ミニ・レビュー
これまでの松浦亜弥のイメージを下ろして聴いてほしい作品。大人が持つ子供っぽさを時に愛らしく、時に刹那的に歌い上げるヴォーカルに、成熟過程の輝きがしっかりと宿っていることがわかる。タイトルどおりアイドルとヴォーカリスト、二つの輝く顔を見せてくれる7作目。
ガイドコメント
前作『Naked Songs』から約1年ぶりとなる7枚目のオリジナル・アルバム。前向きなメッセージを力強く歌い上げたヒット曲「笑顔」をはじめ、シンガーとしての“あやや”の魅力が全開だ。
収録曲
01今はレットイットビー
大人になりきれてない気がする時は、その自問に逃げ出さずに静かに考えてみるのもいい、と歌う。自分に向き合うこと、たまには時間の流れに答えを委ねる気楽さを持つことの大切さを訴えている。
02HAPPY TO GO!
多忙な生活でも一呼吸することが大切だと歌う、ノリのよいナンバー。下ばかり見て大切なものを失う前に、何気なく見上げる空が何か解決策を教えてくれることがあるかもしれない。身近なことから見直すきっかけを与えてくれる曲だ。
03ソウルメイト
サビの高音ヴォイスが映える、女性同士の友情を歌ったミディアム・ナンバー。ありきたりの単なる仲良しソングではなく、失恋した友達に“一緒に泣くだけが友達じゃない”と歌う詞がリアルで新感覚。コーラスも凝っている。
04ダブル レインボウ
男友達の生き方を通じて、“夢を追う”ことが“生きること”に繋がることだと知った女性を描いたバラード。言葉よりも人の姿を見て考えさせられることがある。そんな人としての成長を、松浦がエモーショナルなヴォーカルで歌い上げている。
05blue bird
遠距離恋愛に立ち向かう女性を描いたナンバー。悲観的にならず、“それぞれ時を越えてまた会えるね”と前向きさを忘れない主人公に好感。メロウなメロディ・ラインと弾むコーラスは、女性の心を気丈に支えているよう。
06風に任せて
目の前に未知なる扉が現れたとき、勇気を持って扉を開けて一歩進んでみた……そんな心境を歌ったナンバー。思い切る意志の大切さを感じさせる堂々としたヴォーカルは、清々しく、よく伸びていて晴れやかだ。
07砂を噛むように…NAMIDA
20歳を迎える年、あややが初めてつんくプロデュースから離れ、大きな一歩を踏み出したミディアム・バラード。失恋した女性が立ち直り、前向きに生きようとする姿を爽やかに歌う。切ない感じも繊細に伝わってくる。
08灯台
彼女がいる相手への叶わぬ恋心を抑え、友達として彼を照らし続けていくと決意する気持ちを歌った、切ないバラード。自ら進んで胸の奥に気持ちを隠してしまう女性のやるせなさが、繊細なヴォーカルと相まって涙を誘う。
09引越せない気持
笑顔で別れたことを、これでよかったのだと己に言い聞かせつつ、心の片隅にある相手への気持ちを匂わせるナンバー。強がる気持ちと裏腹な感情を高ぶらせるようなアレンジも哀愁が漂っており、切なさに拍車をかける。
10女 Day by Day
同世代の女性へのエールを歌った、等身大のポップ・チューン。元来得意とするジャンルであるが、恋愛や仕事、オシャレにと気の抜けない日常のなかで、“現実も素敵な女性になるためにもっと頑張ろう”という詞にも、大人のエッセンスが加わっている。
11笑顔
日本テレビ系報道番組『NEWS24』イメージ・ソングとなった19thシングル。“生きてさえいれば明日が来るから”というメッセージを歌ったミディアム・バラード。谷村有美による書き下ろしを、松浦が高音を生かして素直に歌い上げている。