[Disc 1]〈THE EARLY 10 YEARS〉
01TONGFARR
エスニックな香りをアクセントに、祈りや儀式にも通じる不思議な空気感を作り出したナンバー。ドラムが淡々とリズムを刻む1分以上のイントロを含む6分近い大作で、生々しいTOSHI-LOWのヴォーカルは神々しさすらまとっている。
02FOR ONE'S LIFE
メジャー初アルバム『A FORLORN HOPE』の冒頭曲として人気を集めたロック・チューン。哀愁を帯びたギターのアルペジオによるイントロから、轟音とともに一気に爆発。2分に満たない短い楽曲ゆえ、その勢いのまま突き進む。
03SEE OFF
茨城県を中心に、全国的に高校野球の応援歌としても使用されるハードコア・ナンバー。バンド隊のキメとTOSHI-LOWのヴォーカルで幕を開ける冒頭の展開はインパクト大。シャウトも完備し、キッズにはたまらないテンションで走りぬく。
04GOIN' DOWN
ジャキジャキと刻むギター・リフを中心としたロック・チューン。“I think we are going down”と叫ぶように歌うパートを繰り返すシンプルな構成ながら、ブリッジでエスニック風のフレーズを入れるあたりが“らしい”。
05GREAT HELP
インディ時代のミニ・アルバム『WAIT AND WAIT』収録の初期曲。ゴリゴリのハードコア風の導入から、素気ないほどにクリーントーンのギターで刻むスカっぽいアレンジへの移行が新鮮。うねるベースも肉感的だ。
06BASIS
“其処に立つ”という冒頭のフレーズが耳に残るメロコア調のキラー・チューン。2000年前後のメロコアの主流であった弦楽器のストロークとキャッチーなメロを軸に走り抜けるファスト・チューンだが、それ一辺倒ではなく抑え目なパートにこそ、彼ららしさが宿る。
07SHADOW PLAY
歪ませたギターとスピード感満点のドラムで走るファスト・ナンバー。暴力的ともいえるサウンドながら、“閉ざしかけた背 影を誰と解ろう”といった美しい日本語のフレーズとともに飛び込む瞬間、哀愁を帯びたような穏やかな魅力を帯びる。
08PLASTIC SMILE
大きなダイナミズムのうねりを描くエモーショナルなロック・チューン。音数を最大限に減らした穏やかな導入から、強烈な破壊力を持ったサウンドとシャウトを伴った後半へとなだれ込み、カットアウトに近い唐突なラストで余韻を残す構成が見事。
09BOX
オクターブのユニゾンで奏でるアジアンなリフが印象的なスピード感に満ちたハードコア・チューン。短めのヴァースからなるシンプルな構成だが、リフに呼応してか、コーラスでもオクターブのユニゾンになっているのがユニーク。
10BEYOND THE MOUNTAIN
インディ時代の1stミニ・アルバム『Grope Our Way』に収録された初期曲。「BOX」にも似たオクターブのリフを中心に、超テンションで突き抜けるハードコア・チューンだ。シャウト中心のヴォーカルスタイルが楽しい。
11DEEP
記念すべき1stシングルとなったパワフルなハードコア・ナンバー。イントロに象徴されるクリーントーンと思い切り歪ませるエフェクターの極端な使い分けは彼らの個性ともいえるもので、コーラスのシャウトをまといつつ、がなるように歌うTOSHI-LOWも魅力的。
12NO LIGHT THEORY
すべての楽器が同じリズムを刻む印象的なリフで幕を開けるファスト・チューン。フラメンコのエッセンスが随所に盛り込まれており、一介のハードコア・ナンバーでは終わらないあたりに彼らのこだわりや個性が滲み出しているかのよう。
13Z
ズブズブに歪ませたベースのリフで幕を開けるロック・チューン。メタルにも近い破壊的なイントロから、歌が入る瞬間はオルガンのような音色を配し神秘的な雰囲気を構築。天国と地獄を繰り返すようなアレンジが魅力だ。
14時の鐘
日本語詞で歌われる2分に満たない小曲。鈴の音でリズムを刻みながら、冒頭は最低限の楽器のアンサンブルで穏やかな世界を構築、最終盤で一気に針を振り切るように爆発する。極端なふたつのパートを、色気はらんだ声とともに描くTOSHI-LOWが見事。
15ARRIVAL TIME
「deep」との両A面シングルとして発表されたロック・チューン。大きなクレッシェンドを描くパートがふたつ繰り返すような構成が新鮮で、特にエモーショナルな演奏とともに強烈なシャウトを響かせる終盤の迫力は圧巻。
