ミニ・レビュー
KinKi Kidsの堂本剛が、30歳を迎え新たに始動させたソロ・プロジェクトの1枚目。雅楽を採り入れたものからアンプラグドでメッセージ性ある歌、さらに一人で全パートを演奏してのファンク・インスト。次々に発揮される多彩なミュージシャンぶり、質の高さに驚く。
ガイドコメント
堂本剛が“剛紫”名義で発表する初のアルバム。作詞、作曲、アレンジはすべて本人によるもので、インスト曲「Ku」では全楽器を自身で演奏している。土屋公平、東儀秀樹、屋敷豪太、吉田建ら、ゲスト・ミュージシャンも豪華だ。
収録曲
01美我空
剛紫の30歳を記念してリリースされたアルバム『美 我 空-ビガク 〜my beautiful sky』のイントロダクションとなるインスト曲。尺八、笙、篳篥(ひちりき)といった和楽器を使用し、和とロックを融合させたサウンドが幻想的な雰囲気を醸し出している。
02TALK TO MYSELF
自らの“愛と云う名の光”を伝えることを切に歌ったスロー・ナンバー。ひとつずつゆっくりと紡がれる言葉や、やわらかい音色のアコースティック・ギターとベースが、耳に優しく心地よく響く。剛紫らしいアーティスティックな一面が光る一曲。
03愛詩雨
大切なものが目の前から消えてしまったような痛みを覚える、悲しくセンチメンタルな詞が印象的なスロー・ナンバー。“愛は優しいから”と歌う剛紫の哀愁の漂う声色とメロディックで温かみのあるベースが切ない音色で響く。
04素敵な詩 孤独な詩
まったりとしたロック・ナンバー。剛紫自身が“変われない自分と変わろうとする自分に向けて歌っている唄”と語るように、冒頭の“ボクがキミが キミがボクを 愛してるよ”という詞は、自分に言い聞かせているかのようだ。
05ku
06NIPPON
軽やかなテンポに乗せて現代の日本の情景を描いた、ファンク・テイストなアップ・チューン。殺伐とした都会の中にでも小さく潜む自然が作り出す美しさを歌っており、日本へ向けて称える賛歌のようにも捉えられる。
07叶え Key
夢、誇り、痛み、愛……と、人生の大きなテーマを詰め込んだような一曲。時々飛び跳ねながらも一歩ずつ歩んでいくようなファンキーなサウンドに仕上がっていて、バックのブラス・セクションの渋い響きが印象的だ。
08綴る
恋人や友人、家族、時代へと、さまざまな事柄に向けられているラヴ・ソング。本人の演奏するピアノの後ろで小さく響くギターの音色が幻想的な雰囲気を醸し出している。スロー・テンポで一言一言が丁寧に歌われる優しいバラード。
09歴史
自分たちが紡いできた、そしてこれから紡いでいく“歴史”を“赤い糸”でつなぐと歌うスロー・ナンバー。剛紫が自らピアノを演奏するシンプルな弾き語りで、しっとりと歌い上げる歌唱力が光る。
10Raindrop Funky
雨上がりの夜の街をデートするといった、可愛らしく、少し大人な雰囲気をまとったミディアム・ナンバー。軽やかに跳ねるギターがぴちゃんと跳ねる“雨の滴”を連想させる。夜のデートで聴きたくなるような一曲だ。
11FUNKAFULL FUNKAFULL
みんなでファンクしよう! と投げかける、ノリの良いミディアム・ナンバー。何度も繰り返される“Go FUNKAFULL!!!”という詞とリズミカルなブラス・セクションや軽やかなギター・サウンドに、思わず踊りだしたくなるような一曲。
12Purple Stage
剛紫の独創的な世界観あふれるスロー・バラード。自らの持つ“ストーリー”を紐解いて、その中に新しく世界を作り上げていこうという詞は、さまざまな捉え方のできるメッセージを投げかけているよう。後半の“ラララ……”だけで歌い上げる表現力は圧巻。