ミニ・レビュー
インディ時代の音源を網羅したアルバムで、初CD化音源5曲、ニュー・ミックス4曲、ニュー・アレンジ3曲を含む。今と較べると幼くあどけない歌声が印象的だ。唯一の新録となる「ラフスタイル for ももいろクローバーZ」はボサ・ノヴァ/ラウンジ風味のアレンジが秀逸。★
ガイドコメント
ももいろクローバーの結成5周年を記念した、2013年6月5日リリースのインディ時代の名曲を集めたアルバム。2008年5月17日、初イベントで披露した「あの空へ向かって」は早見あかりを含む6人ヴァージョンと現5人のZヴァージョンを収録。
収録曲
01あの空へ向かって
久保田真悟(jazzin'park)が作曲を手がけた、軽やかで色鮮やかなポップ・ナンバー。高城れに、百田夏菜子ら発表当時(2008年)のメンバーが作詞を手がけており、“希望あふれた未来”へのまっすぐな思いを無器用な歌にのせて綴る姿にグッとくる。
02MILKY WAY
オープニングの尺八のような音色をはじめ、初期のももクロを象徴する“和モノ”路線で味付けされたナンバー。ポップなようでどこかつかみどころのないメロディに乗せ、純粋な愛の気持ちを歌い上げる。ピコピコ音によるアクセントもキュート。
03ラフスタイル
どこか不穏な空気を醸し出す重心の低いクラブ・サウンドを軸に、アクセントとして和のテイストをさしこんだ相木清久のアレンジが冴えわたるハードなナンバー。サウンドとは裏腹に、ピュアな恋心を歌った伸びやかなメロディもユニーク。
04ももいろパンチ
2009年に発表された記念すべきインディ・デビュー・シングル。活劇が幕を開けるかのような長めのイントロから、和のテイストを随所に盛り込んだポップなサウンドへと流れ込む。フックとなるさまざまな仕掛けを施しつつ、初々しい恋心を歌う。
05だいすき!!
“猫のヴォーカル・ユニット”として話題を呼んだMUSASHI'Sのカヴァー。原曲どおりの“にゃーにゃにゃにゃ……”のコーラスによるオープニングは萌え要素しかない。ラップのように早口なパートとゆったりとしたサビのコントラストが楽しい。
06Dream Wave
イベントにて限定配布されたCD-R収録のナンバー。作詞曲は為岡そのみが手がけており、“大きな波に乗って”やってくるはずの夢への強い意志を歌う。シンプルなバンド・サウンドとまっすぐなヴォーカルは好相性で、ひたむきな想いが伝わってくるようだ。
07Hello...goodbye
RAMJET PULLEYのカヴァー。オシャレで控えめなサウンドの原曲からは想像もつかないクラブ・テイストのアッパーな仕上がり。目の付けどころとその振り切り方が“らしい”。テクニカルな前半から、開放感あるメロディへと抜けるサビが印象的。
08気分はSuper Girl
BS朝日にて放送のバラエティ『Harajukuロンチャーズ』テーマ・ソングのカヴァー。アレンジはほぼ原曲と同じで、パーカッシヴな4つ打ちビートとシンセ・ベースによる太いボトムで突き進むテクノ・ポップ・ナンバーだ。
09最強パレパレード (ももクロver.)
TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』のキャラクターによるナンバーのカヴァー。ハイスピードかつテンション高めのポップ・チューンで、ももクロにはピッタリ。ちょっぴりトリッキーなメロディや要所に入る掛け声もなんなく自分のものにしている。
10未来へススメ!
yozuca*が作詞を、黒須克彦が作編曲を手がけたインディ2ndシングル。おなじみ和のフレーズをたっぷりと盛り込んだ4つ打ちのダンス・ロック・ナンバー。メロディはアイドル然としたポップな仕上がりで、ごちゃ混ぜ感がたまらない。
11ツヨクツヨク
TVアニメ『ガラスの艦隊』オープニング・テーマとしても知られるmihimaru GTのナンバーのカヴァー。鈴木Daichi秀行によるロックなアレンジをバックに、早見あかりのラップや百田夏菜子のソロなど、それぞれの個性が引き出されている。
12words of the mind-brandnew journey-
m.o.v.eが2000年に発表したナンバーのカヴァー。本格派のテクノ・サウンドをバックに、“新たな旅”への決意を歌う。ラップ部分が多く、“ももクロ登場”“MCあーりん”など、原曲から言い換えたフレーズにニヤリ。
13Believe
玉置成実のデビュー・シングルのカヴァー。原曲のテイストを活かしたハイテンポのダンス・チューンだが、それぞれのソロでは個性を発揮。オリジナルの高速ラップ・パートも取り入れ、まるで自分たちの楽曲かのように伸び伸びと歌い上げている。
14走れ!
映画『モテキ』の劇中でも使用され、ライヴでも高い人気を誇るテクノ・ポップ・ナンバー。4つ打ちの推進力の高いサウンド、ラップと歌を自在に行き来する歌唱、無条件に力をもらえる歌詞、キャッチーなサビなど、すべての要素がかみ合ったキラー・チューンだ。
15きみゆき
2010年のクリスマス・ライヴで限定リリースされたナンバー。ももクロにとっては初となるバラード曲で、離れてしまった時間が育む大切な人への想いを綴った冬のラヴ・ソング。ラップ〜ラストへ向けての盛り上がりに心を鷲づかみにされる。
16ラフスタイル for ももいろクローバーZ
ももいろクローバーZ名義でのリミックス。クラブ要素が色濃かった原曲からは大きく方向を変え、近藤研二の編曲でおだやかなボッサ調のアレンジに。サビでのふくよかなコーラス・ワークなど、それぞれのスキルアップを如実に感じさせてくれる。
17あの空へ向かって (Z ver.)
ももクロにとって原点といえる楽曲を“Z”の5人でリレコーディング。“光きらめく明日”を歌っているが、その未来へのイメージは、当時よりもはるかにスケールアップしてるはず。彼女たちのこれまでの歩みと、さらにその先を同時にイメージさせてくれる。