ミニ・レビュー
沖縄発の3ピース・ガールズ・バンドのファースト・アルバム。平成生まれのリアル10代の“乙女心”が醸し出す心象風景は、時に意外な昭和風味を帯びたメランコリーを、時に弾けるようなロック感を伴いながら、二度と訪れることのない大切な一瞬一瞬を切り取っていく。
ガイドコメント
2009年6月17日リリースの1stアルバム。デビュー・シングル「ヒトヒラのハナビラ」やTBS・MBS系アニメ『機動戦士ガンダムOO』のオープニング・テーマ「泪のムコウ」、YUIとのコラボ曲「I do it」など、話題曲満載の充実作だ。
収録曲
01青春に、その涙が必要だ!
キュートなAIMIのヴォーカルが弾けるエネルギッシュな青春賛歌。恋にウキウキする甘酸っぱさが満載で、鮮やかでリズミカルなサウンドが元気いっぱいにしてくれるポップ・ロック・チューンだ。
02I do it
YUIの楽曲提供&コーラス参加で話題となった2009年4月発表の3rdシングル。“スピードを上げて 走り抜ける”という歌詞のとおり、疾走感あふれるアグレッシヴなロック・チューンとなっている。エッジの効いたギターのカッティングが清々しい。
03木漏れ日のジャーニー
哀愁漂うサウンドに乗せた叙情的な詞が特徴的なミディアム・ナンバーで、一度諦めかけた夢に再度向き合うことを決めた主人公の気持ちを歌う。夢は叶わないと思いながらも抑えきれない衝動をストレートに描写している。
04泪のムコウ
TBS系アニメ『機動戦士ガンダムOO(セカンド・シーズン)』後期のオープニング・テーマとなった2ndシングル。“無理に笑うことないよ”と若者へのメッセージを込めた、せつなさあふれるサウンドが涙を誘うミッド・ナンバー。
05乙女心 Hey Hey Hey
彼に理解してもらえない繊細な乙女心を嘆いた、キャッチーなポップ・ロック。思春期の女の子ならきっと共感できる詞は、若い彼女たちならでは。“Hey Hey Hey”の掛け声が楽しい、エネルギッシュでキュートな一曲だ。
06泣かないで
遠距離恋愛の苦しさをせつなさたっぷりに歌い上げたミッド・スロー。大切な人を苦しめるすべてから守りたいと、遠くから切に願う詞がぐっと胸に沁みる。憂いを帯びたほろ苦いヴォーカルも世界観を見事に演出している。
07effective line
アルバム『ハイド.ランジアが咲いている』収録曲中、最もハードで攻撃的なスピード・ロック・チューン。負けるわけにはいかないという決意を鮮やかに表明して、まっしぐらに駆け抜けていく勢いにあふれた一曲だ。
08スウィート・ブルー
乾いたギターがメランコリックな印象を持たせるマイナー調のロック・ナンバー。現代の若者が抱える苦悩をリアルに綴っていて、孤独を感じるときには“君の夢を聞かせて”ときっと手を差し伸べてくれるだろう。
09都会ノ森
哀愁たっぷりでもの悲しいミッド・ナンバー。自分で決めて出てきたものの“都会ノ森”に迷い込み途方に暮れる主人公を描写していて、沖縄から出てきた彼女たちの胸の内が吐露されているような一曲だ。
10幸せの丘で暮らしたい
哀愁漂うギターでつむがれる、ささやかな幸せを願うミッド・ナンバー。消え入ってしまいそうなほどに繊細ではかなげなヴォーカルとほろ苦いサウンドに、不安と希望が入り混じった心境が表われている。
11マイミステイク
ディストーションを効かせたギターが感情的にかき鳴らされるシリアスなロック・チューン。別れを決め、会わずに断ち切ろうとする決意とは裏腹に、相手の体温を求める本能が頭をもたげる葛藤を痛々しく描写している。
12ヒトヒラのハナビラ
テレビ東京系アニメ『BLEACH』エンディング・テーマとなった2008年11月発表のデビュー・シングル。どこか懐かしいメロディ・ラインが特徴のリズミカルなロック・ナンバーで、忘れられない昔の恋を綴った失恋ソングとなっている。
13青空 Very good days!!
多感な思春期の真っ只中にいる若者の気持ちをリアルに描写した、キャッチーな青春応援ソング。疾走感のある爽快なサウンドにのせて、“走れ 走れ”“飛び越えろ 飛び越えろ”と背中を押してくれる。