ミニ・レビュー
結成14年目の記念日にリリースした通算8作目。過去に歌ったテーマをあえて今の彼らが歌い、バンドとしても人間としても経験を重ねた音で力強く、高らかに鳴らす。音楽的にはさらに何でもあり状態になっているが、それを自分たちの色で個性にしてしまう強さもここにある。
ガイドコメント
サポートの誠果が正式メンバーとなって6人になったUVERworld。初リリースとなったシングル「7日目の決意」から1ヵ月弱で発表の8thアルバムでは、これまで以上に勢いあふれるサウンドが詰まっている。
収録曲
01零HERE (SE)
8thアルバム『0 CHOIR』の幕開けとなる1分間のイントロダクション。D“デルフィニクス”ウィリスとジェシカ・イマーニ・ドーソンの男女MCの煽りと誠果のサックスを軸に、新たな航海の始まりを告げる。
02IMPACT
“衝撃の265秒間”で問いかけるのは、自分の世界を決めるのは自分自身だというメッセージ。大地の共鳴のようなワイルドなボトムや切っ先鋭いギターをバックに、シンガロング必至なフックが流れる。雄々しくもメロディアスなロックだ。
03誰が言った
誠果を指すと思われる“一人減らしてデビューさせろ”など、葛藤と苦悩にさいなまれる日々を過ごしてきた彼らの怒りが凝縮された、非常に強い意志を持ったメッセージ・ソング。詞世界とサウンドをリンクさせた激しく目まぐるしい展開がユニークなミクスチャー・ロックだ。
04ナノ・セカンド (album ver.)
シェイクスピア『ハムレット』の名フレーズを引用しながら、夢を夢のままで終わらせずに努力を積み重ねて前へ進めとせき立てるメッセージ・ソング。劇的な旋律と興奮を呼ぶ展開が胸に詰まった感情を揺るがす。25thシングル。
05Fight For Liberty (album ver.)
UVERworldらしいアグレッシヴなアッパー・ビートで突き進むパワフルなグルーヴィ・ロック。自身の一度きりの“生”ために戦えと強く後押しする。アニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』オープニング・テーマとなった24thシングル。
06ENOUGH-1
“ジャンボ!ハバリザアスブヒ?”という叫びから幕を開け、ヒップホップ・テイストで自身の考えを赤裸々に語るパーソナルなメッセージ・ソング。皮肉も意地も丸だしにして、転んでも最後に起きあがればいいと問いかける。
07KICKが自由
曲作りのために使うスタジオにいる愛犬“KICK”についての歌だが、詞のほとんどはそのKICKに関係ないエピソードばかりが続く。ラストに愛くるしいメス犬への思いを告げる、明るくリズミカルなポップ・ロックだ。
08a LOVELY TONE (album ver.)
“僕と一緒になろうよ”……これまで言えず、そして一生涯で一度きりで使う言葉に想いを込めたプロポーズ・ソング。艶やかなサックスなどスタイリッシュなジャズっぽさもチラりと見せながら、ストレートな感情が伝わるラヴ・ソングとして仕上げている。
097日目の決意
TAKUYA∞が見た夢をきっかけに生まれたという、7分弱の26thシングル。明日こそ願いが叶うと信じて7日目を生き抜こう……人生を蝉の一生にたとえ、すべては自分次第だと問いかける。ヒリヒリした感触と優しさや切なさが入り交じったメッセージ・ソングだ。
10別世界
26thシングル「7日目の決意」のカップリング収録のインストゥルメンタル。エスニックともジプシーともいえるギターからデジタルなリズム、ゴージャスなサックスと目まぐるしく移り変わる早回し世界一周の旅といった風。ただ、一貫してサウンドはアグレッシヴだ。
11Born Slippy
アンダーワールドが1995年に放った楽曲のカヴァー。大地に共鳴するようなドラムのリズムや空を舞うような広がりあるギター、躍動するグルーヴなど、UVERworldらしさを加味しながらも原曲の推進力を活かした作風となっている。
12Wizard CLUB
6人編成となった彼らが音の魔術師となって君のハートを奪うと宣言する24thシングル。パーカッションを軸とした腹に響く野生的なリズムに、ギター、サックス、クラップ……が寄り添い、興奮度の高いグルーヴを奏でる。彼らならではのファンキーなごった煮ロックだ。
13在るべき形
映画『MARCHING-明日へ-』エンディング・テーマに起用されたアッパー・ビートのロック・チューン。自分が正しいと信じた道を貫き歩み続けられるかどうか、それが大切なんじゃないかというメッセージが込められている。
140 choir
8枚目のアルバムのタイトル曲。人との出会いが自分の人生を素敵なものにしてくれるというメッセージを、ささやかな身近な例えで説く。4つ打ちエレクトロをベースにした新境地となるダンサブルなロック・サウンドが新鮮だ。