ガイドコメント
前作『時のシルエット』以来約2年ぶりとなる、2014年5月28日リリースの11thアルバム。「4月の雨」「Loveletter」「君の隣」などのシングル楽曲を含む、aikoの充実ぶりがうかがえる一枚だ。
収録曲
[Disc 1]
01明日の歌
真夏の暑い部屋に転がる写真やTシャツなど“あなた”との思い出深いモノを見つめながら、こみ上げてくる切ない気持ちを綴ったポップ・ソング。美しいメロディに乗せた残酷な言葉に胸が詰まる。“aikoワールド”が展開する大失恋の歌。
02染まる夢
“あなた”のことが好きだということを確信するような夢を見たけれど、好きになるのには躊躇する理由があって……。エモーショナルなギター・フレーズと鍵盤音がけたたましく鳴り、気持ちの高揚と興奮を表現している。aikoならではの愛情表現で綴るラヴ・ソング。
03Loveletter
“何度も 何度も 何度も”読み返したくなるラヴレターをもらったときの気持ちを綴ったエモーショナルなポップ・チューン。頬が火照りそうなほど熱い内容と推測できるが、具体的にどんなことが書いてあるのかはわからないので妄想してしまうこと必至だ。30thシングル。
04あなたを連れて
リズミカルなピアノをメインにしたシンプルな演奏のポップ・ソング。恋人との距離を感じている寂しさを湛えた歌詞を紡ぐ、物憂げなヴォーカルが切ない。心が離れていたとしてもなお、相手を求める女心が切々と描かれている。
05距離
サビの高らかなホーンの音色が胸のドキドキと呼応するかのようなラヴ・ソング。夜に電話することが習慣になっている“友達”への高まる想いを綴った、ロマンティックな内容だ。好きだという想いを心の中に湛えた状態の切なさと楽しさを見事に表現している。
06サイダー
付き合いが長くなったカップルの、距離ができた状態を持て余す女性の心情を描いた切ないポップ・チューン。別れを経験したことのある人ならそれぞれ具体的な場面を思い出すであろう、抽象的な表現にもかかわらず“あるある”な描写がうまい。
074月の雨
ハモンドオルガンの温もりあふれる鍵盤音がアクセントになっている、しっとりとしたミドル・チューン。過去の思い出と未来への思いを、四季や天候になぞらえて綴ったロマンティックかつシリアスなナンバー。「Loveletter」と両A面の30thシングル。
08遊園地
なんの合図もなしに出て行った恋人について語るくだりは、聴き手まで失恋したかのように悲しく切なくさせる。とはいえ、エモーショナルなホーンが暴れるスカ・アレンジと最終的にはやぶれかぶれでありながらも前向きな姿勢で、スカッとさせるのがaikoらしい。
09透明ドロップ
別れてしまった恋人との何気ない日々の思い出を振り返っていく歌詞は切なく痛々しいが、サウンドは疾走感あふれるさわやかなポップス……。aikoの真骨頂といえる、悲しみを抱えつつも前を向いて進む主人公を描いた名曲のひとつ。
10君の隣
サビの流れるようなメロディの美しさに惚れ惚れするポップ・ソング。当たり前の日常に潜む奇跡のようなものを見つけ、日々を大切に生きたいと願うピュアな心情が描かれている。ロッテ「ガーナミルクチョコレート」CMソングとなった31stシングル。
11大切な人
美しいバラードでありながらも、ところどころスタンダードなグッド・メロディから離れた半音下がる旋律が印象的。久しぶりに電話をくれた彼を想う繊細な心の動きと重なって、どうにもクセになる、思わず口ずさみたくなるラヴ・ソングだ。
12キスの息
好きな人と結ばれた喜びを描いた躍動感あふれるロッカ・バラード。しかしながらハッピー全開な雰囲気ではないマイナー調のサウンドなのは、その時が永遠ではないと知っている切なさゆえ。“嬉しすぎて不安”という気持ちもまた、多くの女性が共感するところ。
13卒業式
卒業式なんてとっくに過ぎたアラサ―以上の年齢でさえも、タイムスリップしたような気分になるであろう名バラード。淡々としたメロディを紡ぐ、情熱的なヴォーカルが心地よい。それぞれの“卒業”の風景や匂い、感じていた気持ちが蘇ってきそうなナンバーだ。
[Disc 2]〈aiko's Radio side B〉
01aiko's Radio side B (トーク1)
02鏡 (Rock version)
03aiko's Radio side B (トーク2)