリット3部作を経て、持ち前の ポップ魂を新たにしたビークル。それだけに、“自分たちがやれば何でもポップになる”とでも言いたげな、突き抜けたアルバムを届けてくれた。目くるめくポップ世界は、脳内にテーマ・パークを出現させる!?
ガイドコメント
YOUR SONG IS GOODやアスパラガスらとの異種格闘技シングル3作を経たBEAT CRUSADERSが放つ、約2年ぶりのフル・アルバム。「DAY AFTER DAY」「GHOST」をはじめキャッチーなロック・ナンバーが満載だ。
収録曲
[Disc 1]
01〜TOXIC GORILLA〜
アルバム『EPopMAKING〜』のオープニングをハイテンションで飾る約1分のSE的ナンバー。王道パンク・テイストを3コードでシンプルに表出。コーラスを含む息の合った演奏から、突き抜けた楽しさがうかがえる。
02CUM ON FEEL THE NOIZE
なんといっても、耳なじみのいいサビのメロディが印象的。ビークルの得意とするポップ・パンクが鮮やかに炸裂している。ヘヴィ〜キャッチーへとナチュラルに疾走するサウンド・メイクはさすがの一言だ。
03TONIGHT、TONIGHT、TONIGHT
シンプルな8ビートのリズムに乗せて軽快なヴォーカルを聴かせる、2006年9月リリースのシングル・ナンバー。伸びやかなヴォーカルと安定感たっぷりのバック・トラックが相まって、完成度の高い楽曲に仕上がっている。
04E.M.O
歯切れのいいギター・カッティングが爽快なエモ・ナンバー。ツイン・ギターの絡みに加え、各パートの押し引きが実に狡猾だ。スペーシーなキーボードが映える万華鏡的なサウンドにノック・アウトされること必至だ。
05DAY AFTER DAY
早い8ビートを信条としてきたビークルが、あえて2ビートでやったらどうなるかという逆転(ひねくれ)の発想から生まれた曲。メロコア以降のモダンなパンクネスに、暗いコード感がうまく合体している。
06FOOL GROOVE (with YOUR SONG IS GOOD)
YOUR SONG IS GOODとの共演によるゴキゲンなスカ・ナンバー。楽しげなホーン・セクションやオルガンらの上で踊る、果てしなき片想いの恋の歌。ピースフルなムードのなかで奏でられる、“愚か者”のグルーヴが痛快だ。
07HEY×2 LOOK×2
アメリカ産のアニメ『カッパ・ミッキー』のために書き下ろされたポップな小曲。歌詞も完全にアニメに寄り添う心地良い振り切れぶりだ。全編にわたってハンドクラップ&シンガロングを誘うユーモラスな仕上がりとなっている。
08〜SPROUT!〜
アルバム『EPopMAKING〜』の中間部で訪れるインタールード第2弾。ギター、ベース、ドラム、キーボードが程よく絡み合いながら疾走する1分半劇場。スロー・ダウンする転調も渋く決め、次曲「PERFECT DAY」に弾みをつけている。
09PERFECT DAY
ベースのクボタマサヒコがヴォーカルをとったナンバー。清涼なギター・リフとキーボードの旋律が相まって、色鮮やかでセンスの良いポップ・パンクが完成。スペーシーなアレンジが高揚をさらに煽っている。
10DROOG IN A SLUM (with TROPICAL GORILLA)
メロディック・パンク・バンド、TROPICAL GORILLAとの共演ナンバー。リリックもサウンドも華麗にハジけ、歯切れのいいパンク精神で一気に駆け抜ける。ライヴでも大いに盛り上がる、シンガロング必至の一曲だ。
11TREASON
USパンクを思わせるノンストップぶりが爽快な、王道の疾走チューン。サビのエモーショナルなシャウトがシンガロングを誘う。ジャンル不問の器用さ、フックの効いたアレンジはさすがの一言。
12ANOTHER TIME/ANOTHER STORY
ギュインとうなるキーボードが肝の縦ノリ・ナンバー。ディスコティックなきらびやかさが渦巻いて、情景はあっという間に夢心地に。ヒダカのハスキー・ヴォイスもサウンドにメロウに溶け込んでいる。
13MIGHTY BLOW
静かなドラムの刻みからスタートするも、ハッと目が覚めるようなキャッチーなサビが到来。冒頭でいきなりそのポップネスをやられたら、シュールな歌詞も無意味に楽しくなってくるはず。そのストレンジぶりに自然と引き込まれる。
14SOLITAIRE
ちょっぴり気だるさとせつなさを感じさせるビート・ナンバー。イントロと間奏には、イギリスのパンク・バンド、ポーグスに敬意を表してアイリッシュ・トラッドの影響を受けたフレーズを入れている。
15〜YOUR MELODY〜
アルバム『EPopMAKING〜』の終盤に訪れるインスト第3弾。穏やかでゆるやかなカリプソ・ナンバーは、YOUR SONG IS GOODゆずり? カトウタロウとマシータがヴォーカルをとっているのも楽しい。
16GHOST
本人いわく「背伸びして難しいコード進行を使ったためにアレンジに難航……」とのことだが、それほどでもなく、一度聴いたらすぐに覚えられるシンプルなギター・ロック。SE的に導入されているシンセがいい味を出している。
17LET'S ESCAPE TOGETHER
80'sミュージックの影をジワリ感じさせる、思わずニヤリとなる一曲。ニューロマンティック×ニューウェイヴといった、なんでもありの音楽的所業が痛快。ダンス・ビートにのって、いつまでも躍り続けたくなる。
18FAIRY TALE (with ASPARAGUS)
シンプルでミニマルなビートが癖になるギター・ロック・チューン。メロコア・バンド、ASPARAGUSとの共演作で、相性の良さは抜群だ。軽やかなメロディとファンタジックな詞がきれいに溶け合っている。
19ZENITH
芸術家イヴ・クラインに想いを掲げたミディアム・ナンバー。ヘヴィなギター・コードをはじめ、陰鬱な要素がところどころにちりばめられている。サビでのヒダカの突き刺さるような痛切な叫び声が印象的だ。
[Disc 2]〈DVD〉
01CUM ON FEEL THE NOIZE
02GHOST
03FAIRY TALE
04DROOG IN A SLUM
05TONIGHT、TONIGHT、TONIGHT
06FOOL GROOVE
07OUR MELODY
08DAY AFTER DAY
09SOLITAIRE