ミニ・レビュー
ダフト・パンクのマネジャーによって見出された、パリ出身のグザヴィエ・ドゥ・ロズネとギャスパール・オジェによるダンス・ユニット。ファンキーなリズムと下世話でノイジィなシンセが絡み合ったサウンドは、ロック・ファンの耳も虜にするはず。
ガイドコメント
ゴリゴリのロック・サウンドをダンス・ミュージックとミックスさせるフランスのエレクトロ・デュオ、ジャスティスのデビュー・アルバム。躍動的なサウンドとセンスあふれるエディットも魅力だ。
収録曲
01GENESIS
歪んだエレクトロ・サウンドやファンキーにうねる超低音ベース、極太の4つ打ち。これらの派手なパーツが組み合わさった構造は、ノイジーとも言える。後半で鳴らされる耽美なピアノ・サウンドなどゴシックな重厚感を飲み込んだ、エレクトロ・ロック・インスト。
02LET THERE BE LIGHT
ソリッドな爆音エレキ・ベースと高音のノイズ・リフによる喧嘩セッション。キック、スネア、ハイハットによるシンプルなマシン・ビートがボトムを支えている。中盤以降、流麗なシンセが挟み込まれ、感動的なフィナーレを迎える。
03D.A.N.C.E.
ジャスティスをメジャーへと押し上げた大ヒット曲。ロンドンの少年聖歌隊のコーラスを大胆にサンプリングし、“エレクトロ・ゴスペル”“エレクトロR&B”ともいえる独特のサウンドを作り出している。相変わらずの極太バック・トラックさえもポップに色づく怪作。
04NEWJACK
芯のある4つ打ちとインダストリアルなエフェクトに、女性ヴォーカルによるサンプリング・ヴォイスが盛り込まれている。ロボットのような声でダンサブルにカット・アップされたヴォーカルが、チョッパー・ベースのようなファンキーな効用をもたらす特徴的な楽曲。
05PHANTOM
プロモ盤として限定1000枚しかリリースされなかった過去を持つ幻の1stシングル曲。ダフト・パンクを彷彿とさせるポップなヴォコーダー・ヴォイスと、ジャスティスの顔とも言えるディストーション全開のエレクトロ・サウンドが融合した、フロア受け確実のナンバー。
06PHANTOM PT 2
大ヒット・アンセム「ファントム」の続編。野太いキック、歪んだベースに合わせて、ストリングスによるメロディアスなフレーズが用いられている。後半ではエレキ・ギターが現れるなど、彼ららしい摩訶不思議なサウンド・コラージュとなっている。
07VALENTINE
ディストーション・サウンドが鳴りを潜めた異色作。教会のパイプオルガンのような神聖な響きで鳴らされるシンセ、ダークでサイケデリックな導入とラストなど、物語性が感じられる構成となっている。フロアでのチルアウトに最適なインスト・チューン。
08TTHHEE PPAARRTTYY
“エド・バンガー”レーベルの紅一点、UFFIEのヴォーカルをフィーチャーしたエレクトロ・ダンス・トラック。グルーヴィな極太ベース・ラインとロマンティックでメロディアスな高音シンセ&ヴォーカルとのミスマッチが、意外なキッチュ感を醸し出していてキュート。
09DVNO
シナリオ・ロックのヴォーカリスト、メーディ-・パンソンをフィーチャーしたダンス・ロック。ミドル・テンポながらファンキーなベースやハンドクラップを用いて、踊れる楽曲に仕上げている。抑揚を抑えた美声がクールを演出する好トラック。
10STRESS
インダストリアルで金属的なノイズが不穏に鳴りわたるインスト・トラック。うねるディストーション・ベース、骨太のドラム・ビート、極彩色のサウンド・コラージュと、彼らの魅力がシンプルかつ大胆に込められた、攻撃的なエレクトロ・ダンス・ロック。
11WATERS OF NAZARETH
アルバム『†(クロス)』に先行してリリースされたシングル曲。パイプオルガンのような音色で奏でられるシンセサイザーのフレーズを上モノに、硬質なハイハット&キック、強烈に歪んだノイズ・ベースが縦横無尽に暴れまわるキラー・トラック。
12ONE MINUTE TO MIDNIGHT
アルバム『†(クロス)』のエンディングを飾るミドル・テンポのインスト・トラック。シンセ、ベース、ディストーションと得意の武器を用いながらも、テンポやメロディに一抹のもの悲しさがブレンドされ、エモーショナルな雰囲気を醸し出している。
13D.A.N.C.E.
名シングル曲「D.A.N.C.E.」のリハーサル・ヴァージョン。トラックはシンプルなピアノと無駄を抑えたドラム、アクセント程度に鳴らされるストリングスのみに抑えられ、ロンドン少年聖歌団のコーラス・ワークがよりむき出しとなっている。