ガイドコメント
前作『イーガジャケジョロ』から約2年半ぶりの13枚目のアルバム。2016年6月にカセット・シングルとしてリリースされたTBS系ドラマ『重版出来!』主題歌「エコー」をはじめとした、オーガニックでピュアな楽曲を収録している。
収録曲
[Disc 1]
01すばやくなりたい
奥田民生のソロ曲である「マシマロ」を思わせるフレーズがたびたび登場するロック・チューン。自分たちに残された時間の少なさを考えつつ“すばやくなりたい”とひたすら連呼するサビは、ユニコーンらしい力の抜け具合が見事に発揮されている。
02オーレオーレパラダイス
パーカッションを取り入れ、タイトルどおりどこかスパニッシュな雰囲気をアクセントにした手島いさむ曲。80年代ハードロック歌謡的なサウンドを引き立てるのは、過剰にエコーをかけたヴォーカル。オヤジでも若くもない、手島の個性を歌い上げる。
03サンバ de トゥナイト
ABEDONによるロック・チューン。キャッチーかつ壮大なスケール感を放つサビなど、骨太で本格派なロック・サウンドを響かせるが、唐突なサンバのリズムのカットインとともに“まじハンパねー”と繰り返すブリッジで遊び心を発揮。
04僕等の旅路
手島いさむが作詞曲を手がけ、川西幸一がヴォーカルをとったロック・ナンバー。ただ一人の信じられる存在だった大切な人との別れ、ぽっかりと胸に空いた穴をぶっきらぼうな歌声で綴る。地に足の着いた心地よいテンポ、そして儚げなメロディが刺さる。
05道
EBIが手がけたミディアム・テンポのナンバー。シンプルなバンド隊の演奏とパーカッシヴなリズムを中心に、不思議な浮遊感をもつサウンドスケープを構築。“東風遠く”という印象的なフレーズをはじめ、我が道を全力で進む生き様を描く。
06ハイになってハイハイ
アコギのアルペジオを中心とした簡素なサウンドと“ハイハーイ”という気の抜けたコーラスによる導入で幕を開ける奥田民生ナンバー。唐突にバンド隊が全力で加わるパートもあり、“ハイ&ロー”なアレンジはドラッギーな印象を与える。
07マッシュルームキッシュ
川西幸一が作詞作曲を担当したEBIヴォーカル曲。カントリー&ブルース調のサウンドを中心に、アミューズメントパークのBGMのようなガチャガチャ感をプラス。美味しそうな料理の数々を歌っており、高級レストランのメニューのような歌詞カードの表記もユニーク。
08TEPPAN KING
シリアスな雰囲気の重厚なロック・サウンドで突き進む、ABEDONのペンによるナンバー。英語で歌ったり崩した日本語にしてみたりとわかりにくいが、冒頭のコーラスは“魚王(ウオオウ)〜”。毎日毎日鉄板の上で焼かれる……あの“TEPPAN KING”を歌う。
09マイホーム
アコースティック・ギターを中心とした、奥田民生によるナンバー。“郊外の更地をゲットし、新たな夢の始まり、という夢を見た”というストーリーで、ひたすらに夢のマイホームについて歌う。アンニュイでサイケな雰囲気がたまらない。
10CRY
アコースティック・ギターを中心としたシンプルな演奏をバックにEBIが歌い上げるミディアム・ナンバー。目を疑うような出来事が繰り返される世の中に“何が正義で悪なのか”と疑問を呈しつつ、自分らしく生きるんだと静かに決意を告げるダンディズムが魅力。
11エコー
TBS系ドラマ『重版出来!』の主題歌で、カセットテープというフォーマットでシングル・リリースされた。ハーモニカやピアニカをフィーチャーした哀愁漂うミディアム・アップで、ロングトーンで柔らかくシャウトするサビのメロディに心を奪われる。
12第三京浜
東京から横浜にかけて走る高速道路をタイトルに掲げたABEDONのナンバー。ピアノのアルペジオのようなフレーズを中心に淡々とリズムを刻むロック・チューンで、風景を巧みに切り取った映画的な歌詞が窓の外を流れていくような気持ちにさせる。
13風と太陽
ABEDONが作詞作曲を、奥田民生がヴォーカルを務めたナンバー。ベルの音色なども配したカラフルかつ多幸感に満ちたサウンドで進むポップなナンバーで、ファンタジックなストーリーとロングトーンを多用した民生の歌声が心地よく響く。
14フラットでいたい
高速で駆け抜けるビートに歪ませたハーモニカのアクセントが映える、川西幸一の作詞曲によるアップ・チューン。どこか海賊団を思わせるようなサウンドにのせて、“フラットでいたい”とうわごとのように繰り返す、遊び心に満ちたナンバーだ。
[Disc 2]〈DVD〉アルバムレコーディングドキュメント