16THAT'S ALL
哀愁あふれる美しいギターのアルペジオをイントロに配したハードコア・チューン。穏やかな導入からの一気に轟音へとなだれ込む王道的といえる展開、さらに1分強という非常に短い尺ながら、ラストで感じるカタルシスは格別。
17THERE'S NO SHORTER WAY IN THIS LIFE
イントロから洪水のように押し寄せる音の迫力に圧倒されるハードコア・チューン。スカっぽいパートを経由しながら、リズムを倍にするキャッチーなラストのサビへと突入。うねうねと這うようにリズムを支えるベースが影の主役だ。
18ANSWER FOR…
彼らの最大の特徴といえる東洋的な響きをたっぷりとたくわえたナンバー。穏やかな導入から“WHAT DID YOU SAY?”と繰り返す轟音のサビへと突入するおなじみといえる構成だが、導入部の美しさは他に類を見ない美しさを放つ。
19NEW SENTIMENT
流麗なギターのアルペジオが響くイントロが印象的な高速ハードコア・ナンバー。静と動をシームレスにつなぐ、彼らならではといえるダイナミクスに富んだアレンジが見事。がなるようにメロディを紡いでいくTOSHI-LOWもさすが。
20ARTMAN
記念すべき彼らの1stミニ・アルバム『Grope Our Way』(96年)の冒頭に収録のナンバー。緊張感のある怪しげなリフを中心に、シャウトの応酬を経て、自由かつ凶暴に展開していく。中盤の宇宙的なブリッジがユニーク。
21THE SAME
インディ時代の1stミニ・アルバム収録のファニーなロック・チューン。スカとカントリーを融合させたような、キュートともいえる軽やかなサウンドが楽しい。シャウトから一変する、すべてを破壊するようなサビとの対比もユニークだ。
[Disc 2]〈THE LAST 10 YEARS〉
01初期衝動
サスペンス映画の幕開けのような緊張感の高いイントロが印象的なハードコア・チューン。まさに“初期衝動”を音に託したかのような終始高いテンションに包まれており、メンバーそれぞれのシャウトも新鮮。約3分とは思えぬストーリー性も見事。
02THE ONLY WAY
「TONGFARR」にも通じる、彼らの象徴ともいえる民族音楽とハードコアの融合を見事になしとげたアッパーなナンバー。短いセンテンスを吐き捨てるようにシャウトするヴォーカルが印象的だが、民族音楽をダンス・ミュージック化したイントロの高揚感は秀逸。
03賽の河原
テンポの上下を繰り返しつつ、テクニカルな変拍子も使った変則的な構成が耳を引くナンバー。複雑なバンド・アンサンブルは、ストイックな彼らの姿勢が表われているよう。張り裂けそうな緊張感に満ちたシャウトとキャッチーなメロの融合も新鮮だ。
04THE VOID
ひとつひとつの独立したヴァースが連続したような、圧倒的な密度の高さを放つハードコア・ナンバー。メッセージを叩きつけるかのような鬼気迫るTOSHI-LOWのヴォーカルと、それをさらに増幅させる迫力あるサウンドが完璧に機能している。
05露命
“露のようにはかない命”という意味を持つ美しいタイトルが印象的な5枚目のシングル。タイトルを象徴するような幻想的なイントロから、強烈な破壊力を持った音塊とともにシャウトへと突入。彼らの震災以降の活動とリンクしたメッセージが突き刺さる。
06EPIGRAM
ソリッドなバンド・サウンドと独白のように低いトーンで囁くヴォーカルとの対比が鮮やかなナンバー。全編にわたってほぼメロディはないに等しいが、アレンジはダイナミズムに満ちた構成。唯一日本語で放たれる高速パートも耳を引く。
07SPECULATION
英詞で繰り返し叫ばれる“心を、目を取り戻せ”というシャウトが胸に刺さるアッパーなナンバー。全編を通じて衝動的な激しいサウンドながら、曲自体の印象は美しさを感じさせる、彼らならではのサウンドの魔力が詰まっている。
08其限
箭内道彦が彼らの姿を追いかけた映画『ブラフマン』の主題歌となった6枚目のシングル。タイトルの読みは“それきり”。近作としては珍しいほどにシンプルなメロディとストレートなアレンジで進むロック・ナンバーで、儚げな色合いが印象的だ。
09鼎の問
