ミニ・レビュー
2010年に武道館公演を大成功させた4人組ロック・バンドの5作目。疾走感とスケール感あふれるメリハリの利いた鉄壁のアンサンブルと、突き抜けるようなTakaのハイ・トーン・ヴォーカルは圧巻。凄まじい勢いとテンションを感じさせながらも、ポップでコンパクトな親しみやすいサウンドに仕上がっている。
ガイドコメント
2011年発表の5枚目となるニュー・アルバム。PSP『ブラック★ロックシューターTHE GAME』主題歌「NO SCARED」をはじめ、「アンサイズニア」「Re:make」などの話題曲を多数収録している。
収録曲
01Coda
5thアルバム『残響リファレンス』のオープニングを彩るイントロダクション。電子音を駆使したシリアスでミニマムなアレンジながら、これから始まる壮大な世界を意識させるサウンドが絶妙。“嵐の前の静けさ”という形容がピッタリとはまる。
02LOST AND FOUND
“More expectation”という冒頭のシャウトから高いテンションで展開するロック・ナンバー。ラストで激しく暴れるドラムや重心の低いサウンド、それに負けないTakaの力強くストレートに響く声など彼ららしさが良く出ている。
03アンサイズニア
青くクールな印象を与える前半から“Come on!Come on!”とシャウトするサビで爆発する5thシングル。今を生きることは難しいけれど、考えすぎずに悔いのないように生きるんだという歌詞が力強く響く。
04NO SCARED
「Re:make」とともに両A面で発表された6thシングル。バスドラムでグイグイと前に引っ張り、心地よいドライヴ感を生み出している。比較的多い音数ながら、飽和せずにスッキリと聴かせるアレンジ能力の高さが感じ取れる。
05C.h.a.o.s.m.y.t.h.
美しいアルペジオで幕を開けるミディアム・チューン。友人のイニシャルを並べたというタイトルどおり、大切な仲間とともに過ごした青春時代を振り返りながら“忙しくなるけどかわらずこの場所はあるから”と優しく歌いかける。
06Mr.現代Speaker
細かいギターのリフを中心に、テンポを大きくとりながら展開するミディアム・テンポのロック・ナンバー。少しずつ助走をつけながらサビで一気に広がりを見せる緻密なアレンジで新境地を切り拓いている。Takaならではの独特の言語感覚も楽しい。
07世間知らずの宇宙飛行士
作詞作曲ともにTomoyaとRyotaの共作で手がけられた異色の作品。打ち込み然としたビートや多彩なエフェクトを効かせたギターなど新たな挑戦を多く試みているが、底にあるのはやはり“ワンオク”らしいライヴ映えのするサウンドだ。
08Re:make
ギターの重心の低いバッキングとヴォーカルによるイントロだけで曲の持つグルーヴを表現。曲構成をシンプルにし、バンド・アレンジも比較的ストレートなものにするなど余分なものを極力削ぎ落としてメロディを引き立てている。
09Pierce
ピアノとアコースティック・ギターを中心にストリングスが絡み合う、温かいサウンドが特長のミディアム・バラード。うまくいかない恋を描き、君を忘れることなんてできるはずがないとエモーショナルに歌い上げるTakaのヴォーカルが秀逸。
10Let's take it someday
僕は音楽で大切なものを守ってる。君も自分だけが持つ道標に沿って進め、と歌うナンバー。ドコドコとしたタム回しやバスドラムの数でビートの変化を表現するなど、Tomoyaのあふれるセンスを感じさせるドラミングが印象的。
11キミシダイ列車
特徴的なギターのアンサンブルを軸に展開する、カラッとした開放感のあるナンバー。過去の自分が今の土台となるのだから、逃げずに今を全力で生きるんだと強く背中を押してくれる。途中で唐突に変拍子を挟むなど、遊びも忘れていない。