ミニ・レビュー
いまや国民的アーティストとして全世代から愛されている泣き笑いポップ・ユニットが、バラード曲てんこ盛りのベスト盤をリリース。デビュー曲「SAKURA」や「風が吹いている」(ロンドン録音を加えた2ヴァージョン収録)など、丁寧に紡がれた言葉と染みるメロディは、何度味わっても飽きがこない。
ガイドコメント
いきものがかり初となるバラード・ベスト。デビュー曲「SAKURA」から「帰りたくなったよ」「YELL」「ありがとう」、そしてNHK『ロンドンオリンピック』テーマ曲「風が吹いている」まで、彼らの名バラードをギュッと凝縮。英新録曲も追加。
収録曲
01風が吹いている (UK recorded version)
NHK『ロンドンオリンピック・パラリンピック』放送テーマ・ソングとしても話題を呼んだ24thシングルの“UK recorded version”。荘厳なイントロから、全編にわたってストリングスを駆使したスケールの大きなアレンジに。清々しい風を感じるサウンドだ。
02ありがとう
NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』主題歌の18thシングル。いつまでも一緒にいたい大切なあなたへの“ありがとう”を伝える、まっすぐな想いを綴った歌詞が胸に響く。サビのフレーズがスッと入り込むミディアム・バラードだ。
03プラネタリウム
NHKドラマ8『キャットストリート』主題歌の11thシングルは、アップよりのミディアム・バラード。一時の別れを乗り越え、再びきみに出会えるまで……健気な想いを乗せたメロディに、岡村美央によるストリングス・アレンジが絶妙な温度を与えている。
04帰りたくなったよ
夏帆、松下奈緒ら出演の映画『砂時計』主題歌の9thシングル。伸びやかなメロディにストリングスが彩りを加えたスケールの大きいアレンジが秀逸。“帰りたくなったよ”の印象的なひと言だけで、イメージをどこまでも膨らませてくれる。
05SAKURA
いきものがかりの記念すべきデビュー作にして、2000年代を代表する桜ソング。桜=卒業・別れというテーマは決して目新しいものとはいえないが、儚く凛とした吉岡の歌声によってその魅力は倍増。終盤のア・カペラは圧巻だ。
06YELL
「じょいふる」との両A面で発表された15thシングル。NHK全国学校音楽コンクールの課題曲として制作された作品で、中盤のコーラスとの掛け合いなど合唱用ならではのフレーズも。松任谷正隆が編曲を手がけたドラマティックなアレンジも感動的。
07歩いていこう (piano intro version)
TBS系ドラマ『ランナウェイ〜愛する君のために』主題歌起用の21枚目のシングル。街を離れ、大切な人と別れを迎えても前に向かって進んでいくんだ、という力強い決意を綴る。澄み切った冬空に響きわたるような、しっかりとした歌声が印象的だ。
08心の花を咲かせよう
山下穂尊が作詞曲を手がけた第87回全国高等学校サッカー選手権大会のテーマ・ソング。ゆったりとしたテンポながら言葉を多く詰め込んでおり、語りかけるような歌唱が印象的。“未来に繋がる今日”の大切さを綴ったいきものがかり流応援歌だ。
09茜色の約束
au「LISMO!」CMソングの7thシングル。未来に必ず訪れる“別れ=死”を受け止めつつ、二人で生きていくことのできる幸せを噛み締めるように歌い上げる。ブリッジからのサビで一度落とし、ラストで再び盛り上げる王道アレンジに心を掴まれる。
10ふたり
ピアノとギターによる情感たっぷりのイントロで幕を開ける、TBS系ドラマ『ぼくの妹』主題歌の13thシングル。いつの間にか大人になり、涙を隠すことを覚えたきみの心の痛みをぼくが受け止めるよと優しく語りかけるミディアム・バラードだ。
11明日へ向かう帰り道
アコースティック・ギターとストリングスを中心に据えたしっとりとした正統派バラード。夕焼けに染まる街の風景を巧みに描写した歌詞のひと言ひと言を、大切に歌い上げる吉岡の歌唱が秀逸だ。ハーモニカを用いた間奏もいいアクセント。
12コイスルオトメ
タイトル通り“コイスルオトメ”の心情を描いた3rdシングル。愛しいあなたへのピュアな想いを、気恥ずかしくなるくらいにまっすぐに綴る。何気ない仕草や密かに胸に秘めた想いなど、作詞を手がけた水野の繊細なセンスに驚かされる。
13風が吹いている
NHK『ロンドンオリンピック・パラリンピック』放送テーマ・ソングとしても日本中に感動を呼び込んだ24thシングル。心の琴線に触れる美しいメロディを詰め込んだミディアム・バラードで、ストリングスとの相性も抜群だ。