ミニ・レビュー
デビュー10周年を記念する通算5作目。イケイケのライヴ・チューンで幕開け、中盤に泣けるバラード、4人のソロ、終盤に再び盛り上げという定番路線だが、記念作ということで全体のテンションが異様に高い。MINMIを迎えたラスト曲「さくら〜卒業〜」の凝りまくったビートの展開は新境地だ。
ガイドコメント
デビュー10 周年を飾る湘南乃嵐が放つ、約4年ぶりとなる2013年3月6日リリースの5thアルバム。「炎天夏」「雪月花」のシングルに加え、テレビ東京系ドラマ『クローバー』主題歌「白詰草」ほかタイアップ曲も含む全15曲を収録。
収録曲
01WICKED&WILD
5枚目のオリジナル・アルバムの幕開けを飾る超ハイテンションなナンバー。息つく暇もないほどの高速ラップに乗せて、“WICKED&WILD”にストリートを這い上がってきた彼らの誇りと熱く強い気持ちを叩きつける。
02SALUTE
ちょっぴり戦隊モノを思わせる勇壮なイントロで幕を開けるアップ・チューン。強い信念を持ち、勝利を願って突き進む仲間に向かって“Gun Salute=礼砲”を上げるように煽動する。ラストのコール&レスポンスはライヴにも映えそう。
03炎天夏
12枚目のシングルは、ゆったりとしたヴォーカルから一気に点火する湘南乃風お得意のサマー・チューン。夏の恋を中心とした“楽しんだもの勝ち!”的なシンプルなメッセージに、ド派手な展開やシャレたサウンドなどしっかりと練ったアレンジが映える。
04STAY GOLD
ガールズケイリンのテーマ・ソングに起用されたミディアム・バラード。夢に向かって努力を続けることの大切さを歌っており、複数の曲をつなぎ合わせたかのように、表情を変えていくさまざまなバースの組み合わせが壮大なストーリーを生み出している。
05雪月花
おなじみ漢字3文字のタイトルが付けられた13枚目のシングル。冬を舞台にしたラヴ・ソングで、ストリングスやピアノを用いたサウンドもどこか冬模様。寝息の代わりに点滅するメールなど、細やかな描写を交えつつ、飾らない言葉で愛しい人へ想いをぶつける。
06いつか
SHOCK EYEのソロ・ナンバーはハートウォームなミディアム・バラード。まだ小さい最愛の子供に向けた、両親からの想いを綴った歌詞は感動的。成長していく姿を想像しながら、カッコイイ父親でいるべく奮闘する姿に思わず涙がこぼれる。
07あなたのために
若旦那のソロ・ナンバーは、橘井健一とともに作り上げた素朴なラヴ・ソング。自身も演奏するアコースティック・ギターに乗せて、十年前の出会いを思い返しつつ、大切なあなたへの感謝の気持ちをがなるようなヴォーカルで歌い叫ぶ。
08白詰草
シンセサイザーを印象的に用いたカラフルなサウンドで進むテレビ東京系ドラマ『クローバー』エンディング・テーマ。“オマエは特別じゃない 特別になろうとするオマエに価値がある”というメッセージは言葉遊びのようだが、まっすぐに心に響いてくる。
09LIFE
RED RICEのソロ曲は“人生”をという壮大なテーマを歌ったミディアム・バラード。難しい言葉や表現を使うことなく、ぶっきらぼうなヴォーカルでズバズバと本質に切り込んでいく姿に、ありのままで生きていく勇気をもらえるようだ。
10ハピバ
図太いボトムが体に響くEDMサウンドで突き進む湘南乃風流バースデー・ソング。とにかく朝までドンチャン騒ぎをぶちかます、彼らならではのちょっと手荒な誕生日パーティが展開。“おめでとう”をお題に歌うあいうえお作文にもニヤリ。
11陽炎
随所に日本的な仕掛けをほどこした“和モノ”アップ・チューン。強者ぞろいの乱世を掻き分け天下を統一し、“湘南時代の幕開け”を高らかに宣言する。デジタルなサウンドと和の融合は見事で、日本語の美しい響きを生かした歌詞も見事。
12Born to be WILD
PSP用ゲーム『クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編』テーマ・ソングのハードなロック・チューン。“龍”“豹”など、作品の世界に合わせたモチーフを多く用いつつ、戦いの中でチャンスを掴む強い信念を歌う。ダイナミックなサウンドも緊張感をあおる。
13Love It...
HAN-KUNのソロ・ナンバーはスウィート&メロウなラヴァーズ・ロック。高い歌唱力と表現力、そして美しい声の魅力を存分に活かしたやわらかなメロが秀逸。chino&chika(You want me)のコーラスも心地よい。
14さくら〜卒業〜 (feat.MINMI)
ヴォーカルにMINMIを迎えての共作。EDM風のアゲアゲサウンドで攻めるブレない姿勢は提示しつつ、古くから伝わる“さくら さくら〜”のメロも取り入れたハイブリッドな湘南乃風流“サクラ・ソング”。笑顔で仲間との再会を誓う歌詞も感動的。