原発問題に対して強烈なメッセージを込めたMVも話題を呼んだミディアム・ナンバー。ギター・リフを中心にしたサウンドは優しさすら漂うものだが、希望を見据えつつも現状を歌う言葉はエモーショナルなヴォーカルもあいまって強烈な鋭さを放っている。
10A WHITE DEEP MORNING
民族楽器のような独特なギターの使い方でエスニック風のサウンドを作り出したナンバー。“願い抱えては沈み浮かんでは消える…”など、長く続く“赦しの旅”を描いた言葉が厳粛に響くなか、極端に強弱をつけたドラマティックなサウンドを叩きつける。
11DOUBLE-BLIND DOCUMENTS
殺伐としたギター・リフや2ビートで突き進む疾走感のあるドラムなど、圧倒的なテンションで煽るハードコア・チューン。サウンドに呼応するようにTOSHI-LOWほかメンバーそれぞれもシャウトを連発。鬼気迫る世界を作り上げている。
12CIRCLE BACK
「時の鐘」にも似た穏やかなパートと強烈な破壊力を持ったハードコア・パートを繰り返す2分弱のナンバー。“原罪 征討 侵攻 横暴 投身 騒々……”と、直接的な言葉をマシンガンのように叩きこむシャウトに驚かされる。
13 (a piece of)BLUE MOON
砂漠に浮かぶ“青い月”を想像させるような、ジプシー/ロマ音楽的なパートを随所に配置した推進力の高いパンク・チューン。オーディエンスがシンガロングする姿が目に浮かぶようなキャッチーなサビを中心に、荒々しくもきめ細かいアレンジを聴かせる。
14遠国
深めに歪みをかけたイントロのベースのリフを中心に、民族音楽的なギターの音色が絡むイントロが映えるメロコア調のナンバー。“サイレンとシュプレヒコール”の届かぬ現状を痛烈に批判する言葉を、コーラスを配した儚げなメロディに乗せて歌う。
15FAR FROM...
“浅い夢の中 過去の声を聞いて”という歌いだしのとおり、ドリーミーなサウンドで幕を開けるナンバー。遠くから届いた悲しい知らせを描いたストーリーに呼応するように、悲痛な叫びを託したようなエモーショナルなサウンドに変化していくアレンジに引き込まれる。
16CAUSATION
リムショットを使ったシャレたイントロから、2ビートの推進力の高いビートへと加速するハードコア/パンク・ナンバー。エモーショナルなメロディを軸にしたストレートなアレンジだが、ほぼ全編英語のなか、わずかな日本語が光る。
17LOSE ALL
KOHKIの、そしてBRAHMANの象徴ともいえる民族楽器的なギターのフレーズが光る、スケールの大きなミディアム・アップ。静と動を繰り返すアレンジも“お得意”といえるもので、その両者を完璧に表現するTOSHI-LOWの魅力が際立っている。
18警醒
TOSHI-LOWを除いたメンバーによるシャウトが大半を占める、殺傷力の高いハードコア・ナンバー。スカっぽいフレーズを瞬間的に入れてみたりとセッション性が高いアレンジは緊迫感と勢いに満ちており、熱量の高い演奏が魅力。
19PLACEBO
遠くに行ってしまった、もう二度と会うことのできない人に向けて想いを吐露するような歌詞が並ぶミディアム・ナンバー。感情をストレートに乗せたメロディやヴォーカルを尊重するような、シンプルな構成とアンサンブルに胸を打たれる。
20霹靂
4枚目のシングルのタイトル・ナンバーとして発表された、東日本震災以降大きな変化を遂げた彼らの姿勢を象徴したといえるナンバー。ゆったりとしたテンポで、ストーリー性に満ちた壮大なスケール感を描き出した5分以上の大作だ。
21虚空ヲ掴ム
コール&レスポンスのようなシャウトとメロディの応酬が印象的なパンク・ナンバー。“巡り巡る非業”“形のない虚空の狭間”といった彼らならではの言葉を、高揚感に満ちたサウンドに乗せていくスタイルは唯一無二。間奏部分も練りに練られた構成だ。
[Disc 3]〈DVD〉20th Anniversary Movie 尽未来際
[Disc 4]〈DVD〉〈CLIPS〉
01DEEP
02ARRIVAL TIME
03PLASTIC SMILE
04BASIS
05A WHITE DEEP MORNING
06THE VOID
07CAUSATION
08SPECULATION
09HANDAN'S PILLOW
10逆光
11SILENT DAY
12ROOTS OF TREE
13賽の河原
14霹靂
15露命
16警醒
17鼎の問
18初期衝動
19其限
[Disc 5]〈CT〉DEMO TAPE